春の星座シリーズ -その2- うみへび座

春の星座シリーズ2回目はうみへび座です。

うみへび座は頭の部分が冬の大三角の一角であるこいぬ座のプロキオンのすぐ
隣にあり、しっぽの先は初夏の星座であるてんびん座のすぐそばまでのびていて
東西100度 以上に広がるとてつもなくひょろ長い星座です。

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暗い星が多く、南に低いので端までつなげて見つけるのはたいへんですが、
全貌が見えたときはちょっと嬉しくなります。

とにかく長いので全貌を見ることができる時間が意外に短く、油断すると
頭が沈んでしまっていたりしますので、全貌が見えたときはよけい嬉しく
なるわけです。

うみへび座はただひょろ長いだけでなく空で占める面積も大きくて、全天88
星座の中で一番面積の大きなものです。

そんなことも暗い星がほとんどなのにこの星座を有名にしている理由かも
しれません。

長いのを見つけるもの楽しいですが、早春の頃には東の空に、しし座と並んで
威勢よく駆け上がって来る感じがいいです。

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まだとても寒い時期の夜更けに東の空に、この2匹の怪物たちが地平線を
駆け上がってくる姿を見ると何となく元気をもらえる気がします。

このうみへび座、しし座やかに座と同じくヘラクレス(星座ではヘルクレス座)の
荒行で退治される怪物のひとつです。

神話の中では首を切っても切ってもはえてくる、頭のたくさんあるヤマタノ
オロチみたいな怪物です。

なぜか星座の中では頭がひとつしかなく「ヒドラ」と呼ばれることから、
日本ではウミヘビと訳されてしまったようです。

西洋の星座絵の中にはたくさんの頭が描かれたものがあるのですが、星座絵と
してはそちらのほうが正解だと思います。

春の星座の中でヘラクレスに退治されてしまう怪物たちが集まっているのも
何となく哀れです・・・

うみへび座は大きな星座だけあって望遠鏡で楽しめる天体もいくつかあります。

メシエ天体は3つで、M48(散開)、M68(球状)、M83(系外)と3つともタイプの
違う天体です。

M48は空がきれいだと肉眼でもわかるほど大きな散開星団です。

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40cm望遠鏡で見ると大きく広がりすぎてあまりおもしろくないです。
双眼鏡で見るくらいがちょうど良いです。

球状星団のM68はかなり淡くて、40cm望遠鏡で見ても肉眼では星雲状に見えて
しまいあまり球状星団ぽくないです。

M068_130412

M83は南に低いのでなかなか良い条件で見えにくいのですが、条件の良いときに
見ると棒渦巻き型と呼ばれるタイプの形がわかります。

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最近の研究では私たちの太陽系が属する銀河系も棒渦巻き型らしいという
ことがわかってきたので、そういう目で見るとちょっと感動できるかも知れ
ません。

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