春の星座シリーズ、今日はからす座とコップ座です。
からす座とコップ座は長~いうみへび座の上に乗るような位置にあります。
北斗七星の柄杓の柄の部分からアルクトゥールス・スピカとつながる春の
大曲線の延長上にあるので見つけやすいです。
からす座は南中時にはおとめ座のスピカの右下にあって、帆掛け船のような
不等辺四角形がよく目につきます。
このカラス、もとは銀色の羽を持つ美しい鳥だったそうです。
でもとても嘘つきで、人を困らせているばかりだったので、神様に黒一色に
変えられ夜空に銀のピンで張付られてしまったそうです。
闇夜にカラスは見えませんから、ピンだけが見えているのだそうです。
暗い星ばかりなので都会では見つけにくいかも知れないのですが、小さい星座
なので双眼鏡で見つけることができると思います。
からす座のずっと下の方の地平線下には南十字星(南十字座)があります。
ということは日本でからす座が見えている頃に南の方に旅すれば南十字星を
確実に見ることができるわけです。
からす座自身はマイナーな星座ですが、南十字の目印という意味でぜひ覚えて
おきたい星座です。
からす座の見所ですが、からす座自身には小さな星座ということもありあまり
お勧めの天体はありません。
強いていえば左上の星(=アルゴラブ)くらいなものです。
アルゴラブは黄色の主星と藤色の伴星のきれいな二重星で小さな望遠鏡でも
よく見えます。
先日紹介したおとめ座の系外銀河M104はからす座との境界近くにあるので、
アルゴラブから北にたどった方がわかり易いです。
またうみへび座の球状星団M68もアルゴラブから南にたどった方が見つけやすいです。
M68は淡い球状星団なのであまりお勧めの天体でもないですがね。
続いては「コップ座」。
3.5等星から5.2等星という暗い星ばかりで構成される「まさに」マイナー星座と
言えますが、星座の形としては名作の部類に入ると思います。
都会では双眼鏡を使ってもたどるのが難しいほどですし、スタパでもよほど
クリアに晴れ渡った日でないと南中高度が低く見つけられません。
形としては日本語の「コップ」というより西洋の杯(カップ)に近いものです。
まあコップもカップも語源は同じですから、この辺は勝手な思い込みですが、
ようやく見つけても、形がかなりゆがんでいて違和感があります。
以前からこの違和感がズッと気になっていたのですが、最近になって星座と
いうものはもっと自由に楽しんでよいのではないかと思うようになりました。
天文学で星座の区切りが決められたのは1931年のことで、それ以前には
かなり自由に星座が作られていました。
その名残で、アンドロメダ座のα星はアンドロメダの頭にありますが、
アルフェラッツ(=馬のおへそ)という固有名詞で、実際ペガスス座のおへそに
位置しています。
またぎょしゃ座のβ星は牡牛座の向かって右の角の先に位置しています。
そういった自由な発想でコップ座を見ると「うみへび座」のν(ニュー)星を
借りると、かなり左右対称に近いりっぱなカップが浮かび上がってきます。
いかがでしょう?この形ならマイナーながら「名作」と呼んでも良いように
思えます。
あまり天文学上の決め事に捕らわれずに、自由に星座をたどるのも楽しい
ものです。