星景写真 経緯台でガイドする - その3 -

今日も昨日の続きです。

昨日は経緯台で星をガイドして撮影すると、ガイド星を中心に写野が回転して、
フィルムカメラの時代には、あまり使われない手法であることを説明しました。

それでは、なぜ今さら経緯台にデジカメを載せて星景写真を撮ろうと考えた
のか・・・

昨日もちらりと書きましたが、最近のデジカメの飛躍的な性能の向上が、
経緯台でのガイド撮影を実用的なものにしてくれるかも知れないと考えた
からです。

標準レンズや、やや広角(35mmカメラで50~28mmくらいの焦点距離)のレンズで
星を点に写すためには(撮影する方向にもよりますが)、20~30秒程度が限度で
それ以上では、星が線になって写り始めます。

このためより暗い星を撮影しようと思うと、どうしても赤道儀で星を追尾する
ガイド撮影が必要になります。

ガイド撮影で露出時間を無限に長くできるかというと、そうでもない場合が
ほとんどで、レンズのF値やカメラのISO(アイソ)感度によりある時間以上は
空がかぶって(空の明るさが無視できないほど明るく写って)暗い星がその中に
埋もれてしまうという現象が起きます。

カメラのF値が2.8でISO感度が800だとスタパ周辺の空だと2分ぐらいで
カブリがひどくなり始めます。(東京だと20秒くらいで空がまっ白く映ります。)

つまり、この条件では2分以上はガイド撮影をしても無意味とは言いませんが、
あまり意味がない状態になると言うわけです。

ところで前述しましたように最近のデジカメは飛躍的に性能が向上していて、
エントリークラスのものでもISO3200くらいまで充分な画質が得られるように
なってきていますし、プロ用ではISO10万まで使えるようなカメラもできています。

F値が2.8でISO感度が800でかぶる空、ISO3200なら30秒で同じ写りになります。

さらにISO10万なら1秒で同じように写ってしまいます・・・・

まあここまでの性能のカメラが容易に手に入る価格になるのはもう少し先で
しょうが、ISO3200ならすぐに手に入りそうな価格で売られています。

というわけでISO3200以上あれば30秒露光でカブリが限界になるので、ガイド
撮影が不要にるというわけです。

「それなら経緯台でガイドなんかいらないのでは?」ということになりますが、
実はここからが今日の本題なんです・・・

下の写真はEosKissX4にf17mm(35mmカメラ27mm相当)、F2.8のレンズを着けて
ISO800、30秒の露光で撮影したものです。

上が固定撮影、下が経緯台でガイド撮影したものです。

 

 

それぞれガイド星付近と、写野端付近を等倍に切り出してあります。

手動ガイドがあまりうまくいっていないのですが、下のガイド撮影のほうが
確実に暗い星が写っていて、写野端でもこの傾向は同じです。

固定撮影の画像は画面上で全体を見ていると点に写っているようですが、
30秒でもわずかに流れていて、暗い星が写りにくくなっています。

たった30秒でもガイドしてやることにより格段に星の写りが変わるという
わけです。

この傾向は60秒の露光だともっとハッキリして、写野端が多少流れても
ガイドしてあったほうが格段によい感じに微光星まで写っています。
(同じく上が固定、下が経緯台によるガイド撮影)

 

カメラの感度がドンドン高くなってゆけば、最終的にはガイド撮影は不要に
なるかも知れませんが、画質重視で、できだけノイズを少なくするために感度を
低く設定したいとか、カメラのレンズを絞って使いたいとかいった欲が出て
くると、やっぱりガイド撮影が必要になってきます。

そんなわけで、経緯台でもとりあえず60秒くらいのガイド撮影が有効である
ことが分かっていれば、いろいろ活用ができそうな気がします。

(続く・・・)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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