「秋の星座」シリーズ 「うお座」です。
うお座はお誕生日の12星座のひとつでもあるので、名前だけは良くご存じ
だと思います。
でも実際の夜空で見付けようと思うとかなり苦労します。
一番明るい星でも3.6等星なので、有名なわりには都会ではとうてい見付ける
ことができない星座のひとつです。
でも星のきれいなところではペガススの四辺形を挟むようにV字形の星の
並びが意外に簡単に目に入ってきます。
また、ペガススの四辺形の下(南)にあるつぶれた輪っかはよく目につきます。
この星の並びからは「どこが魚なの?」といった感じかも知れないのですが、
星座絵ではα星のアルリシャ(またはアルリスカ:ヒモという意味)を起点に
2本のヒモが伸びそれぞれの先に魚が結ばれているという姿が描かれています。
この魚、やぎ座のパーンさんが化け物に追いかけられて化け損なった時に、
うまく魚に変身して逃げおうせた二人の神様の姿だといわれています。
美の女神ビーナスとその子供キューピッドで、逃げるときに離ればなれに
ならないよう、お互いをヒモで結んだという神話が星座になっているわけです。
うお座が暗い星ばかりで見付けづらいのは、深く潜って化け物に見つからない
ようにしているからかも知れません。
うお座は明るい星も少なく、形も魚を想像できる星座ではないのでどちらかと
いえばマイナー星座の部類なのですが、黄道12星座のひとつであるだけでなく
星空の座標や暦の基準点となる春分点があるため天文学的にはかなり重要な
ポジションにあります。
と、言い訳してみたところでそれは「オタク」レベルの話で、正直なところ
見た目にはあまり花のある星座ではありません。
さらに残念なのは望遠鏡を使って見回してもあまり楽しい天体がないことです。
強いていえばM74(メシエ天体カタログの74番)という星雲星団の中では
メジャーな天体があるのですが、このM74はメシエ天体の中でも特に見えに
くい天体のひとつです。
フェイスオン銀河といって銀河を上下方向から見る形の系外銀河です。
系外銀河の場合斜めや真横から見るようなものの方が光の密度が高くなり
見えやすく、フェイスオンだと見えにくいという特性があるので、
写真のようには見えないのです。
スタパの40cm望遠鏡で見ても中心部以外は何かがホンワカとある・・
という感じにしか見えません。
というわけで肉眼で見ても望遠鏡で見てもあまり楽しめない、ちょっと
残念なうお座でした。