「ガリレオ望遠鏡の謎(ミステリー)」に挑む その5

昨日に続き今日も曇り空の一日でした。

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さて昨日に続き今日も「ガリミス」シリーズです。

昨日はガリレオさんが貴族向けに販売した望遠鏡がガリレオ式でなければいけなかった理由を解明しました。

確かに対物、接眼ともシングルレンズという制約の中では、低倍率ではガリレオ式が圧倒的に有利だったのですが、ガリレオさん自身が様々な観測に使用していた高倍率(15~30倍程度)の望遠鏡もガリレオ式だったのです。

ガリレオ式望遠鏡の欠点として「視野が狭い」というのが一番に揚げられることが多いです。

低倍率では問題にならなかった視野は倍率の二乗に比例して狭くなって行くのです。

ガリレオさんが観測に一番よく使ったと言われている15倍の望遠鏡の実視界は10分の1度ほどしかなかったと言われています。

10分の1度というのは月を見たとき、月の視直径の5分の1しか見えないことになります。

現代のケプラー式望遠鏡なら500倍くらいの倍率でもこのくらいの範囲が見えます。

でも500倍の倍率の望遠鏡だと天体を導入するだけでも職人芸レベルの技が必要で、なぜガリレオさんがそんな使いづらい物を使い続けたのか、なぜもっと広い視界の得られるケプラー式を使わなかったのかというのが今日の「謎(ミステリー)」です。

しつこいですがガリレオさんは実験科学の父と呼ばれる人で、とにかく実験をして証明できないと気が済まない人であったようです。

ガリレオさんはレンズを組合わせると遠くの物が大きく見える望遠鏡なる物が発明されたという噂を聞いただけで、自分で望遠鏡を作り上げた人です。

ケプラー式も試さなかった訳はないと私は思うのです。

というわけで低倍率の比較に続き、高倍率(20倍)の望遠鏡もケプラー式とガリレオ式も実際の望遠鏡で比較してみました。

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対物レンズは低倍率用と同じく口径50mmとし、焦点距離を低倍率用の2倍の600mmとしました。

私がお気に入りの望遠鏡でもあるスコープテックのラプトル50の鏡筒そのものですが、ガリレオ式では焦点位置がかなり内側になるので純正のままだとドロチューブ径が細いため口径食が起こるので、31.7mm対応の太ドロチューブに変更しています。(ケプラー式では口径食は発生しないので純正のまま使用します。)

接眼レンズはケプラー式の凸レンズ、ガリレオ式の凹レンズとも30mmとし、20倍の倍率が得られるようにしました。

月や木星、土星などをじっくり見比べたかったので、赤道儀の架台に載せています。

この望遠鏡で実際に風景を見ると・・・・

ケプラー式では

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ガリレオ式では

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「ガリレオ式、狭っ!!」という感じですね。

これでもガリレオさんが実際に使った物より口径が大きく、焦点距離も短いので2倍近く広い範囲が見えています。

ちょっとこの二つの望遠鏡を覗いただけでは、上の写真を見比べるのと同じく、ケプラー式の圧勝のような気がします。

でも、じっくり見比べていると「おやッ・・」と思い始め、だんだんガリレオさんの気持ちが分かってきて、ガリレイ式のほうがよいかも・・・と思えるようになってくるのです。

その「おやッ・・」とはどんなものなのか次回に解説したいと思います。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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