春の星座シリーズ -その5- おおぐま座

春の星座シリーズ「おおぐま座」です。

130510UMa

おおぐま座は北斗七星を含む星座なので、春の星座の中でも最もメジャーな
星座だと思います。

北斗七星を知らないかたはいないでしょうし、北斗七星なら見つけられるという
かたも多いと思います。

ただおおぐま座の中で北斗七星以外の星は暗い星ばかりなので、大熊の形を
夜空で結べるかたは少ないかも知れません。

北斗七星だけでもかなり大きな星の並びですので、大熊の全貌がわかると
その大きさに驚きます。

それもそのはず、全天で88ある星座のうちうみへび座、おとめ座に次いで
3番目の大きさがある星座なんです。

北斗七星以外の星は暗いものの星の並びとしては熊が連想でき、名作の部類に
入る星座だと思います。

熊にしては尻尾が長いですが、これも神様が熊を天に上げて星座にするときに
尻尾を持って放り投げたからだという設定になっていて、芸が細かいです。

この大熊、もとはカリストという名で正義の女神アルテミスの侍女だった
のですが、ゼウスに愛され身ごもってしまったため潔癖症のアルテミス
(ゼウスの正妻ヘラという説もあるのですが)に熊の姿に変えられてしまいます。

ゼウスとの間に生まれた子(アルカス)は長じて狩人になるのですが、あろう
ことか熊に化身した母を母とは気づかずに射殺そうとします。

これを見たゼウスが哀れに思い慌てて息子のアルカスも熊に変えて天に上げた
ということになっています。

アルカスの方はこぐま座になっているというわけです。

おおぐま座でぜひ見て頂きたい天体は、北斗七星の一角をなすミザールです。

この星、上の写真でもわかると思いますが、右下に小さなお供の星を連れています。

お供の星をミザールといいますが、昔から肉眼で見える二重星と知られています。

4等星なので空のきれいなところでないと見えにくいですが、スタパでは
わりと簡単に見ることができます。

古代ギリシアでは兵隊さんの視力検査に使われていたということになって
います。

さて、おおぐま座の見所はミザールだけではありません。

たくさんのメシエ天体があり、わりと見えやすいものがいくつかあります。

おおぐま座のM天体の中で一番見えやすくて見応えがあるのは系外銀河の
M82だと思います。

130511M082_130109

爆発銀河と呼ばれ、爆発的に星が形成されているそうで、複雑な暗黒帯が入り
組んでいます。

肉眼ではここまで見えませんが、何となく明るさにムラがあるのがわかります。

M82の近くにはもう一回り大きな系外銀河M81があります。

130511M081_130109

このM81写真うつりは良くてきれいな腕が写るのですが、肉眼では中央の
バルジの部分だけしか見えないことが多いです。

スタパの空では年に1~2度条件のすごく良いときにかろうじて2本の角が
でているのを見ることができる程度です。

M81・82は大熊の頭のあたりにあり(大きな星座ですので)、油断すると
早い時期に西に傾いてしまいます。

春の早い時期に見るのがお勧めです。

惑星状星雲M97(ふくろう星雲)は星雲の中に黒い丸が二つ見えてフクロウの
顔のように見えることからこの名前で呼ばれています。

130511M097_130411

肉眼では星雲の存在自体ははっきりわかるのですが、目が2つあるとわかる
ことはあまりないのですが、系外銀河が多い春のM天体の中で何となく気になる
天体です。

カテゴリー: 星空解説, 春の星座 パーマリンク