「や座」と「いるか座」は、夏の星座のランドマークとも言える「夏の
大三角」の近くにあって(や座は大三角の中)、空のきれいなところ
ですと星の並びがハッキリしているので、簡単に見つけることができます。
ただ、どちらも星座を形作る星の明るさがかなり暗いもので構成
されています。
や座は3.51等星から4.39等星、いるか座は3.64等星から4.43等星と、
どちらも四捨五入すると4等星ばかりでできた星座ですので、
都会では肉眼で見つけるのは無理です。
どちらかというとマイナー星座に分類される星座といえます。
ただどちらの星座も小さいので、低倍率の双眼鏡があれば都会でも
見つけることができます。
や座はアルタイル(彦星)とアルビレオ(はくちょう座のくちばしの星)の
ちょうど中間あたりにあります。
だれがどう見ても矢の形に見えます。(少し曲がっていますが・・)
神話では愛の女神エロスが持っている矢で、これに当たるとだれでも恋に
落ちてしまうというアレです。
とても好色な大神ゼウスの化身であるはくちょう座とわし座の間にある
というのも意味深な設定だと思います。
暗い星ばかりながら、星座名に似合った形のきれいさといい、場所といい
名作星座といってよい星座だと思います。
や座にはM71という小さな球状星団がありますが、あまり見応えはないです。
や座からは外れますがこぎつね座のM27(アレイ状星雲)はや座から
辿った方が見つけやすいです。
M27は惑星状星雲としては最も見応えのある天体だと思います。
またコートハンガー星団もこぎつね座ですがや座から辿った方が
見つけやすいです。
双眼鏡で見てもハンガーのような特徴的な星列を見つけることができて
楽しめます。(上の写真では逆さまですが・・)
いるか座も海の遠くの方でピョンと飛び上がったイルカをイメージできる
形をしています。
この星座、紀元前1200年頃にはすでに認知されていて、古くから多くの
人に「ピョンと飛び上がったイルカ」として支持されてきたのだと思います。
神話でイルカが登場するものがあると、みなこのいるか座が割り当てられる
という、都合のよい使われ方をしています。
形のきれいさ、由緒正しさなどから名作の名に恥じない星座だと思います。
このいるか座の口に当たる先端の星(γ星)はきれいでかわいらしい
という表現がぴったり来る二重星です。
機会があればぜひ望遠鏡を向けたみたい星のひとつです。