お気楽EAAにはコリメート方式がお奨めなわけ

今日も梅雨空の一日。

天気が悪い日が続くと、どうしてもアレコレ企みが進みます。

CMOSカメラを用いたEAA(電視観察)の手法をいろいろ考えているのですが、基本的に「眼視派オヤジ」のスタパとしては、どうしても生の光を自分の眼で見たいという気持ちが捨てきれません。

CMOSカメラで暗い天体を撮影するためには、できるだけF値の小さな明るい光学系が有利なので、CMOSカメラと鏡筒の間にレデューサーと呼ばれる主鏡の焦点距離を短縮させるための凸レンズ系のレンズを追加します。

ただしこの方式だと撮影専用になってしまい、眼視観察のためには接眼部の部品を入れ替え、ピント位置も大幅に変わるので、眼視で観たりCMOSカメラで撮ったりするのは非常に面倒です。

鏡筒を2本用意して同じ方向に向ければ良いのですが、目で覗いた感じのままを撮るというのとは少し違います。

「目で覗いた感じまま」という意味ではスマホやコンデジで望遠鏡を覗かせるコリメート方式が思いつきますが、ここではCMOSカメラにCCTV用レンズを付けたもので接眼レンズを覗かせる方法で話を進めます。(スマホやコンデジでは画像のスタックやゲイン調整、ヒストグラム調整などの小細工がその場でできにくいため)

目で覗くのと同じものをカメラに覗かせるので、ピントの調整がごくわずかで済み、視野や倍率が変わらず違和感が少ないです。

そしてコリメート方式で特に大きなメリットはCCTV用レンズと接眼レンズの焦点距離の比で主鏡のF値を縮小できることです。

ここでは詳しい説明を省きますが(詳しくはこちらをhttps://star-party.jp/wp/?p=3205)、例えば・・
 CMOSカメラに付けたCCTV用レンズの焦点距離が6mm
 接眼レンズの焦点距離が30mm
だとすると、
 6:30=1:5 となり
主鏡のF値を5分の1に縮小することができるのです。

もしもF10の口径比の望遠鏡ならば5分の1のF2口径比になる(=焦点距離も5分の1相当になります)ので露光時間を大幅に短縮することが可能になるのです。

CMOSカメラのセンサーサイズが小さいほどCCTV用レンズの焦点距離を小さくしやすいため、比較的安価なCMOSカメラが使えるのも嬉しいです。

かなりF値の暗い鏡筒でも小さな合成F値を得られるので汎用性がとても高いです。

例えば口径80mm/f910mmの望遠鏡にSVBONYのSV305をそのまま(直接焦点で)取り付けたら、月のほんの一部しか写せませんが、30mmの接眼レンズを付けて6mmのCCTV用レンズを付けた状態で覗かせれば月の全貌を写す事が可能ですし、このときの合成F値は2.2となります。

欠点としては

光学系が複雑になるので解像度がかなり損なわれますし、光の損失も多いですし、フレアやゴーストがでやすいです。

また、接眼レンズとCCTV用レンズの光軸を正確に合わせつつ、接眼レンズのアイレリーフに応じたレンズ間の間隔正確に合わせる必要があります。

先日紹介した上記のようなアダプターはほとんど使い物にならないのが実情です。
(昼間は画面の濃淡で光軸の状態を確認できるのですが、天体写真ではベースが暗いので確認が難しいため)

光軸の問題をうまく解決できれば眼視混合EAAにお奨めな撮影方式になるわけです。(続く)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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