今日もスッキリしない天候の一日でした。
さて「双眼鏡シリーズ」です。
9.双眼鏡で楽しむ星巡り
9-7. 天の川の小星座 や座といるか座を楽しむ
わし座からはくちょう座周辺を低倍率の双眼鏡で流して見るているとや座といるか座がドン、ドン!とわりとハッキリした星列として視野に入ってきます。
都会では肉眼で見つけることは難しいかも知れないですが、双眼鏡ならば何とか見つけることが出来ると思います。
星座になるくらいですから星列(アステリズム)としてとてもよく目立ちます。
ABK027 や座とM27 分類:星座、メシエ天体
や座はわし座のアルタイルとはくちょう座のアルビレオの中間あたりにあります。
前節のコートハンガーの並びと言って良いくらいのところです
双眼鏡だと視野一杯になることも多いかも知れません。
だれがどう見ても矢の形に見えます。(少し曲がっていますが・・)
神話では愛の女神エロスが持っている矢で、これに当たるとだれでも恋に落ちてしまうというアレです。
とても好色な大神ゼウスの化身であるはくちょう座とわし座の間にあるというのも意味深な設定だと思います。
暗い星ばかりながら、星座名に似合った形のきれいさといい、場所といい名作星座といってよい星座だと思います。
や座の近くには最も人気の高い惑星状星雲のひとつとして有名なM27(アレイ状)星雲があります。
双眼鏡で見てもあまり面白くないのですが、望遠鏡で見るときのために場所を覚えておいて損のない天体だと思います。(少なくともM57(リング状星雲)より遙かに見ごたえがありますので・・・。)
コートハンガー同様こぎつね座に位置しているので、こぎつね座の星やアルビレオ側から探す方法やが紹介されていますが、私はや座から探す方法が分かりやすいと思うので紹介しておきます。
や座のγとδを結ぶ直線をγを中心に反時計回りに約120°回転させたところにM27があります。(写真ではわかりにくいですが拡大して頂くと星ではないものがぼんやり写っているのを確認できると思います。)
この線の延長上のすぐ近くに6等星の星があるので、とても見つけやすいのではないかと思います。
ABK028 いるか座 パラボラ星列 分類:星座、星列
いるか座もや座の近くにある小星座です。
いるか座は海の遠くの方でピョンと飛び上がったイルカをイメージできる形をしています。
この星座、紀元前1200年頃にはすでに認知されていて、古くから多くの人に「ピョンと飛び上がったイルカ」として支持されてきたのだと思います。
神話でイルカが登場するものがあると、みなこのいるか座が割り当てられるという、都合のよい使われ方をしています。
小さな星座ですが形のきれいさ、由緒正しさなどから名作の部類に入る星座だと思います。
余談ですがこのいるか座の口に当たる先端の星(γ星)はきれいでかわいらしいという表現がぴったり来る二重星です。
機会があればぜひ望遠鏡を向けたみたい星のひとつです。
さてこのいるか座、暗い星ばかりなのですが、空のきれいなところでは菱形の星の並びがすぐに目について、いるか座を見つけることができます。
日本でも目に付く人が多かったのでしょう・・「菱星」(ひしぼし)と呼ぶ地方が多かったそうです。
双眼鏡で見るとこの菱形がすっぽり見えますが、肉眼ではあまりハッキリ
見えなかった星たちもたくさん見えて、かえって菱形が分かりにくくなって
しまいます。
私には大型のパラボラ望遠鏡のように見えてしまうのです。
既成の星座の配列にとらわれず、現代ならではの自由な発想でそんな見立てがあっても良いと思うのです。
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