今日は晴れのち雨。
午前中までは良い天気だったのに・・・・
少し開きましたが望遠鏡入門講座、接眼レンズの続きです。。
第三章 接眼レンズ
3-1. 接眼レンズの基本性能
3-2. 接眼レンズのスリーブ径と構造
1)スリーブ径
2)構造と仕組み
3)種類と特徴(続き)
a) 古典的接眼レンズ
b) スマイスレンズ系接眼レンズ
「バローレンズ」と呼ばれる製品で、望遠鏡の焦点距離を延ばす部品があります。
接眼レンズと鏡筒の間に入れることにより倍率を2倍とか3倍に上げるものです。
ヘタをすると過剰倍率になりすぎて(特に粗悪な望遠鏡ほど粗悪なバローレンズが付属していることが多いこともあり)悪名の高い部品です。
でも焦点距離の長い(=アイレリーフが大きくて覗きやすい)接眼レンズとバローレンズを組合わせると、焦点距離の短い接眼レンズと同じ倍率の組み合わせよりも覗きやすい(メガネもOK)という場合もあるので、出来の良いバローレンズで使い方さえ間違えなければそれほど悪いものでもないこともあります。
焦点距離が10mmより短くなるとアイレリーフが短くて、とても覗きにくくなる古典的接眼レンズでは、20mm+バローといった組み合わせでだいぶ覗きやすさが改善されます。
実は「スマイスレンズ系接眼レンズ」は接眼レンズにはじめからバローレンズのような凹レンズを組み込んだものです。
下は「15倍組立望遠鏡」(星の手帖社)の接眼レンズ部分です。
同社の「35倍組立望遠鏡」の接眼レンズ部分(下)には15倍と同じようなレンズ構成に加えてスマイスレンズが組み込まれているのが判ります。
焦点距離が15mm以下で充分なアイレリーフが確保された接眼レンズではこのタイプのものが多いです。
c) エルフレ系ほか広角型接眼レンズ
これまで紹介した古典的レンズ構成(2群4枚程度)の接眼レンズでは見かけ視界を大きくした広角型の製品を作ることが難しいです。
レンズ枚数を5枚以上に増やすことにより広角化に成功したのがツァイス社のエルフレ式です。(見かけ視界60°のタイプ)
レンズ枚数を増やし、曲率を大きくしたり、非球面を使ったりすることにより、設計の自由度が増し、より広角でアイレリーフの大きな接眼レンズを作ることが可能になります。
上は28mm見かけ視界82°の接眼レンズ(右はオルソ25mmの古典レンズ)
昔はレンズ表面のコーティング技術が未熟でレンズ枚数が多くなると光のロスや乱反射で、原理的に作れてもまともな製品にならなかったのですが、近年はコーティング技術が飛躍的に進歩したため様々な製品が販売されるようになりました。
総じてもの凄く高価なのと、予想以上にアイポイントがシビアなことが多いですが、低倍率で星空を眺めるときは慣れると星空への没入感が強くてクセになります。