天文趣味用カメラ三脚の選び方2

天文趣味用カメラ三脚の基本は「長めで、ガッチリ」でしたが、そのほかにも

いくつか注意点があります。

特に重要なのが「雲台(うんだい)」です。

雲台というのはカメラと三脚の間にあって、カメラの方向を変える部品で、
望遠鏡でいえば架台に相当する部分です。

様々なタイプがありますが、大きな分類として(スチル)カメラ用と
ビデオ用があります。

あまりにも当たり前すぎて見落としがちなのですが、スチル用はカメラの
構図を縦位置にすることも考慮した構造になっています。

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写真で右はスチル用、左はビデオ用でカメラと縦にする機構が省かれています。

ビデオや双眼鏡を載せるだけならビデオ用でOKですが、いろいろな構図で
撮ることを考えればカメラ用雲台を選ぶことが重要です。

カメラのちょっとした傾きを調整するにもスチル用雲台が便利です。

雲台の固定には
① パン棒(カメラの向きを調整するレバー)のネジを緩めると上下左右が
フリーになるタイプ

② パン棒で上下のみがフリーになって、左右のクランプは別にあるタイプ

③ パン棒とは独立して上下・左右のクランプがあるタイプ

など様々なタイプがあります。

好みの問題ですが、個人的には②がじっくり構図を決めるのに使いやすいと
思います。

ホームセンターなどで売っている安物の三脚の中には、三脚部と雲台部が
一体型で取り外せないものがありますが、使い回しを考えると取り外しが
できるタイプのほうが絶対に便利です。

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雲台の中には写真のような「自由雲台」というタイプがあります。
ジョイント部が球状になっていて、縦だろうと横だろうと斜めだろうと、
クランプひとつで固定ができます。

天体写真の撮影に限っていえばパン棒に邪魔されることなく天頂まで
狙えることや、構図のとりやすさと自由度の高さから考えて、
「自由雲台」が圧倒的に使いやすいです。

一般撮影ではクランプを緩めたときカメラを構えるように支えていなければ
いけないことや、双眼鏡などの使用には向かないことなど、オールマイティーな
ものではないので、雲台の交換ができる三脚が必要になるわけです。

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カメラと三脚の固定に、最近は「クイックシュー」タイプが主流です。
予めカメラにクイックシューをネジ止めしておいて、簡単に三脚に着脱が
できるようになって便利といえば便利です。

ただこのクイックシュー、メーカーや機種ごとに形状が違うことが多いです。
このため、カメラと三脚が常に一対一の関係であれば問題ないのですが、
複数のカメラと三脚を同時に使い回しているときには、混乱が生じるときも
あります。

持ち歩いている三脚に、いざカメラを載せようと思ったら、違う三脚の
クイックシューがカメラに付いていて三脚に付けられず、三脚が役立たずの
お荷物になってしまうようなこともありますので運用には注意が必要です。

個人的には不便なようでも間違いのない雲台直止め式が好きです。
最後に細かなことですが、ここではは石突(いしづき)について・・。

三脚の地面に接する部分には通常、樹脂かゴムの石突が付いています。

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安いものはそのままなのですが、少し高級な機種になると、このゴム足を
廻すと金属製の地面に突き刺すタイプの石突が出てくるようになっている
ものが多いです。

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屋内ではゴム足が親切ですが、屋外がメインの天文趣味ではこちらのほうが
圧倒的にブレに強く、安心感があります。

購入するときのチェック項目に入れておくとよいでしょう。

あとは好みの問題で、他の撮影用途があるか(たとえば接写をしたいので超ロー
アングルにしたい)とか、自分の体力や財布と相談ということになります。

ただ、しっかりした良いものを購入しておけば、普通の使い方ならン十年も
使えるものですので、少し奮発しておいたほうが良いです。

道具の世界というのは何でもそうなのですが、中途半端なものを買うと
あとから必ずといって良いほど、もっと上級なものが欲しくなるからです。

ライフサイクルの極端に短いデジカメやパソコンなどのデジタル製品では
ないので、できるだけ妥協のないものを購入するのがよいと思います。
本記事は2009/8/14~8/21の間に不定期でスタパオーナーの八ヶ岳日記に
掲載したものを再編集したものです。

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