天体望遠鏡入門講座 第二章 2-21

今日も終日雨。

あまりの天候の悪さにウダウダしているうちに周辺の写真を撮りそびれてしまいました。

望遠鏡入門講座を続けます。

第二章 望遠鏡の光学系

前節では望遠鏡の基本的な光学系であるガリレオ式とケプラー式について解説しましたが、主鏡の光学系として凸レンズを用いる「屈折式」と凹面鏡を用いる「反射式」があります。
(現代ではレンズと反射鏡を組合わせるタイプもあります。)

以下に屈折式・反射式それぞれに解説します。

2-2.屈折望遠鏡

1)アクロマート式

前節でガリレオ式とケプラー式を説明するのに、話を簡単にするために単レンズでの説明をしましたが、現状ではごく稀なケースを除いて望遠鏡の対物レンズは2枚(またはそれ以上)のレンズを組合わせて使用するのが一般的です。

対物レンズとして現状もっとも一般的なのは凸レンズと凹レンズの2枚を組合わせて使用する「アクロマート方式」です。

二枚のレンズを組合わせるもっとも大きな理由は「色収差」という収差を軽減するためです。(実際にはそのほかの収差を軽減するためにも必要ですが、ここでは話を簡単にするために色収差に絞って解説します。)

プリズムに白色光を当てると通過した光は虹色に分散されます。

プリズムを通して景色を見ると光った部分の景色の縁に虹色のにじみが出ているのが判ります。

単レンズの場合、レンズの中心を通った光以外はプリズムと同じように光が分散されて光の色により焦点の位置が変わります。

このため単レンズで作った望遠鏡で景色を見るとどうしても景色を見たときに、縁が滲んだように見えてしまい、ある程度以上の倍率になるとどこでピントが合っているかさえ判らなくなってしまうのです。

この色収差を軽減するために発明されたのが「アクロマート式」のレンズです。

原理は下図のように凸レンズで曲げられすぎた緑の光を、凹レンズで補正するという考え方です。

実際にはガラス素材の屈折率(どれだけ光を曲げるか)や分散(色毎の屈折率の違い)、それぞれのレンズ面の曲率など様々なファクターを加味した設計が必要ですが、少なくとも2種類の波長(例えば赤と緑)の光が同じ焦点となるように設計したのが「アクロマート式」の対物レンズです。

このように色収差を打ち消しあうことを「色消し」といい、このようなレンズを「色消しレンズ」ともいいます。(色が見えなくなって白黒に見えると勘違いする人が時たまいますが・・・)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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