初心者はポルタを買え!-Ⅱ(望遠鏡を買う前に-番外編)

どうも本編の「望遠鏡を買う前に」シリーズがちっとも進みません。
プロットのメモが紛失したり、各種トラブルが発生したりで落ち着いて書き進めることができません・・・というわけで今日も番外のポルタの続きです。
前回はデザインと架台についてでしたが、今回は光学系についてです。

初心者向けとしては充分すぎるほどの光学系
 「ポルタA80Mf」はその型式が現すようにアクロマート(=A)の屈折、口径80mm(=80)の中焦点(=M:F11.4/f=910mm)です。(最後のfは鏡筒のシリーズ名)
80mm(=8cm)の屈折と言えば私が若いころは、ハイアマチュア向けの高級機で子供が気楽に買えるものではありませんでしたし、「観測」といえるレベルの仕事をするのに不足の無いスペックといわれていました。

ただ、当時の8cmというのは焦点距離がF15/f=1200mmというのが標準で、かなり大きな(乗用車のトランクに入らない)ものでした。アクロマートの場合性能を重視すれば光学設計上、F15というのは当たり前なのですが、実は鏡筒が長いと想像以上に架台を頑丈なものにしなければならなくなり、トータルとしてはもの凄く重い望遠鏡になってしまいがちです。(ちなみに昔の8cmF15の屈折赤道儀を一人で持ち運ぶのはかなりきつかったです。)
F値を小さくすればするほど性能が悪化するのは避けられず、F5くらいなると低倍率(50倍くらい)でも色収差が気になり、100倍くらいになると色ボケが大きくなり、ピント合わせをするのさえ難しくなります。コンパクトなのは持ち運びも収納も便利ですのでとても魅力なのですが、望遠鏡本来の性能が犠牲になるというジレンマが生じます。
レンズがアクロマートより高級なアポクロマートというタイプにすればF7くらいでも充分な性能が得られるのですが、同じ口径であれば価格が一気に3倍(5万円が15万円!)近くになってしまいますので、ちょっと手が出しにくいと思います。
さて、「ポルタA80Mf」はF11.4と中途半端なF値のようにも思いますが、性能をできるだけ犠牲にせず、収納や持ち運び(特に車のトランク)も考えたぎりぎりのサイズだと思います。ビクセンとしても昔からかなり作りなれたF値であることは確かなのですが、F5やF8前後の他の製品で作っているF値を採用しなかったところに設計者の良心が感じられます。
 付属するアイピース(接眼レンズ)はPL20mm(46倍)とPL6.3mm(144倍)の2個です。

PLというのはプルーセル型の略で、2群4枚の一昔前までは高級と言われたタイプのアイピースです。現在ではよりハイアイで広視界なアイピースがたくさん出回っているので、高級の冠は外されてしまいましたが、しっかりした像を結ぶわりにコストパフォーマンスが高いことに今でも定評があります。
 主鏡(対物レンズ)もアイピースも透過率の高いフルマルチコートが施されていて、一昔前のレンズからは比べ物にならないほど高級感があり、吸い込まれそうです。

鏡筒のなかには鏡筒部に3枚、接眼筒部に3枚の遮光絞りが入っていて迷光をかなりのレベルで押さえ込んでします。
廉価モデルで接眼筒の太さが細いので、接眼筒内の遮光がわずかに気になりますが、実際の像に影響を及ぼすレベルではないと思います。

さて、実際の見え味はどうでしょうか・・・
結論から言うと、とてもよく見えます。
昼間、高倍率(144倍)で遠くの景色を見ると電線などには色が付いて、少し気になるのですが、星を見るかぎりはほとんど気になりません。この倍率で月や木星を見ると、普段40cmの望遠鏡を見慣れている私から見ても「8cmってこんなに見えたっけぇ~」と言った感じです。さらに手持ちのバーローレンズ(ビクセン製)とPL10mmで182倍まで倍率を上げてみましたが、像の劣化はほとんど気にならないレベルで、木星を見ることが出来ました。
通常、望遠鏡の実用最大倍率は口径(cm)の20倍といわれています。8cmですと160倍ですが、これ以上にしても暗く・像がボケるばかりでお奨めでないのですが、この鏡筒の場合200倍くらいまでは何とか実用範囲内だと思います。
口径なりの仕事をきっちりとこなしてくれ、初心者向けとしては十分な性能だと思います。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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