大泉民話巡り -その4-

070102fuji 年明けから一夜明けて、皆さんの初夢はどんなものでしたでしょうか?
私は少しわがままなお客様にいろいろ振り回されている夢を見てしまいました。逆夢になることを願いたいと思っています。
さて、昔から初夢と言えば「一富士、二鷹、三茄子」と言われるように富士山といえば縁起の良いものです。
大泉にも富士山にまつわる民話が伝えられていますが、大泉の民話の中ではどちらかというと悪役を演じています。

富士山と八ヶ岳
八ヶ岳は昔、今の富士山より高かったという。ある時、富士山の女神と八ヶ岳の男神とが、高さの争いを始めた「私のほうが高い」と男神の八ヶ岳はゆずらない。「いいえ私のほうが高い」と富士の女神もなかなか負けてはいなかった。そこで両方の神は「致し方ない、とにかく阿弥陀如来(あみだにょらい)に仲裁を頼もう」ということになった。如来もこの仲裁には閉口して「それは困った事だ、水は正直だから水で決めよう、わしはお前さんたちの頭から頭へ樋をかけて水を流し込もう、低いほうへ水は流れるからな」如来さまは苦心の末、八ヶ岳の山頂から富士山の山頂に樋をかけた。やがて水を流し込むとそれは富士山の山頂へ流れ落ちた。如来さまは「争いはするな、女神お前のほうが低い」といった。如来さまの宣告で、富士山は負けたが、女でこそあれ気の強い女神は負けたくやしさから、八ヶ岳の頭を長い棒でたたいた。すると頭が八ツに割れ、現在の権現、編笠、旭岳、西岳、阿弥陀、赤岳などの峰ができたといい伝えられている。

確かに八ヶ岳の南側のふもとから見ると東西に広がる雄大な稜線が見え、直感的に遥か昔には大きな山だったのではないかと思えてきます。人間の直感というのはなかなか優れたもので、南北アメリカ大陸とアフリカ大陸がパズルのように組み合わさることに気付いた学者が現在では常識となったプレートテクトニクス(大陸移動)を発見したように、八ヶ岳もまた最近の研究では大きな火山であったことがわかってきました。
061230maborosi 富士山が噴火を始める(5万年前)より遥か昔(百万年前)に八ヶ岳は活発な噴火で4千メートル級の高さを誇ったと考えられています。しかし、その後の爆裂噴火で頂上のほうが大きく吹き飛んだり、長い年月による侵食で今のような形になっていると言うことです。
富士山が噴火をはじめる頃には、かなり今の形に近くなっていたでしょうから、富士山の成長の過程で高さが追い越されていったのだと思います。
どこかで高さを競い合うような時期があったのでしょうから、風景から見た直感で生まれたこの民話も、あながちでたらめではないような気がして面白いですね。

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