今日は曇りときどき雨の梅雨の天気になりました。
(梅雨だからしょうがないねぇ)
スタパ周辺ではコアジサイが林の縁にほのかな彩りを加えています。
さて「月光浴の科学 番外編」、昨日の続きです
月の見え方と明るさ不思議2
月の明るさに関するもう一つの不思議は、満月が近いと急激に明るく
なるという不思議です。
月夜は夜道を歩くのに提灯がいらない明るさがあると書きましたが、
実際にはどのくらいの明るさなのでしょうか?満月は0.25lx(lxは照度
という明るさの単位、ルクスと読みます)という明るさがあると言われています。
太陽の明るさは10万lxで、満月の40万倍の明るさがあることを考えると、
驚くほど暗いような気がします。
でも、人間の眼の順応力も捨てたものではなく、満月の明るさの10分の1
くらいでも、開けた夜道を歩くくらいなら充分です。
満月の明るさが0.25lxなら半月以下に細くなった月でも充分な明るさに
なりそうな気がしますが、話はそう簡単ではありません。
下の図は月齢による月の明るさの変化を示すものです。
満月の前後1~2日で急激に明るさが変わるのが分かると思います。
半月(上限・下弦)は満月と比べ見かけの面積は2分の1なのに明るさは
8%しかないのです。
ちょっと信じがたいように思うかも知れませんが、写真を写すととても良く
わかります。
下の写真は、同じ場所で「満月の日」と「満月から4日後」に撮影したものです。
「満月から4日後」の明るさがずいぶん暗いのが分かると思います。
不思議ですね・・・。
実はこの現象もレゴリスの微少な凹凸の存在で説明することができ
ます。
昨日のレゴリスの凹凸の模式図をもう一度見て下さい。
満月の時には地球からはレゴリスの影を見ることができず、一様に
輝くのですが、少しでも光の入射方向から見る方向がずれると模式図の
一番右側のようにレゴリスの影の部分が見えるようになって、
月面の平均輝度が急激に下がることが想像できると思います。
下の写真は雪が降った後に雨が降り、雪面上に小さな凹みがたくさん
できた所に、左側の低い場所から朝日が射し込んだ状態です。
平坦な部分は小さな凹みの影で平均的にはグレーに見えます。
一方、少し盛り上がって斜面が太陽のほうに向いている部分は光が
小さな凹みの中まで届いて影がなくなるので白く輝いて見えます。
月の表面というのはまさにこのような小さな凸凹で覆われているので、
満月の時にお盆のように見えたり、満月から少しでも日がずれると
急激に暗くなるという現象が起こる訳です。
下は半月の写真です。
月面上で太陽が真上にある部分(写真左側の月の縁(円弧の部分))は
満月の時と同じように明るいので露出オーバーになります。
また欠け際に近づくにつれ輝度が下がってゆき、欠け際ではかなり
露出アンダーになります。
このような現象も月の表面が微少なレゴリスに覆われているということで
説明がつきます。
満月前後が急激に明るくなる要因として実はもう一つあります。
満月の時に月を望遠鏡で見ると光条と呼ばれる光の筋がたくさん見え
ます。(下の写真は画像処理で光条を強調しています。)
この光条は満月近くなると特に明るく輝くのです。
月のクレーターは隕石が衝突してできたといわれていますが、隕石が
衝突したときには、たくさんの土砂が吹き飛ばされます。
吹き飛ばされるときには衝突エネルギーで、かなりの高温になります
ので、融けた砂粒は落下するまでに表面張力で球形になって月面に
降りそそぐことになります。
再帰性反射材というのは道路標識や事故防止の反射テープなどに
使われる材料で、光が入射したのと同じ方向に反射するように
作られた反射材料です。
これは球形のビーズが、下の図のように入射した光を入射した方向に
反射する原理を応用したもので、微少なビーズがビッシリと基材の
上に並べられたものです。
簡単に言うと光条の部分には再帰性反射材と同じように機能する物質が
ばらまかれていると考えて良いと思います。
満月のときというのは、太陽と月が地球を挟んで一直線に並びます。
ほぼ地球の真後ろから太陽光が月に当たり、再帰性の効果により、
太陽の方向にたくさんの光が反射されるため、地球から見ても月の
光条がより明るくなって見えるというわけです。
個人的にはこの光条の部分以外にも、この再規制反射材のような
塵が月面上にたくさんあって満月になると特に明るくなるのを助けて
いるのではないかと思っています。
スタパオーナーさま
雪の写真とか、実際の星空の写真とか、とても具体的で
おー、なるほど!と楽しく読ませていただいています。
Nikon8cmさま
いつもありがとうございます。
雪の写真はずいぶん前に撮影したものなのですが、こんなふうに見えることはとても珍しくて
見つけたときに「オーッ! これぞ月面だ!」と感動して撮影して、いつかブログに書こうと
思ったまま塩漬けになっていました。
ホームページの全面見直し作業の一環でようやく日の目をみたというわけです。