望遠鏡を買う前に-Vol.3

望遠鏡を買う前にするべきこと-その1

番外編ばかりで、しばらく休止していた「望遠鏡を買う前に」シリーズ本編を夏休み前に少しだけ書き進めます。
夏休み中はブログそのものもほとんど休止状態になってしまうのではないかと思いますが・・・

望遠鏡を買って何を見ますか?
望遠鏡を買う前に、望遠鏡の性能だとか機能について知っておくことは重要なことです。適正な倍率はどのくらいかとか、架台の種類や使い勝手など、買う前にいろいろ悩むのは楽しいことだとは思いますが、本当に大切なのは買った望遠鏡で何を見るか、何が見えるかなのです。
望遠鏡を買って、月を何回か見たけれどもあとはしまったきりというかたがすごく多いように思います。ほとんどの場合「土星とかいろいろ見たいけれど、何がどこにあるのかか分からない」ということで、せっかく大金を出して買った望遠鏡が押入れの肥しになっているようです。

  月は誰が見ても見間違えることが無く、非常に明るいのでよほどの粗悪品でない限り誰でも望遠鏡を向けることができますし、クレーターなどもわりに簡単に見ることができると思います。しかし土星となると普通の星(恒星)と区別が付きにくく、どこにあるか分からなければ(一年中見えているわけでもないので)当てずっぽうに向けても見ることはかなり難しいです。

  一つ一つの恒星を見てもただ肉眼より明るくキラキラして見えるだけで、いくつか見ればすぐに飽きてしまいます。

土星もそうですが、視野の極端に狭い望遠鏡では闇雲に振り回しても、そうそう面白い天体が視野に入ってきてくれることはありません。
どこに何があるのか知ったうえで、きっちりその方向に望遠鏡を向けないと見たいと思った天体を見ることはできません。(都会ではきっちり向けても見えないことが多いですが・・・)
つまり望遠鏡というハードウエアに関する知識のほかに、見るべき天体の知識(どんな天体がどんなふうに見えるのか)=ソフトの部分がないとハードウエアは全く役に立たないというごく当たり前の事態になります。冷静に考えれば当たり前のことで、例えばこれがビデオデッキやパソコンならソフトを使う(見る)ためにハードがあるのが当たり前で誰も不思議に思わないですよね。
でもどういう訳か望遠鏡の場合、ハードの部分のみが先行してソフトの部分である使い方とか、何をどのようにして、いつ見るかといったことがおざなりになっていて、「買えば見える!」(ただし努力すれば)みたいな感じになっているような気がしてなりません。
ポルタのところでも書いたのですが、ビクセンはこの辺のところが良く分かっていて、初心者向けの望遠鏡については「天体ガイドブック」という非常に良く出来た本が付属していて(ついでに星座早見盤も付属していて)、初めて望遠鏡を買った初心者ができるだけ困らないような配慮がしてあります。
自分が購入した望遠鏡で「どこにある」、「どんな天体」を見るのかという最低限の知識がなければ、望遠鏡というのは本当につまらない機械だということをご理解いただきたいと思ううわけです。(つづく)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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