1-2. 双眼鏡は使い方が簡単?

双眼鏡は使い方が簡単だから初心者向けという認識、実はこれも大きな間違いです。

スタパに来るゲストに双眼鏡の使い方の説明をすると、8~9割の方が「初めて使い方を知った」と言われます。

ということは裏を返せば、世の中のほとんどの方が「簡単」といわれる双眼鏡の使い方を知らないということになります。

ご自分で双眼鏡を購入し取扱説明書をよく読んで使いこなしている方以外は、ほとんどの方が使い方を知っているつもりでポンと双眼鏡を渡しても、実は全然ちゃんと見えていないのです。

双眼鏡を使うためには次の4つのステップを行う必要があります。

1) アイカップ調整:覗き始める前にメガネの有無でアイカップの高さを変えます。
2) 目幅調整:自分の目の幅に左右のレンズを合わせる
3) 片眼ピント調整:基準となる方の眼(双眼鏡によって異なるが多くは左目)で対象にピントを合わせる
4) 視度調整:もう片方の眼で視度の差分のピント調整ををする

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双眼鏡をよく知らない方にとっては「なんのこっちゃ」という感じかも知れませんが、この4つのステップを速やかにこなせるようにならないと双眼鏡を使えたことにはなりません。(「なんのこっちゃ」という方向けに5節で詳しく解説をしますのでご安心下さい。)

慣れれば10秒も掛からない作業ですが、初心者に初めてこの作業をしてもらおうと思っても、真っ暗闇の中で星を対象にして行うのはかなり難易度が高いと言えます。

ちゃんと合わせられなければ、ちゃんと見える可能性は低いので双眼鏡で星を見る楽しさも分からないままになります。

ピントを合わせる(しかも左右別々に)という作業も実はそれほど簡単な作業ではありません。

望遠鏡を覗き慣れた人にとって、片眼をつぶるのは簡単なことなのですが、世の中では意外に片眼づつウインクのできない方がかなりいるのです。

また、ちゃんとピントが合っているがどうか判断できるようになるには少し経験が必要です。

ですから双眼鏡がそこにあれば誰でも使えると思うのは大きな間違いで、使いこなせるようになるまでには少なくとも5~10分の時間としっかりしたレクチャーが必要なのです。
「簡単だから」という理由で「子供のオモチャ代わりに・・」などという方がたまにいるのですが、これも大間違いです。

小さな子供には上記の1)~4)ができないことが多いです。

小さな子供向けに作られていないことが多く、目幅調整が子供向けにの寸法まで狭められない範囲になっていることもあります。

また、油断すると太陽を見ていたりして危険きわまりないです。

望遠鏡は小さな子供が太陽を導入することは(視界が非常に狭いので)難しいですが、双眼鏡は視界が広いので簡単に見ることができ、却って危険度が高いのです。

しっかり言い聞かせて分かる年齢(個人差はありますが小4以上が目安)になるまで子供だけで(特に日のあるうちは)使わせないようにして下さい。

さて、ようやくピントが合ったとして・・・

5~6倍の低倍率の双眼鏡でも「どこを見ているのか分からない」という方がかなりたくさんいます。

昼間の景色なら目で小さく見えているものが拡大されて見えてくるので景色と双眼鏡を見比べながらどこを見ているか把握することはそれほど難しくありません。

でもあまり見慣れていない星空を見た場合、どの範囲が見えているか初心者にはすぐには把握できないことが多いです。

倍率によるスケール感が分からないので、どの方向に双眼鏡が向いているかも把握することができません。

さらに、肉眼で見た星の見え方と、双眼鏡でのそれの差がすぐには把握できないので、方向がちゃんと合っているのに、この星ではないと思ってしまうこともしばしば起こります。

それでも望遠鏡と較べれば難易度は低いですが、正しい使い方を「習い」、実際にある程度は「練習」しないと正しく使えない「道具」であることを忘れてはいけないのです。

双眼鏡は個々人ごとに調整が必要で、それは人任せにできない作業ですので、とてもパーソナルな道具ということができます。

一度自分の眼に合わせた双眼鏡を人に貸すのも精神的に負担になりますし、観察会などで望遠鏡のようにセッティングしたら、あとは「さあどうぞ」というわけにも行かない結構厄介な道具であるとも言えます。

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そんな事もあってスタパではゲスト1人に1台の双眼鏡が貸し出せるよう以前から望遠鏡以上にたくさんの双眼鏡をご用意しています。

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