今日はこの季節にしては珍しく雪でした。
先週までかなり暖かい日が続いていたので少しビックリです。
道路に積もるほどではありませんが、久々に雪景色を楽しむことができました。
標高1100mの八ヶ岳南麓に位置するスタパでは4月末くらいまで雪の降ることが
あるので、寒さ対策は十分すぎるほどしておく必要があります。
さて、こう天候が悪いといい加減このブログもネタ切れになります。
といってお天気のお話ばかりというわけにも行かないので、過去の記事ですが
星座の解説シリーズを再編集して掲載したいと思います。
春の星座のトップは何と言っても「かに座」です。
かに座はふたご座のすぐ隣にある星座なので、わりと早い時期から空に駆け
上がって来るからです。
かに座は黄道12星座のひとつなのでとても有名ですが、すべてが4等星以下の
星で構成されているので見付けるのには苦労しますし、都会地では肉眼で見つ
けることは難しいです。
ふたご座の1等星ポルックスとしし座の1等星レグルスの中間あたり(やや
ポルックスより)と覚えておけばよいです。
かに座の歴史は古く、5千年も前から12星座のひとつとして知られています。
この星の並びでなぜカニになるのか、古代人の想像力と慧眼には頭が下がり
ますが、甲羅にあたる4つの星の中に甲羅の模様とも、カニの吐いた泡とも
とれるプレセペ星団があるというのも見事な設定です。
神話では勇者ヘラクレス(ヘルクレス座)に退治されるヒドラ(うみへび座)の
友達の化け蟹で、ヒドラの助太刀をするのですが、あえなくヘラクレスに踏み
つぶされてしまうという可哀相な役どころです。
一説には同じくヘラクレスに退治された化け獅子(しし座)の友達というお話しも
あるのですが、同じ水棲生物同士ですのでヒドラの友達が正解だと思います。
かに座は小さな星座ですし明るい星もないのですが、お奨めの見どころが
いくつかあります。
前出のプレセペ星団(M44)は最も有名な散開星団のひとつです。
肉眼で見ると星雲のように白くモヤッと見えますが、双眼鏡で見ると甲羅に
あたる4つの星の中に宝石箱に収まるダイヤの粒のように美しい姿を見る
ことができます。(星のきれいな場所で、高性能の双眼鏡を使っての話です。)
高倍率の望遠鏡で見てもちっとも面白くない天体の典型でもあります。
さてかに座にはもうひとつ見ごたえのあるM67という散開星団があります。
かに座の南側のツメにあたる星の近くにありますが、こちらは望遠鏡向けの
対象で、ふたご座のM35やぎょしゃ座のM37・38あたりと比較すると小ぶり
ですが、半円形に並んだような特徴のある並びでとても存在感があります。
春の星座の中で数少ない散開星団でもあります。
かに座の見どころとしてはもうひとつ、北側のツメにあたるι(イオタ)星が
とてもきれいな二重星です。
金色の主星(4等星)と薄いブルーの伴星(6.6等星)の対です。
離角は30.7秒もあるので小口径でも充分に見ることができる二重星で、私は
春のアルビレオと呼んでいます。
アルビレオは夏の代表的な星座であるはくちょう座のクチバシにあたる星で
色の対比が美しいことで有名な二重星なのですが、少し星に詳しいかたなら
アルビレオといえば、すぐにどんな色合いなのか想像が付きやすいのでそう
呼んでいます。
ちなみにスタパでは秋のアルビレオはアンドロメダ座のγ星(アルマク)、
冬のアルビレオはおおいぬ座の145番星ということになっています。