超入門 望遠鏡光学(その17) 接眼レンズの謎(2)

今日は終日良い天気。

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八ヶ岳ブルーに、満天の星、深夜には下限前の月夜が楽しめました。

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秋色がだいぶ濃いです。

8.接眼レンズの謎

8-3. 接眼レンズが2枚以上のわけ

接眼レンズを一枚のレンズだけで済ませようとすると、見かけ視界はレンズの径の大きさで決まってしまうため、高倍率(=短焦点)の接眼レンズは必然的に径が小さくなってしまうので困る・・というのが前節の内容でした。

それでは径を小さくしないで焦点距離を短くする方法は無いのでしょうか?

結論から言うと、複数のレンズを重ね合わせれば合成の焦点距離はドンドン短くなります。

たとえば虫眼鏡を2枚組み合わせれば1枚のときより合成の焦点距離が短くなって、倍率が高くなります。

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上はパソコンののデスクトップ画面を撮影したものですが、左から虫眼鏡無し、虫眼鏡1枚、虫眼鏡2枚の時のものです。

つまりこのようにレンズを重ね合わせることによりレンズ径を小さくすることなく、焦点距離を小さくできるというわけで、接眼レンズが2枚以上のレンズを組み合わせて使っている理由が分かります。

・・・と、「超々・・」シリーズ的には、ここで話を終わりにしても良いのですが、マニアックな方向を目指す方のためにもう少し解説を続けたいと思います。

8-4. 2枚レンズで接眼レンズを設計するための基礎

前節は2枚のレンズを組み合わせれば1枚のときより(レンズ径を変えずに)焦点距離を短くできることを説明しました。

ここではこの原理をもう少しマジメに解説します。

下の図は2枚のレンズをある間隔(d)で置いた場合の合成焦点距離とバックフォーカス(レンズ後端から焦点までの距離)の説明図とそれぞれを求める計算式を示しています。

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数式を書かれてもピンと来ないかも知れませんので、実際に数字を入れて計算した結果をグラフにしてみます。

ここでは話を簡単にするため、レンズ1、2とも焦点距離10mmとして間隔を0mm~10mmまで変化させました。

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レンズ間隔が0mm(実際にはありえませんが)のとき焦点距離は5mmでバックフォーカスも5mmになります。

つまり焦点距離10mmのレンズを2枚ぴったりくっつけると、焦点距離5mmのレンズができたのと同じことになります。

また、間隔が10mmになると合成焦点距離は10mm、バックフォーカスは0mmということになります。

このグラフは2枚のレンズの焦点距離が同じなら相似の曲線でレンズの焦点距離に対する比率でグラフを表すことができます。

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つまりどんな焦点距離でも2枚をぴったくっつければ、焦点距離は2分の1になり、焦点距離と同じだけ間隔を離すと、焦点距離と合成焦点距離が等しくなるという関係はおなじで、グラフの比率ともとのレンズの焦点距離を掛け合わせれば合成焦点距離とバックフォーカスが計算できることになります。

(続く)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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