おおいぬ座と言えばなんとってもα星のシリウスが有名ですね。
実際にどんな星か知らなくても名前だけは聞いたことがあるのではないかと思います。
ハリーポッターの小説の中でハリーの名付け親はシリウス・ブラックでしたし、風の谷のナウシカの中ではナウシカが「シリウスに向かって飛べ!」というセリフがありました。
なんでそんなに有名なのかというと、全天に見えている恒星の中で見かけの明るさが一番だからです。(-1.5等星)
星に見える天体(月や太陽は除外します)の中では金星、木星に次ぐ明るさです。(厳密にはごく稀に火星と水星がシリウスより明るくなる時期があります。)
冬の1等星6個で作られる「冬のダイヤモンド」の中でも一番南側に位置するので、振り仰がなくてもすぐ目に入るので、とても目立つ星だと言うこともあると思います。
星座の形もわりと整っていて、犬だと言われれば確かに犬に見えますので、名作星座の部類にはいると思います。
おおいぬ座で面白いのはシリウスが全天一明るい1等星なのですが、おおいぬ座には全天一明るい2等星があるのです。
全天一明るい2等星というのは変な表現なのですが、1等星と2等星の区切りがどこにあるかというと1.499等星までは1等星と言い、1.5等星より暗いと2等星という決まりになっています。
それで、おおいぬ座の後ろ脚の付け根の星(ε星:アダラ)はちょうど1.5等星の明るさがあります。
1.5等星~2.499等星までの2等星にくくられる星たちの中で一番明るいのがこのアダラだというわけです。
おおいぬ座の神話もこいぬ座同様あまりハッキリしません。
というかギリシャ神話に出てくる犬はみんなおおいぬ座とこいぬ座で分担しているという感じだからです。
オリオンの猟犬であるとか、地獄の番犬ケルベロスであるとか、こいぬ座とお同じくアクタイオンの猟犬であるとか、アルテミスの侍女の猟犬であるとか決め手になる逸話がないようです。
あまり誰々の犬と固定しないほうが星座を見ながら物語を語るときには便利なのかも知れません。
おおいぬ座では眺めて楽しい天体を二つだけ紹介しておきます。
写真はシリウスの約4度南にある散開星団M41です。
わりと大きめの散開星団なので大型の望遠鏡だとはみ出したり散漫に見えてあまり面白くないですが、双眼鏡でもすぐに散開星団だと分かる低倍率向けの天体です。
もう一つはおおいぬのお尻の少し上にある145番星。
この星はきれいな色の対比が楽しめる二重星です。
4.8等星の主星は黄色、6.0等星の伴星は水色で冬のアルビレオとか南のアルビレオと呼ばれています。
(アルビレオははくちょう座のクチバシの星で、全天一美しいと言われている二重星です。)
3等星のアルビレオよりも暗いので口径の大きな望遠鏡のほうが色がよく分かります。
145番星の付近は冬の天の川になるので、空のきれいな場所では双眼鏡で眺めても、とても豪華で天の川クルーズが楽しめます。