眼の話(星を見るのに役立つ) -その4-

4.網膜細胞:錐体と桿体

ここでは少し網膜について解説します。

網膜はデジタルカメラのCCDなどの受光素子に相当しますが、網膜の中には
視細胞という光を電気信号に変換する、CCDでは画素に相当する細胞が
びっしり並んでいます。

この視細胞には錐体(すいたい)(円錐形をしているのでこう呼ばれます)と
桿体(かんたい)(さおのような棒状なのでこう呼ばれます)の2種類の視細胞が
あります。

錐体は物の色や細かい形を認識するために使われる細胞で、色を認識するために
赤・緑・青に対応した3種類の錐体があります。

桿体は物の動きを認識したり、暗い場所でよく働く(暗いものを見るのに適した)
視細胞です。

錐体と桿体の網膜上の分布はしたの画像に示すとおりで、
中心部分には錐体がたくさんあり、視野中心から10°~20°のところに
桿体がたくさんあります。

090831me

この視細胞の分布の仕方を理解して、錐体と桿体の使い分けをうまくして
あげると、星の見え方が全然変わってきます。

錐体は色や形を認識するのに使われる視細胞なのですが・・・
この錐体、困ったことに感度があまり高くありません。

薄暗い場所ですと、色が見えにくくなります。
満月の明るさくらいまで暗くなると、色を認識するのがかなり難しくなります。

朝寝坊をして、慌てて照明を点けずに靴下を履いたとき左右が黒と紺の色違い
だったなんてことは無いでしょうか?

暗くなると錐体はからきし元気がなくなって、ちゃんと働いてくれなくなるので
色が判らなくなってしまうのです。

暗い場所で良く働いてくれるのが桿体です。

下は夏の星雲星団のひとつでM17です。

090901M17_1

写真に撮ると色や形がハッキリ判るのですが・・・・

肉眼で望遠鏡をのぞくと下の写真のようにしか見えません。

090901M17_2

スタパの40cm望遠鏡で条件の最高によい日に見てこのくらいが何とか
見えるかな?といったレベルです。
(視野円の直径の2倍くらい離れたところから片目で見ると、倍率100倍で
見たときと同じくらいの感じにしてあります。)

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