ゼロから始める「星空観察」(27)

今日は秋分の日。

昼間は少し青空がのぞきましたが、夜はベタ曇りとなってしまいました。

さて「ゼロ星」シリーズを進めます。

第4章 星空観察の実習

4-7. 星空の写真を撮ろう

最近、初心者からの要望でだんだん多くなっているのが「星空の写真が撮りたい」です。
デジタルカメラの性能がもの凄く良くなってきているのでわりと簡単に星空の写真を撮ることができるようになっています。

ここではできるだけお手軽に星空の写真とる方法を解説します。

4-7-1. 星空撮影に必要な機材

1)どんなカメラが必要?

ただ通常の写真と違って、被写体となる夜空はもの凄く暗いのでさすがにスマホや廉価なコンパクトデジカメでは下のような写真を撮ることは出来ません。

最低限の機能としてマニュアル設定で、20秒以上のシャッタースピード、F4未満の絞り値、ISO1600以上という設定ができ、フォーカス調整も手動でできるカメラであることが条件となります。

コンパクトデジカメでもこのような設定ができる機種はたくさんありますし、「星空モード」という設定を選ぶとシャッターを押すだけで綺麗な星空写真を撮ってくれるカメラも販売されています。

オリンパスのOM-D E-M10

星空を撮るためにはできれば一眼レフタイプが欲しい

でも上のような凄い天の川の写真を撮るためには、一眼レフ(またはミラーレス)タイプのカメラや、コンデジの中でも大きめなセンサーを持ったタイプが必要になります。

2)星空の撮影には三脚が必須

上記したように20秒以上もシャッターを開いたまま光を蓄積しなければいけないので、カメラを手に持って写してもブレブレになってしまいます。
できるだけガッチリした三脚に載せて、固定して撮影する必要があります。

ガッチリした三脚でも長く延ばすとそよ風でもカメラがぶれて、星が点にならなくなることがあるのであまり延ばさずに使う注意が必要です。

3)その他あると良いもの

・リモコン:三脚に載せていても不用意にシャッターを押すとカメラがブレるので、カメラに直接触らずにシャッターが切れるように。最近ではスマホからシャッターが操作できるカメラも多くなっています。(セルフタイマーで代用ができますが、やはりあった方が便利です。)

・敷物:三脚をあまり延ばさないスタイルだとカメラを操作するときに座ったり、膝をついた方が楽です。

・セロテープ(or養生用テープ):カメラのフォーカス調整を手動モードにするとフォーカスリングがスカスカに動きやすくなるレンズが多いです。せっかく合わせたピントが狂わないよう止めておくのに使用します。その他、風でばたついて欲しくないストラップやリモコンのコードなどを固定するのにも便利です。

・ハンドライト:よほどカメラになれていない限り灯りがないとカメラの操作が難しい場合があります。あまり明るすぎないライトがあると便利です。

・予備電池:星空撮影では予想外にバッテリーの消耗が激しいです。特に気温の低い冬はあっという間に電池切れになることが多いので、できるだけ予備のバッテリーを用意しましょう。

・ソフトフォーカスフィルター:最近のデジカメは性能が良すぎて、明るい星でもあまり大きく写らず、小さな点の中で明るい暗いが表現されるようになる傾向があります。拡大して見ればその明るさの違いがわかるのですが、全体のプレビューやSNSに投稿するレベルのサイズだと星の明暗が分かりにくく星座の形を辿るのも難しいです。ソフトフォーカスフィルターを用いると明るい星ほど光が散乱されて大きく写るので星座が分かりやすく、インパクトのある画像が得られます。

4-7-2. 星空を写すカメラの設定

とりあえず天の川を写すという条件で必要なカメラの設定は、
・マニュアル露光モード
・マニュアルフォーカスモード
(カメラの設定でフォーカスを無限にロックできる場合にはその設定で撮影OKです。)
・シャッタースピード(30秒)
・F値(F2.8~4.0)
・ISO感度(3200)
・長秒露光補正ON
・カメラによってリモコンスイッチ使用モード
・液晶画面の明るさ(暗めを推奨)
・画質モード(できるだけRAW+JPGを推奨)
・ホワイトバランス(オート)

カメラに「星空撮影モード」などがある場合には、カメラの取扱説明書を参考に設定→撮影を行ってください。

上記は天の川が肉眼で良く見えるような暗い空を写すときの設定です。月明かりがあるときや都会でこの設定で撮影すると昼間のように写ります。

4-7-3. フォーカス調整

上記の設定ができたら、カメラを三脚に載せ撮影開始ですが・・・・

でもその前に!!
カメラのフォーカス調整(ピント合わせ)が必要です。
星は暗すぎて通常のカメラではオートフォーカスが全く働かないことが多いですし、液晶表示のライブビューでも拡大しないと星が見えないカメラがほとんどです。
(前述のようにカメラの設定でフォーカスを無限にロックできる場合にはその設定で撮影OKですがかなり少数派だと思います。)

一般的にピント合わせは次の手順で行います。
・できるだけ遠くの外灯、または今見えている中でできるだけ明るい星をファインダーを覗きながらできるだけ中央になるようにカメラを向けます。
・ファインダーで見えない場合はだいたいカメラがその方向に向くようにします。
・ライブビューにして中央付近を拡大させ、今中央に置いた外灯や明るい星でピントを合わせます。
・ピント合わせのコツ次のようにします。
始は少しラフにピントリングを回してだいたいピントの合っているところを探す
→ ピントリングを0.1mmきざみに回す感じでピントを追い込んで行く
→ 明るい星が一番小さく見え、周りに暗い星も見えるくらいまで追い込んだらそっと手を離す
→ ピントリングが動かないようにそっとテープで固定する
→ テープ止めしてから再度ピントがずれていないか確認する

拡大するとピンボケがわかります

この作業を飛ばすとと、あとで拡大して見たときにボケボケの星ばかりでガッカリしてしまいますので、じっくり行ってください。

4-7-4. 星空を写す

以上の準備が終わったら、あとは写すだけです。

OLYMPUS OM-D E-M10(マイクロフォーサーズ)+キットレンスで撮影した夏の天の川

カメラを適切な方向に向けて、静かにシャッターを切って下さい。
デジカメの普通の設定ですと長秒露光のシャッターが切れたあとに「長秒露光ノイズカット」の処理をカメラが自動的に始めます。(星を写したのと同じ秒数のノイズをカメラが測定し、写した画像からそのノイズを差し引くためす。)
その処理中はカメラ操作ができなくなるので、壊れたか?と慌てないようにして下さい。
デジカメは写したすぐその場で写り具合がプレビューますので、納得の行く構図が得られるまでドンドン撮っておきましょう。

三脚やセルフタイマーをうまく使えばこんな自撮り写真も撮ることができます。

少し慣れてきたら、シャッタースピード・絞り値・ISO感度などの設定値をいろいろ変えながら撮影をしてみて下さい。

自分の好みや、カメラに合った設定を見つけてゆくことも重要です。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
カテゴリー: 天体写真, 天文関係, 星空 パーマリンク

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