今日の昼間はときおり日の射す天気で、少し期待したのですが・・・
低い雲が多い感じで山のてっぺんが見えるという不思議な天候でも
ありました。
この時期、少し日が射すとどこからともなく大量のトンボが出てきて
あちこちに留まります。
トンボが好きな棒の先や、張られたヒモなどにたくさん留まっている
姿が見られて面白いです。
さて秋の星座シリーズ、みずがめ座の続きです。
この時期、南の空に見える秋の星座たちはとても地味なものが多いです。
こんな写真を見せられても、とっさに空のどの部分なのか分かりにくい
かも知れません。
右端の明るい星が西に傾いたわし座のアルタイルで、中央やや左下の
輝星がみなみのうお座の一等星フォーマルハウトです。
都会ですとペガススの四辺形とフォーマルハウトの間の全く星が
見えないあたりになり、慣れないとどんな星座があるのか分かりに
くい部分です。
実はこの写真、みずがめ座とやぎ座をメインに写した写真です。
やぎ座は暗いながらも逆三角に星の並びがわりと整っていますし、
星座絵の姿も連想しやすい星座です。
ところがみずがめ座の方はかなり慣れていないと星をつなぐのが
難しいです。
機能も説明しましたがまずはペガススの頭のややフォーマルハウト
よりの三ツ矢マークを探します。
3.7~4.8等星の暗い星達なので空のきれいなところでないと見えない
のですが、これが見つけられない条件だとみずがめ座の星をつなぐ
ことはできません。
逆に空のきれいなところでは、この三ツ矢は意外に目立ちます。
この三ツ矢こそがみずがめ座のモチーフとなっている、美少年
ガニメデが担いでいる水瓶です。
で、この三ツ矢から西(右)にα星(サダルメリク:幸福の王)、β星
(サダルスード:幸福の中の幸福)というおめでたい名前の星をつなぎ
ガニメデ少年の骨格を作ります。
また三ツ矢の東側からはフォーマルハウトに向かって2本の星の
並びをつなぎ水の流れを作ります。
文章で書くとやたら長い説明になる割に星座絵の瓶を担いだ
ガニメデ少年が瓶から水を流している姿を想像するのがどうしても
難しいです。
まあそんな訳で個人的には「みずがめ座」というのは黄道12星座の
中でも88ある全星座の中でも、かなり駄作な部類に入る星座だと
永年思っていました。
農業が発展したメソポタミア文明時代に雨期に差し掛かる頃に太陽が
このあたりを通過したことから、無理矢理に水がらみの星座を配置
したのだろうとズーーっと思っていました。
さて、前置きが随分長くなりましたがここからが本題。
台風一過などででスタパで珍しいくらいの星空の夜にみずがめ座を
見ると、上の写真で点線の丸で囲んだあたりに細かい星(5~6等星)を
たくさん見ることができます。
まるで水の流れから水がはじけ飛んでスプラッシュな状態になって
いるようにみえます。
どうしてここに威勢良く水を流す姿を置いたのか、古人の気持ちが
初めて分かった気がます。
太陽がこのあたりに差し掛かるとき雨がたくさん降るというのは
古人にとって偶然ではなく思えたのではなかったかと想像できます。
ずっと駄作だと思っていたみずがめ座でしたが、ひょっとすると
なかなかの名作なのではないかと見直したのでした。
ところでみずがめ座とペガスス座にはやたらと「○○の幸運」という
固有名を持った星が多いです。
α:サダルメリク 王様の幸運
β:サダルスウド 幸運の中の幸運
γ:サダルアクビア 秘密の幸運
ε:アルバリ 飲む者の幸運
ペガスス座では
θ:バハム 家畜の幸運
ζ:ホマム 英雄の幸運
以下は写真から外れていますが
η:マハル 雨の幸運
λ:サダルバリ 優れた者の幸運
と言うわけで「幸運」の大安売りといった感じです。
前にも書きましたが、星座の確立されたメソポタミア文明のころみずがめ座に
太陽が位置する頃に雨期がやってきました。
当時文明を支えていたのは農耕であったため、雨は幸運をもたらすものという
ことから幸福の大安売りとなったのではないかと考えられています。
現代の人は雨というと憂鬱なものと考えがちですが、農耕が産業の主体であった
当時は雨は有難いものと思われていたのでしょう。
余談ですがスタパを開業するときにペンション名をどうしようかあれこれ
考えていたころ「サダルスウド」というという候補もありました。
最終的には分かりやすい(説明しなくてもよい)名称の方が親切だろうということで
スタパに落ち着いたのですがね・・・