梅雨明け十日が終わってからというものスッキリしない天候が続いています。
晴れるでも雨が降るでもない、ムシッとした日です・・・
さて、「超々」シリーズ、遮光環についての続きです。
途中から読み始めた方は何のことか分からないかも知れませんが、遮光環と
いうのは屈折望遠鏡には必須の部品で、語り出すとかなり奥の深いものです。
前回は鏡筒を太くすると遮光環の設計(=迷光対策)がやりやすいという
話でしたが、今回は入門機にありがちな、対物レンズ径ギリギリの細い鏡筒の
場合について説明します。
結論から言いますと、レンズ径ギリギリの細い鏡筒の場合、広い範囲の接眼
レンズ視野絞り(=広い焦点像)に対して迷光を防止することはできません。
光軸中心で遮光環によるケラレ(口径食)が無いようにすると接眼レンズ視野
絞りの周辺からは対物レンズ付近の鏡筒内面が見えてしまい、一次反射の迷光が
対物レンズに入ってしまうことになります。
また、この状態ですと視野絞り周辺では対物レンズが視野絞りに邪魔されて
全体を見ることができない口径食が生じます。
この手の細い鏡筒の場合、設定されている接眼レンズが24.5mm径(ツアイス
サイズ)の細いタイプで、視野絞り径も20mm以下の小さなものが多いので、
迷光や口径食の影響はそれほど大きくありません。
高倍率用のレンズが小さい接眼レンズなら、影響は皆無に近くなります。
月などの非常に明るい天体を低倍率で見た場合、良くできた鏡筒と比べて
若干コントラストがわるいかな?と感じるレベルですし、眼視で見る限りは
視野周辺が減光していることを認識することはできません。。
31.7mm径(アメリカンサイズ)の低倍率用や2インチサイズの接眼レンズを
使うことが無ければほとんど問題になることはありません。
どうしても使いたい場合には、対物レンズのすぐ内側の部分に、塗装よりも
さらに反射率の低い黒色の植毛紙などを貼れば、迷光をより少なくすることが
できて効果的です。
続く・・