これについてこのサイトをご覧になっているような方達には、もう不要かも知れません。
でも未だに望遠鏡にしても双眼鏡にしても素人ほど倍率が高いのが偉いと思っている方が多いのです。
未だに通販で「超高性能ズーム100倍!!」なんていう双眼鏡がいかにも偉そうに販売されていることがあるので、まだまだだまされる人がたくさんいると言うことなのでしょう。
ハッキリいます。
100倍ズームの双眼鏡はまずゴミレベルのものです。
結構良い値段がついていると思いますが、1万円しない入門用望遠鏡(昨日も紹介したラプトル50)のほうが確実に良く見えます。
そして、機動性を重視して手持ちで使うことを前提とした双眼鏡の場合、10倍以上の倍率は無用です。
10倍以上の双眼鏡を手持ちで星を見るとグラグラ、ピョコピョコ星が飛び回ってとても落ち着いて観察ができないからです。
また対物レンズの有効径(mm)に対して倍率が3分の1以上(例えば口径30mmで10倍以上)なら天文用には全く不向きです。
倍率が高いということは対物レンズで集めた光を引き伸ばして見るので、倍率の二乗に比例して像が暗くなるので、薄暗い天体を見るのには向かないのです。
倍率の低い双眼鏡ほど視界が広く、明るいので、使いやすくて、覗いていて気持ちがよいのです。
双眼鏡を購入するとき、実際に暗い場所で星を見て決める方はまずいないと思うのですが、明るい場所だと多少倍率が高すぎる機種でもそれほど暗いという感じがしません。
これは人間の眼の瞳孔(明るさにより変化する)の大きさと関係することがあるので、低倍率の明るさは暗い場所ほど活きてくる傾向にあります。
ですから、昼間の見た目に惑わされず、できるだけ低倍率の機種を選ぶ必要があるのです。
それなら「ズーム式」7倍~20倍で天文用には「7倍を使えばOKね。」というのもダメです。
一般にズーム式はレンズ構成が複雑で、同じ口径で同じ固定の倍率のものより暗いことが多いです。
また、ズーム式のレンズ構成の特性上、低倍率側の見かけ視界が小さくなることが多いので、実視界(実際に見える範囲)が倍率固定の機種より狭くなることがほとんどです。
せっかく低倍率にしてもほとんど実視界が広がらないのがズーム式双眼鏡の落とし穴でもあります。
ズーム式双眼鏡自体が天文用には全く不向きと言えます。
さらに「10倍以上でも三脚に載せてあげれば安定して見えるだろう」という考えもあるのですが、三脚に載った双眼鏡で天頂付近を見上げるのがどれほど辛いものかが分かると、あまり人にお奨めできるものではありません。
見上げる辛さをものともしないような見え味の双眼鏡ならまた話は別ですが、口径50mmくらいまでの双眼鏡で10倍以上はそれほどの感動は得にくいです。
そんなわけでお奨めの倍率は口径によっても変わりますが、7倍前後、小さな口径(20mm)程度なら6倍以下といったところです。(詳しくは次ページで)