雨が降りそうで降らない天候が続きます・・・
森の中は木漏れ日がとてもよい雰囲気です。
さて、「超々」シリーズ、倍率についてです。
今日は倍率は視力によって変わるという話です。
望遠鏡を使い慣れると、人によってピントの位置が微妙に違うことに気付きます。
同じ自分でも、その日の眼のコンディションによっても微妙に変化することが
あるほどです。
なぜこのようなことか起こるのかというと・・・
前回の解説の中で、倍率の計算は
「無限遠の対象を、無限遠を見るように調整された眼で見たとき、
対物レンズの焦点距離 ÷ 接眼レンズの焦点距離 で倍率が計算できる」
という条件がついていました。
このなかで実は「無限遠を見るように調整された眼」というのがかなりの
クセ者で、健常眼(けんじょうがん:ここでは裸眼で無限遠から30cm以下の
近点まで正常にピント調整ができる眼と考えます。)の人でも望遠鏡をのぞく
ときは、少し緊張してもっと近くを見るように眼を調整してしまうことが
分かっていて、これを器械近視と呼んでいます。
さて、今さらという感もありますが、健常眼と近視眼の違いについて
簡単に説明をしておきます。
上図で左は健常眼で、無限遠からの光(平行光線)が網膜上に焦点を結びます。
図の中央は近視眼で、無限遠からの光が、眼球の変形、水晶体(レンズ)の
調整不良などの原因により網膜の手前で焦点を結び、網膜上ではピンぼけの
状態になります。
これを補正するためには、凹レンズ(近視用メガネ)を目の前に置いて、少し
遠いところ(網膜上)に焦点を結ぶようにすればよいわけです。
ここで少し見かたを変えて・・・
近視眼というのは、健常眼の前に凸レンズを置いたのと同じと考えることが
できます。
健常眼の人でも、目の前に凸レンズを置くと、遠くの景色がぼやけ、近くが
やたらとよく見えるようになり、近視の人と同じ見え方を体験できるという
わけです。
少し説明が回りくどくて済みませんが・・・
ここで、健常眼の人と、近視眼(=健常眼+凸レンズ)の人が同じ望遠鏡を
のぞいたときにどのようなことが起こるか・・・
この図で分かるように、眼と望遠鏡全体で光学系を考えると、近視眼では
健常眼に凸レンズの1枚加わった接眼レンズを使っているのと同じことが
起こます。
接眼レンズに別の凸レンズが1枚加われば、接眼レンズの焦点距離は、より
短くなって、ピントは対物レンズよりにズレて、倍率も上がるという現象が
起こるというわけです。
続く・・