夏の星座 -その10- いて座 (完)

いて座は黄道12星座の中でも最も南に低い位置にある星座です。

当時の頃に太陽が通過する星座でもあります。

私たちの太陽系が属する銀河系の中心方向がいて座にあるので、必然的に
天の川が最も濃く、幅広いあたりです。

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古くからある星座ですが、その星の並びから星座絵にある半人半馬の
ケンタウルスの姿を思い浮かべるのはかなり難しいです。

日本や中国ではこの星座の中心部分の6つの星の並びを南斗六星と
呼んで、北斗七星と対比しています。

北斗は死を司る神、南斗は長寿を司る神なのだそうです。

さていて座は上にも書いたようにケンタウルス族の一人(一頭?)なの
ですが、ケンタウルス座という星座があるのになぜわざわざ別に星座に
なっているのか少し不思議ですね。

いて座になった人(個体?)はケンタウルス族の中でも特別な存在で、
ケイローンという名で呼ばれています。

ケイローンは粗野で荒くれの多いケンタウルス族にあって唯一温厚で
知性にあふれ、人間に理解のある存在だったそうです。

後に英雄となる人たちの教師役をしていた人(?)なのです。

ファンタジー小説好きの方はご存じかも知れませんが、ハリーポッター
にも、パーシージャクソンにもケイローンと呼ばれるケンタウルスが
登場するのです。

まあそれだけ特別なケンタウルスだと思って下さい。

いて座の南斗六星のあたりは銀河系の中心方向ということもあって
星の数がものすごく多いですし、たくさんの星雲星団が密集しています。

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空の条件の良い時にこのあたりを双眼鏡で眺めると、次々に恒星とは
見え方の違う小さな光の塊を見つけることができます。

機会を見つけて是非ご覧頂きたい星空の名所だと思います。

望遠鏡で見ても見応えのあるメシエ天体がたくさんありますので
いくつか紹介しておきます。

まずは球状星団M22。

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球状星団の横綱といわれるヘルクレス座のM13に負けないくらい
見応えがあります。

次は干潟星雲M8。

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望遠鏡で見ると星雲よりも散開星団のほうが目につきますが、淡い
ベールに包まれた赤ちゃん星達です。

お次は三裂星雲M20。

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三つに割れたように暗黒星雲が重なった星雲で、パンジーのようにも
見えます。
条件の良い時には隣の青白い星雲も(色は見えませんが)見えてきます。

最後はオメガ星雲M17。

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ギリシア文字のΩの形に見えるということでその名がついていますが、
私にはΩに見えたことはありません。
どう見ても水面を泳ぐ白鳥に見えるのですが・・・

いて座の星雲星団は南に低いので、見られる時間帯が限られるのと、
透明度の影響を受けやすいのできれいに見えたらとてもラッキーです。

夏の星座シリーズは(2年がかりでしたが)以上で完了です。

きれいな星空に出会えたらぜひ星座を探してみて下さい。

夏の星座シリーズは2013.6.7~2014.7.16の間にスタパオーナー
八ヶ岳日記に掲載した同シリーズの記事を再編集したのです。

本シリーズではあまりマイナーな星座は紹介しておりませんので
悪しからずご了承下さい。

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