月光浴の科学(サイエンス)  -その6-

-明るい冬の月-

前節は単純な計算で、冬至の頃の満月が夏至のそれより2.5倍も明るい
というお話をしました。

これは地面を単純な水平面と仮定しての話です。

でも実際の地面には凸凹もあり、木々や草も生えています。
(都会ではビルや家や車が・・になりますが)

満月が高く昇っているか、そうでないかによって地面の上の影の
面積は大きく違ってきます。

影の部分が多ければ見た目に明るいと感じませんし、実際の平均
照度も低くなります。

冬至の頃の高い満月と、夏至の頃の低い満月の影の長さは5倍近くも
違うので、視線方向と影の位置関係によっては、感覚的には数倍も
明るさが違うことになります。

さらに・・・

090929gekkou

冬になれば、森の木々からは葉が落ち、広葉樹の多い森であれば
人工光がいらないほど明るくなります。また、開けた野原では草も
枯れ果てて地面には影ができなくなります。

さらに、さらに・・・、

090929gekkou2

雪が積もれば、地面の反射率が飛躍的に
高くなり、見た目の明るさ感は想像以上のものになります。

ちなみに雪の反射率は90%を越えます。通常の地面や植物の反射率は、
せいぜい30%程度ですから、視覚的に3倍以上の明るさ感が確保
されることになります。

以上を総合的にみると、冬の満月というのは、理論値で2.5倍、
感覚的には軽く10倍から20倍も夏より明るいと考えてよい
ということになります。

さらに、さらに、さらに・・・

大泉町が位置するのは八ヶ岳の南麓・・・、

そう! 南斜面なのです。 南斜面ということは、南中した月に
対して、より法線照度に近づくように地面が傾いているわけで、
月の明るさを確保する上で、絶好のロケーションということに
なるのです。

まっ、最後はちょっと悪のりの「おまけ」でしたが、冬の満月の明るさの
訳が良く理解頂けたと思います。

いくら口で説明するよりも実際を見ていただくのが一番だと思う
のですが・・・

それはもう、家の中にこもっているのはもったいないと思うほど
の明るさで、散歩でもしないと気が済まない(魂を揺さぶられる
ような)感じです。

ちょっと寒いですけどね・・・

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