2インチアイピース -その3-

さて、昨日から冬になったスタパ周辺(本件に関しては久々におかみと意見が
一致しましたが・・・)、ペンションの北側には本格的な霜柱ができ始めていて
びっくりでした。

 

さて、今日は2インチアイピースの話、ずいぶん間が開いてしまいました。
スタパの天文台で使用するアイピース(従来は)は倍率を変えるために何種類も
用意していたのですが、使い勝手の点から2インチアイピースに統一したい
というのが前回までのあらすじでした。(かなりいい加減?)

で、今日は前回紹介した(高倍率のほうを担当する)ハイペリオンズーム8-24mm
のインプレです。

ずっと前にもズーム式アイピースに付いて書いたことがあるのですが、
個人的には望遠鏡にズーム式アイピースを組み合わせて見るのが好きです。
でも、天文ファンのなかにはズームいうだけで、頭ごなしに否定する方も
多い(実は以前の私がそうでした)のです。
これは、いまだに世の中に蔓延する粗悪なズーム式双眼鏡や、望遠鏡の
イメージが強いからなのだと思います。

ズーム式か嫌われる理由の一つに、倍率の低い長焦点側で見かけ視界が
最も小さくなり(安いものでは40°以下)、へたをすると高倍率でも
低倍率でも実視界の広さがそれほど変わらず、倍率を変える意味が
あまり無いということもあります。

でも、自動追尾式の望遠鏡で惑星を見る時に限って言えば、ズーム式
アイピースというのはかなり使えるアイテムなのです。

惑星を見るだけなら見かけ視界が広かろうが狭かろうが、それほど
問題ないです。
いっぽう惑星の場合は、その日の大気のコンディションで
模様を観測するのに最適な倍率がかなり変わるという性質があります。
このため通常の単焦点アイピースであれば、いろいろな焦点距離の
ものを次々取り替えながら最適な見え味の倍率を選ぶ必要があります。

また、大気のコンディションというのは刻々と変化することも多いので
「良く見える」ズーム式アイピースがあれば非常に便利なわけです。

ただ、この「良く見える」というのがみそで、レンズ構成や構造が
短焦点アイピースに比べ複雑なぶん、高性能なものを作るためには
それなりのコストがかかるわけで、安いものですとどうしても今ひとつな
見え方の製品がほとんどです。

レンズの枚数が多い分、コーティングがしっかりしていないと
ゴーストも発生しやすく明るい星を見た時に不快な見え方になります。

そんな中で国際光器から発売されているバーダープラネタリウム社の
ハイペリオンズームは定価が約4万円とかなり高価で、その分性能面でも
かなり気合の入ったものです。

使ってみた感覚で特徴をまとめると
・コーティングや光学設計が良いのかズーム式とは思えない
 ヌケのよさで、 輝星を見てもゴーストが気にならない
・どの焦点距離でも視野周辺まで像が乱れない
・どの焦点距離でもアイポイントが寛容でブラックアウトしづらい
・低倍率側(24mm)でも見かけ視界が50°あり一般のズーム式(40°)より
 大幅に広い(さらに低倍率側では68°もある)
・焦点距離を20mmに設定すると見かけ視界が60°近くなり、視界の狭さが
 気にならなくなる
・24-20-16-12-8の刻印でズームリングがクリックストップするように
 なっているので、倍率を把握しやすい

という訳で、よほど広視界にこだわらない限り、3個から5個の
アイピースを1個に集約することが可能になります。

スタパの40cm望遠鏡に付けると167倍から500倍までをカバーしてくれます。
500倍以上の倍率が出せるコンディションの日というのは、年に数回もないので、
ほとんどの場合、高倍率側はこのアイピース一本で事足りてしまいます。

 

このアイピース、2インチのスリーブと31.7mmのスリーブを
選択して交換できるので、汎用性が高いところも良いです。
(写真は国際光器さんのサイトから拝借しています。)

性能面ではわざわざ2インチアイピースにする必要はないのでしょうが
どちらか使うことが多いサイズにあわせておけば、アダプターの
着脱が省けて便利です。

そんなわけで、従来7~8本のアイピースを常備していたのですが、
ほとんどの場合、XL40mm、SWAN33mmとこのハイペリオンズームの3本だけで
対応ができてしまうようになりました。

一家に1本ハイペリオンズームと思うのは、たぶん私だけでしょうね・・・
(確かななつがだけ北天文台のオーナーも言っていたような気がしますが・・)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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