「ガリレオ望遠鏡の謎(ミステリー)」に挑む その8(完)

今日は一日微妙な天候。

160702sora

ときおり青空が広がるのですが、とても水蒸気が多い感じで、すぐに曇って雨になってもおかしくないような天候でした。

気温はそれほど高くない(25℃くらいか)のに、蒸し暑くて少し動くと身体中ベタベタするイヤな気候でした。

160702hana

スタパの敷地内ではコスモスの花が咲き始めました。
さて「ガリミス」シリーズいよいよ最終回です。

といっても、結論はこれまでにも述べているのでまとめようなものですが・・・

今日では望遠鏡の接眼レンズはほぼ100%複数のレンズを組合わせて、レンズを1枚しか使用しない場合の欠点を補うように使用しています。

しかし、ガリレオさんの時代にはまだレンズの製作技術が充分に確立されておらず、精度の高い安定した品質のレンズを作ることが出来なかったのです。

ガリレオさん自身、生涯に100本以上の望遠鏡を製作したと言われていますが、まともに見えたのは3割に満たなかったとガリレオさん自身が言ったと記録されているようです。

ですから「ガリミス」に挑むためには、対物レンズはもちろん、接眼レンズもシングルレンズを使うという前提で同仕様のケプラー式とガリレオ式の望遠鏡を準備する必要がありました。

この結果、シングルの接眼レンズでは、視界が広いわりに良像範囲の狭いケプラー式と、視界は狭いけれど良像範囲はケプラー式よりも広く正立像のガリレオ式という特性が明らかになりました。

もちろんガリレオさんがケプラー式を試したかどうかを解明したわけではありませんし、記録にも残っていません。

ガリレオさんの時代、望遠鏡は発明されたばかりで、いち早く敵の動向を知ることが出来る新兵器という位置づけであったため、細かい仕様を明らかにしない傾向があったようです。

ガリレオさん自身、細かな天体の観測をしているのにもかかわらず、どんな架台に望遠鏡を載せて観測したかなどの記述も残していません。

ガリレオさんが使用した望遠鏡は視点固定では月の5分の1(6′)位しか見えなかったので、(現代の望遠鏡では500倍くらいの視野)相当しっかりした架台が必要だったはずなのですが、全く記録に残っていないのです。

090622galileo3

この写真は良く見かけるものですが、後世に展示用に作られたもので実際にはこのような架台ではなかったようです。

どうもノウハウが漏れるのを恐れたのか、とても重要なところを巧妙にぼかしていることが多いのです。

まあ、ガリレオさんがケプラー式を試したかどうかは歴史の闇の中だとしても、当時ガリレオ式こそが望遠鏡として最も優れた光学系であったことに違いは無いです。

今日の私たちの感覚からはかなりかけ離れた結論ではあるのですが、ガリレイさんは正しい選択をしていたのだという事になります。(完)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
カテゴリー: 天文関係, 望遠鏡・機材, 自然 パーマリンク

「ガリレオ望遠鏡の謎(ミステリー)」に挑む その8(完) への3件のフィードバック

  1. めりべ のコメント:

    オーナー様、初めまして
    ガリレオの望遠鏡1-3と1~8興味深く読ませていただきました、
    私は天体は素人なので望遠鏡も持っていません。

    ただ去年の月蝕-天王星掩蔽はさすがに気になり、普段鳥撮影用に使っている「高倍率ズーム超望遠が売り物の全然コンパクトでないコンパクトカメラ」で挑戦しました。
    なんとかそれっぽいのが写ったので、今度は明るかった木星を狙ってみたらガリレオ衛星が撮れました。

    すると今度は当時のガリレオには木星は実際にはどんな風に見えていたのか、展示されている望遠鏡の外観ではなくその実像を知りたくなりました。
    中々無いもので、探してここにたどり着きました。

    読んでいて感じたのは、あの不自由な望遠鏡でよくぞ周囲の星を公転と見抜いた観察力・実証力です。
    そこからの帰納的推論はさすが天才のなせる業ですが、そのベースにまず徹底して事実を探求する大変な努力と執念があったことを改めて感じました。
    私なんぞがおこがましいにもほどがありますが、率直な感想です。大変参考になりました、ありがとうございます。

  2. スタパオーナー のコメント:

    めりべ さま
    少し古い記事ですがご感想を頂きありがとうございます。
    当時の技術の中であれだけの研究をなしえたガリレオさんの観察力と洞察力は本当に驚愕に値すると思います。
    確かにガリレオさんの望遠鏡でも(観察はとてもたいへんですが)、月のクレータが見えます、木星の衛星が見えます、スバルが星の集団であることが分かります。
    でもその観察の結果から様々な新発見としての結論を導き出すことが出来たのはまさに天才的慧眼があったからと思います。
    実際にガリレオさんの望遠鏡に近い機器で見て改めてガリレオさんのすごさを思い知った気がしました。

    めりべ様がお持ちの「高倍率ズーム超望遠が売り物の全然コンパクトでないコンパクトカメラ」をもしもガリレオさんが使ったらどんな研究をしてくれるのか等と考えるとそれでケでワクワクしてしまいます。

  3. めりべ のコメント:

    早速のご返答ありがとうございます。
    ガリレオさんについてはおっしゃるとおりだと思います。
    大阪市街地なので暗い星は撮影できないと頭から思い込んでいた私が恥ずかしいです。
    機会があれば手元にある機材を最大限に生かして又何か天体に挑戦します。
    普段はマクロや顕微鏡写真ばっかり取っているのですが、天体写真と似ている気がします。
    ・ブレに弱い
    ・実行f値が大きい
    ・色収差しっかり補正されていないと使い物にならない。
    レンズ構造が似ているのでしょうか。
    でもどちらも肉眼で見えないものが見える、撮れるというの同じでいつもワクワクします。
    これからも機会をみて寄らせていただきます。よろしくお願いします。
    レンズの構造が

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください