今日は夕刻まで雨・曇りでしたが、夜になって天の川が見えるほどきれいな星空となりました。
さて望遠鏡入門講座、接眼レンズについての続きです。
第三章 接眼レンズ
3-1. 接眼レンズの基本性能
3-2.接眼レンズのスリーブ径と構造
1)スリーブ径
接眼レンズを望遠鏡に取り付ける筒の部分をスリーブといいますが、現在流通している接眼レンズのスリーブ径には24.5mm、31.7mm、50.8mmの3種類があります。
写真は左から50.8mm、31.7mm、24.5mmでそれぞれに対応した天頂ミラーを左後ろに置いています。
これ以外の径のものもありますが望遠鏡用としてはこの3種類が主流です。
24.5mmはツァイスサイズとかドイツサイズと呼ばれ1970年代くらいまでは主流に使われていました。
現在では31.7mmサイズに主流を奪われているため、あまり新しいタイプの製品を入手することはできないのですが、安価で小型・軽量であるため入門用の望遠鏡に付属されることが多いです。
31.7mmはアメリカンサイズと呼ばれるように米国が発祥です。
あまり細かい作業を好まない(手の大きな)アメリカ人向け開発されたとの説もありますが、実は接眼レンズは原理的にスリーブ径が大きいほど見かけ視界を広く設計しやすいということから一回り大きなものが開発されたようです。
現状では焦点距離が25mm未満のほとんどの接眼レンズが31.7mmサイズになっています。(ごく一部の超広角タイプを除く)
24.5mmサイズ向けの古い望遠鏡でも鏡筒側の接眼アダプターを付け替えると31.7mmサイズを使うことができる場合が多いです。
50.8mmは2インチサイズとも呼ばれ、30mm以上または超広角タイプの接眼レンズに用いられることが多いです。
1980年代くらいからアマチュアもかなり大きな望遠鏡(例えば口径30cm以上)を使うようになりました。
望遠鏡が大きくなると主鏡の焦点距離も長くなりがちで、低倍率を得るためにはとても長い焦点距離の接眼レンズが必要になるのですが、前述のようにスリーブ径が小さいと(原理的に)接眼レンズの焦点距離を長くしても見かけ視界が大きく取れません。(=倍率を下げても実視界が広がらないということが起こります。)
倍率を下げたのに比例して広い視野が見えるようにするために50.8mmサイズが作られるようになりました。
古い望遠鏡ですとドロチューブ(ピント合わせのための筒)が50.8mmよりも細くて取付が難しいですし、取り付けても本来の性能が得にくいこともありますが、最近の製品は口径8cmクラスでも取り付け可能な製品が流通しています。
超低倍率や超広角の見かけ視界を楽しむたために対応していると嬉しい仕様といえます。(続く)