超々!入門 望遠鏡光学 接眼レンズの謎 - その6 (完) -

さて、かなり間があきましたが「超々・・」シリーズ 接眼レンズの謎
なぜ接眼レンズは2枚以上のレンズを組み合わせているのか? の続き、
その6(最終回)です。

前回は2枚の同焦点の単レンズを組み合わせたときの合成焦点距離と、バック
フォーカスの計算について解説しました。

(実はここから先がこのシリーズの一番重要なところなのですが、
分かりやすい図を作成するのに私自身の理解が十分でないこともあり
かなり時間が掛かってしまい間が3週間近く空いてしまったというわけです。)

2枚のレンズでの話に入る前に単レンズの接眼レンズで見かけ視界がどの程度に
なるのかについて説明しておきます。

手持ちのレンズカタログの中から焦点距離が20mmの接眼レンズとして使え
そうなレンズで光路図を書いてみました。
(焦点距離:20mm、径:15mm、中心厚:4.2mm、フチ厚:1.0mmのレンズです。
また、対物レンズの口径比はF5程度を想定しています。)

上図ではレンズ径のわりにかなり分厚いものを使用していますが、これでも
見かけ視界(2×θ1)は30度程度です。

焦点距離が変わっても 焦点像:レンズ:アイポイント の位置関係は相似に
なるので見かけ視界は単レンズである限りそれほど大きく変わりません。

次に焦点距離が25mmのレンズを2枚使って20mm接眼レンズを作ることを
考えます。

前回紹介した図で25mmのレンズの合成焦点距離とバックフォーカス求めると、
焦点距離20mmにするにはレンズ間隔18.2mmにすれば良く、このときバック
フォーカスは5mmになります。

手持ちのレンズカタログの中から焦点距離:25mm、径:18mm、中心厚:4.6mm、
フチ厚:1.0mmを選び光路図を書いてみました。

バックフォーカスが短くなることから、焦点像と視野レンズの距離がたいへん
近くなります。(それだけで見かけ視界が広がります。)

また、単レンズのときより大きなレンズが使えること、眼レンズで視野レンズを
拡大してみる形になることなどから、単レンズのときよりも大幅に見かけ視界を
大きくすることができているというわけです。

さらっと書きましたが、ここがキモで、接眼レンズを2枚のレンズで作る理由の
もっとも大きな理由です。

見かけ視界をさらに広くするために、レンズの枚数を増やすなど様々な手法が
あって、今日では本当にいろいろなタイプの接眼レンズが生まれています。

どんな形式の接眼レンズを使ったらよいのか訳が分からなくて困っている人も
多いかも知れません・・・

その辺についてはいずれ機会を見つけてお話できればと思っています・・・

今回の解説はあくまでも概念を理解して頂くためのものです。
図の正確性などにつきましてはかなりいい加減ですのでご理解くださいm(_ _)m
また、今回は2枚のレンズの外側に焦点のある正の接眼レンズについて
解説していますが、これとは少し原理の異なり2枚のレンズの内側に焦点が
ある負の接眼レンズもあります。
これについてもいずれ機会を見つけ解説できればと思っています。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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