望遠鏡を買う前に-Vol.6

望遠鏡を買う前にするべきこと-その4

いよいよ夏休みに突入ですね。
「買う前」シリーズが中途半端なままになってはいけないので、今回は星座の覚え方です。
夏休みが終わったらハード面の解説を進めたいと思いますが、ソフト面の解説は今回で完結となります。

星座の憶え方
星座を覚えるということは星空観察の本当に第一歩の基礎で、パソコンで言えばキーボードの配列を覚えるのと同じくらい重要なことだと以前書きました。
また、星座を憶えるのはそれほど難しくないと書きましたので、今回は覚え方のコツを紹介します。
星座が一巡するのには1年間かかるので、この間に季節毎に10個くらい覚えて、40個の星座がわかるようになれば、充分な星座ツウといえるレベルになれます。
また、それほど暗い星が見えなくても(星座を形作っているのはほとんど3等星くらいまでなので)よほど光害(ひかりがい)のひどい繁華街でもない限り充分覚えることは可能です。
ちなみに私の実家は都心の山手線の内側にありますが、空気が澄んだときには今でも3等星までは充分見ることができますので、空が明るくて星座が憶えられないという言い訳はできませんよ。すぐ近くにネオンサインや街灯がギラギラしているようでしたら、少しだけ閑静な公園などを探してみてください。
それでもあまり暗い星が見えないというのであれば、できるだけ低倍率(8倍以下で低いほど良い)で広視界の双眼鏡を準備すると良いと思います。
双眼鏡の話をしだすとこれだけでまたしばらく本編に帰って来れなくなりそうなので、多くは語らないことにしますが、実は望遠鏡を買う前に双眼鏡を買うというのはとても賢い選択であることだけは断言できます。
 さて、双眼鏡以上に絶対に必要なのは「星座早見盤」です。

様々なものが売られていて書店や望遠鏡ショップで購入できますが、インターネットからダウンロードして簡単に自作することもできますし、天文雑誌の付録に付いてきたりすることもあります。。
わざわざお金を出して買わなくても、はじめは紙製の安い物で充分なのではないかと思います。
はじめは早見盤上の星座の大きさと実物の大きさとの違いや、星座の形のゆがみが気になったりしますが、キーになるいくつかの星座を憶えてコツがわかるとあとはそれほど難しくなくなると思います。
さて、具体的な星座の覚え方ですが、季節ごとに見つけやすい有名な星座をいくつか覚え、だんだんとその周囲の星座を覚えてゆくのが一番順当な方法だと思います。
有名な星座イコール見つけやすい星座とは限りませんので注意が必要です。
誰でもが名前を知っている星座として「星占い」に使われている黄道12星座があります。黄道12星座のなかには少し見つけづらい星座もあるのですが、ぜひ頑張って覚えて頂きたいと思います。12星座を四季で(無理やり)分けると季節ごとに3つの星座があることになります。
夏ですと「てんびん座」・「さそり座」・「いて座」になると思います。
これに夏の大三角を作る「ベガ」(織姫)=「こと座」、「アルタイル」(牽牛)=「わし座」、「デネブ」=「はくちょう座」、さそり座を踏んづけるようにある「へびつかい座」と「へび座」、少しマイナーですが「ヘルクレス座」と「りゅう座」を覚えておけば充分だと思います。
秋の黄道12星座は「やぎ座」「みずがめ座」「うお座」になります。いずれも少し暗い星の多い星座で見つけづらいかも知れませんが大まかな形と位置を覚えればよいでしょう。
秋はギリシア神話の中の古代エチオピアを舞台にした一大抒情詩が星座で繰り広げられています。
北極星を探すのに有名な「カシオペア座」(古代エチオピア王妃)、そのご主人(エチオピア王)の「ケフェウス座」、その娘の「アンドロメダ座」、アンドロメダ姫の将来のご主人「ペルセウス座」(夏の流星群で有名)、ペルセウスが乗ってきた天馬「ペガスス座」、あたりがギリシア神話がらみでゾロゾロと並んでいます。
これに秋の星座の中で唯一の1等星「フォーマルハウト」を有する「みなみのうお座」を加えると9個の星座ですが、秋はこれで充分でしょう。

冬と春の星座についても同様にしてめぼしい星座を覚えていっていただければよいと思います。ここで星座名を羅列しても半年も先のことですしピンと来ないでしょうから・・・(機会があればまた解説したいとは思いますが・・)

空に描かれた星の配列だけを頼りに星座の形を覚えてゆくのでは、面白味に欠け、今ひとつ身に着きづらいものです。やはりギリシア神話と絡めて覚えてゆくと楽しいですし、星座を語るときの薀蓄(うんちく)も身に着きます。ただ、このギリシア神話というのは膨大なボリュームで、かつ人間関係(神様関係?)などもすごく複雑で、少しかじっただけでも星座になっているのはほんの一部の物語であることがわかります。
したがって星座に絡んだ神話だけを取り出した解説書を選ばないと、大きな回り道をしてしまうことになるので注意が必要です。
 「月刊星ナビ」のアストロアーツ社から刊行された「まんがで読む星のギリシア神話」(1980円)は星空に繰り広げられる神話を気楽に覚えることのできる絶好の教科書ではないかと思います。

実はこの本もスタパで販売しています。先に紹介した「天体観察入門」とセットでこれから星空観察を始めようというかたにはピッタリの参考書セットだと思います。もちろん普通の書店でも購入できますので、わざわざスタパまで来て買っていただかなくてもお近くの書店でお求めいただければと思います。
さて、話が少し脇にそれましたが、神話と一緒に星座を覚えることにより楽しみが大幅に広がることは確実ですので、ぜひ試してみて頂きたいと思います。
これであなたも一年後には星座博士?・・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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