超々入門 天体望遠鏡光学  アクロマートって何さ -その3-

野生のフジが満開・・・

 

種類により色の違いがあるのかも知れませんが「藤色」というのは、こんなに
さわやかな明るい色なのだと改めて思います。

(写真では伝わりにくいかも知れませんが、通常はもっと濃い色を思い
浮かべると思います。)

さて、アクロマートの話の続き・・、今日で完結です。

少し説明が回りくどくなってしまいましたが、種明かしは意外に簡単です。

下の図で、凸レンズは赤の光がレンズから遠くに焦点を結び、青の光は
レンズよりに焦点を結んでいます。

また、凹レンズは赤の光より青の光の方がレンズの外側に拡散されます。

 

ここで、
凸レンズ:分散の小さいガラス
凹レンズ:分散の大きなガラス
凸レンズの焦点距離 > 凹レンズの焦点距離(凹・凸による焦点の正負は無視)

という条件でうまくレンズの焦点距離を調整すると・・・・

 

上の図のようにお互いの色収差が打ち消しあって、同じ場所に焦点を結ばせる
ことが可能になります。

以上がアクロマート式レンズの基本的な原理です。

このように色収差を打ち消しあうことを「色消し」といい、このようなレンズを
「色消しレンズ」ともいいます。
(色が見えなくなって白黒に見えると勘違いする人が時たまいます・・・)

アクロマート式レンズの実際の設計に当たっては

・各レンズの焦点距離と合成焦点距離
・レンズの面(4面全て)の曲率
・各レンズの屈折率と分散

といった様々なファクターを加味して検討する必要があります。

使用する材料や、焦点距離を決めて、作りやすい曲率の範囲で組み合わせて
設計するというのが一般的なようです。

まあ、普通の人はレンズの設計はしないでしょうからこの辺までが分かって
いれば充分かな・・という気がします。

ここまででは説明していないのですが、通常の光学ガラスでこのような設計を
した場合、色が完全に打ち消しあえるのは原理上ふたつの色だけです。

例えば赤と青で焦点を一致させた場合、中間の緑や青の外側にある紫は少し
焦点がずれます。

このため眼視用の対物レンズでは比較的眼の感度が高い、濃オレンジと青緑の
焦点が一致するように設計するのが一般的です。

紫に対しては感度が低いので、多少ピンぼけでもあまり気になりにくい
というわけです。

写真用の場合には紫まで感度のあるフィルムが多いことから、青紫とオレンジ
が一致するように作られていることが多いようです。

実はこのようにふたつの色について色消しができるように設計されたレンズの
ことを定義上は「アクロマート」と呼ぶことになっています。

また、3色について色消しができるようにしたレンズを「アポクロマート」と
呼ぶことになっていますが、最近では3色以上でもアポクロマートと呼んだり、
メーカーによってはスーパーアポクロマートと呼んだりして、少し定義が
ズレてきているようです。

少し話しがそれてしまいましたが、以上で「アクロマート」についての解説は
終わりです。

分かりましたかねぇ~・・・(ちょっと心配・・・)

参考文献
永田信一著「レンズがわかる本」日本実業出版社
吉田正太郎著「屈折望遠鏡光学入門」誠文堂新光社

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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