コリメートでEAA その2

今日は雨のち曇りでまた雨が降って、夜遅くなって晴れました。

さて金星食騒ぎで一日開きましたが、コリメートでEAAの続きです。

下は今回セレストロンのシュミカセC5(D127mm/f1250mm)と組合わせたコリーメート撮影の接眼部分の部品です。

天頂プリズムを介し上が眼視観察用のズーム式接眼レンズ(SVBONY21.6-7.2mm)、下がコリメート撮影用の接眼レンズとカメラです。

これをバラすと、

① 天頂プリズム
② UV/IRフィルター
③ 接眼レンズ(セレストロンのズーム式接眼24-8mm)
④ M42-31.7mm接眼アダプター
⑤ 31.7-カメラレンズ スペーサー
⑥ CCTV用カメラレンズ(6mm/f1.2)
⑦ CCTV用カメラレンズ-M42アダプター
⑧ CMOSカメラ(Neptune-CⅡ)

という構成になっています。

②のフィルターは本来カメラ側に付けたいところですが適切な取り付け場所がないので接眼レンズの先端に付けています。

Neptune-CⅡと6mmのカメラレンズの組合わせでは35mm換算で45mm程度の標準レンズに近い画角になります。

24-8mmのズーム式接眼レンズの組み合わせでは
広角端(24mm)での焦点距離は、倍率52倍→6mm×52=312mm/F2.5 35mm換算2340mm
望遠端(8mm)での焦点距離は、倍率156倍→6mm×156=936mm/F7.5 35mm換算7020mm
となります。

広角端ではF値2.5という極めて明るい超望遠レンズになり、
望遠端では焦点距離7000mm相当の惑星撮影まで可能な超々望遠レンズになることになります。

この辺の詳しい解説は「お気楽EAAにはコリメート方式がお奨めなわけ その1~4」をご覧下さい。

こんな難しそうな撮影システムですが、仕様の近い接眼レンズと取り替えるだけでカメラに映し出される写野とほぼ同じ範囲が眼視で観察できます。

ピント調整もごくわずかですむので気楽に眼視とEAAを行ったり来たりできます。

以前にも紹介しましたがフリップミラーを活用したシステムにすればほとんど瞬時に眼視とEAAが切り替えられるので、観察会などではとても重宝すると思います。

ただしもちろん欠点もあります。

下は広角端で撮影したみずがめ座の惑星状星雲NGC7293です。

たいへん淡い星雲なので強調処理をすると光軸ズレ(主に接眼レンズとカメラレンズ)も強調されて背景の濃度にかなりムラが出ますし、片ボケも見られます。

もう一例、同じく広角端で撮影したちょうこくしつ座の系外銀河NGC253です。

こちらも写野の下の方が暗くなり星像もボケています。

EAAというレベルでモニターを見ているレベルでは1~2分くらいスタックすれば眼視で見るより遙かにくらい部分まで見えて充分な気もするのですが、画像に残して活用するのには少し残念な感じです。

光軸合わせとレンズ間の適切な配置などを確実に設定できる手法を確立できればもう少し改善できるとは思いますが・・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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コリメートでEAA その2 への4件のフィードバック

  1. 大石 賢 のコメント:

    スタパオーナー様

    度々で申し訳ありませんが、また質問させていただきます。

    今回の作例のように、セレストロンズームアイピースの見口側の42㎜ネジを利用してカメラアダプターを接続しても片ボケは発生してしまうのでしょうか。

    また、NGC253の画像は、8秒露出、16コマスタックの結果でしょうか。

    コリメートでここまで描写できるとは驚きです。

  2. スタパオーナー のコメント:

    大石様
    この記事で紹介している部品展開で④接眼アダプターと⑥CCTV用レンズの径が大きく異なるのでいい加減なスペーサーを入れているのですが、これが良くないようです。
    かなり真面目にセンタリングしないと片ボケが発生してしまうようです。
    特にセレストロンのズーム式接眼はアイレリーフやセンタリングの許容差が小さくて難しいように感じます。
    SVBONYのズームの方がアイポイントが寛容でこういったエラーが起きにくいように思うのですが、構造的にコリメートに使用しようと思うとかなり大掛かりなものになってしまうので悩ましいところです。

    NGC253の画像、下の画面キャプチャー画像は8秒×16スタック(128秒)、上の画像処理したものは8秒×37スタック(296秒)の画像です。
    経緯台でも自動追尾ならそこそこスタックしてくれるのと、F値の大きな鏡筒でもコリーメートなら合成F値を明るくでき短時間露光でも結構写ります。
    作品レベルの写真を撮ろうと思うとかなりハードルが高いのですが、見たものを記録として残すというレベルなら充分のではと思っています。

  3. 大石 賢 のコメント:

    スタパオーナー様
    詳しいアドバイスありがとうございます。

    私の場合、ミューロン210の直焦点よりコリメートの方が明るく写り、ズームアイピースを使えば眼視同様に倍率変更も容易でメリットが多そうです。

    作品レベルの画像撮影でなく、眼視では大型望遠鏡が必要な対象を見ることが主目的
    なので、これからデジタルコリメート撮影に取り組んでみます。

  4. スタパオーナー のコメント:

    大石さま
    なるほど、そういった使い方でしたコリメート撮影はベターな選択だと思います。
    F値の大きな主鏡ではいくらレデューサーを用いても1/3くらいに縮めるのが限界ですが、コリメート撮影なら1/4くらい迄は十分可能です。
    縮小率は接眼レンズとカメラレンズの焦点距離の比で決まるので、カメラの画角を考えると小さめのセンサーが良いと思います。
    コリメートの場合、円形写野になるため、正方写野で切り取ることを考えると1/3~1/2インチのセンサーを使ったCMOSカメラが適していると思います。

    うまく活用できると良いですね。

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