冬の星座シリーズ -その3- ぎょしゃ座

「ぎょしゃ」とひらがなで書くと子供さんなどでは意味の分からないことも
あるようです。

ぎょしゃ座の「ぎょしゃ」は馭者(=馬車を操縦する人)です。

というと馬車に乗った人が星座になっているのかというとそうでもなく、
星座絵では子ヤギを抱いたおじさんがいるだけです。

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この人物はアテナの王様エリクトニウスだといわれています。

エリクトニウスは生まれつき脚が不自由だったのですが、馬車を発明し、これをいつも乗り回して戦場で活躍していたので、馭者座として星座になったといわれています。

ぎょしゃ座の左肩(むかって右)に輝くのは0.1等星のカペラです。

冬の1等星の中では一番早く昇ってくる星で、1等星の中でも一番北寄りに位置する(=北半球では一番地平線上に出ている時間の長い)星です。

カペラは「雌ヤギ」という意味でエリクトニウスが抱いているヤギで、上の写真ではカペラとその下の小さな三角があるあたりがヤギの部分です。

ぎょしゃ座の5角形の左下の星はおうし座の角の先と共用されています。

もともとは「どっちでも良いじゃないか」というおおらかな区分けだったのですが、現在はおうし座β星ということになって、星座絵としてはぎょしゃ座が借りている形になっています。

写真でも分かると思いますが、ぎょしゃ座は天の川の中にあります。

冬の天の川で少し淡いですが、条件の良いときに双眼鏡でこのあたりを見ると細かい砂をばらまいたようでとてもきれいに見えます。

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ぎょしゃ座は0等星のカペラのほか、2等星が2個、3等星が5個で形作られていて、88星座の中でもかなり派手なほうですし、薄いとはいえ冬の天の川が星座を横切っているので星の数がとても多い豪華な星座と言えます。

冬の星座でなければきっともてはやされるところですが、超豪華なオリオン座を初めとした冬のダイヤモンドの一角をなすので、あまり大々的に採り上げてもらえない、ちょっと可哀相な星座だと私は思います。

きれいな空の下で、ぎょしゃ座周辺を双眼鏡で眺めると細かい星がたくさんあって本当に見ごたえがあります。

天の川沿いなので散開星団がたくさんあります。

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中でもM36,37,38は大きな散開星団で比較的近くに並んでいるので、同じ散開星団といっても望遠鏡で見るとそれぞれの個性の違いを楽しむことができます。

M36は比較的明るい星がバラバラとしていて、小口径向きです。

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M37は非常に細かい星がたくさんあって大口径向き

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M38は36と37の中間のような見え方をします。

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空のコンディションや使用する望遠鏡によっても見えかたが変わりますのでぜひご自分の目で確かめて頂きたいと思います。

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