月光浴の科学(サイエンス)  -その2-

-月の公転と満ち欠け-

「月夜に提灯(ちょうちん)」という言葉をご存じでしょうか?

半月より太った月が空にあれば、夜道を歩くのにそれほど
困ることはありません。

質素であることが粋であるという美意識があった江戸時代に、
「月夜に提灯」とは、なんて野暮なんだ・・・
という意味で使われた言葉です。

野暮なこと、無駄遣いを戒める意味があると思って良いでしょう。

照明のない昔は、空に月があるかないかで夜の活動の仕方が大きく
変わってきます。

満月以降の月齢に応じた月の呼び方が違うのは、月を愛でるという
意味もありますが、月が昇る時刻をある程度把握するための生活の
知恵であったと考えることもできます。

さて、月が毎日少しずつ昇ってくる時刻が変化するのはなぜで
しょうか?

月は約29.5日で満ち欠け(朔望)を繰り返しています。

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新月の時は、ほとんど太陽と同じ方向にあります。
(太陽が沈むのと一緒に西の空に沈んで行きます。)

1週間ほどすると日没時に真南に半月が見えます。

さらに新月から15日して満月になると太陽とは180°の位置まで
離れ、日没時に東から昇ってきます。

満月からさらに15日するとまた新月になるという訳です。

つまり29.5日かけて地球を一周するわけですから、地上から見ると
一日に29.5分の1周ずつ空の上を西から東に動いて行くことになります。

見方を変えれば、一日24時間の29.5分の1ずつ昇る時刻がずれて行く
ことになります。

24時間 ÷ 29.5 = 0.813時間 = 約49分

つまり毎日49分ずつ月が昇る時刻が遅くなるということになります。
(厳密には月が地球を回る軌道が楕円であることや、様々な要因から
この49分という時間はかなり変動します。平均すれば49分と解釈して
下さい。)

月は毎日同じ位置に、同じ形で見えるわけではないのです。

面白いのは、月齢(月の形)が同じなら、時刻によって見える方角が
だいたい同じになります

例えば満月なら夏でも冬でも、日没頃に東の空に昇り、真夜中に
真南にあり、日の出の頃に西の空に沈みます。

季節により多少高度は違うのですが、方角はほぼ同じになるわけです。

普段何気なく見ている月ですが、こんなふうに立体的に地球のまわりを
回転しているというように考えて見てみると、少しだけ天体の運行の
イメージが分かるような気がしないでしょうか・・・?

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