今日は良い天気。
日本の夏! という感じの天気でした。
スタパの後ろに見える八ヶ岳最高峰「赤岳」(右側の頂)山頂まで緑が駆け上がっています。
さて「双眼鏡で星空観察入門」、今日は「双眼鏡の種類と構造」です。
2. 双眼鏡の種類と構造
双眼鏡にはコスト、用途・目的により様々なタイプがありますが、現在では大まかに分けて以下の2種3タイプがあります。
1)ガリレオ式
凸レンズの対物レンズに凹レンズの接眼レンズを組合わせ、そのままで正立像が得られる光学系を使用したものです。
100円ショップで購入できるオモチャから、かなり本気の高級品まで様々なタイプがありますが、3~5倍以下の低倍率が主流です。
2)プリズム式
凸レンズの対物レンズに凸レンズの接眼レンズを組合わせ、そのままでは倒立像になるケプラー式望遠鏡に、像を成立させるためのプリズムを使用したものです。
プリズムの形式によりポロプリズムタイプ(ポロ型)、ダハプリズムタイプ(ダハ型)があります。
以下それぞれをもう少し詳しく説明します。
2-1.ガリレオ式双眼鏡
基本的には400年前にガリレオが宇宙を観察した望遠鏡と同じ光学系の望遠鏡を2個並べて双眼鏡にしたものです。
オモチャレベルのものから、光学系にかなり工夫を凝らした数万円レベルのものまでありますが、総じて低倍率のものが主流です。
これはガリレオ式の実視界が倍率の2乗に比例して狭くなる特性があるためです。
倍率が高くなると途端に視野が狭くなって使いづらくなるのですが、2倍くらいの場合は入射角や反射角の制約がいろいろ面倒なプリズムを介さないで良いので、対物レンズを大きくしてあげるととても広い実視界が得られるのです。
基本的な光学系が単純なので、コンパクトで軽く、丁寧に作られたものであれば像がスッキリしています。
ですから2~3倍の低倍率であればプリズム式よりもメリットが出やすいです。
2倍くらいの双眼鏡というのは慣れない人が覗いた時に、倍率が掛かっていないと錯覚を起こすほど大きく見えた気がしません。
でも肉眼で見るより確実に細かいところまで見えるようになるし、星を見たときには星の数が格段に多く感じられます。(理論的には5倍くらいの数になります。)
最近では「テレコンビノ」と呼ばれるカメラ用のフロントコンバージョンレンズ(カメラのレンズの前に着けて焦点距離を延ばすレンズですが、光学的にはガリレオ式の望遠鏡そのものです)を2個並べて双眼鏡にしてしまうというものが売られていたりします。
(上の写真の上段のもの)
肉眼の延長上というか、眼をドーピングした感じであまり覗くという感じにストレス無しに星空を楽しむことができます。
2-2.プリズム式双眼鏡
1)ポロ型
直角プリズムを2個、向きを90°変えて配置し、プリズム内で4回反射させることにより倒立像を正立に変更するタイプです。
プリズムで4回反射をすると向こう側の景色が逆さまに見えます。
原理的に逆さまに見えるケプラー式の望遠鏡の中に組み込めば逆さまがさらに逆さまになるので、成立した像が得られるわけです。
たいへん古くからある設計なので、製品としてはたいへん成熟していますので、あとで説明するダハ型と比較して、同じ仕様(倍率・口径)なら安く入手できやすいです。
構造上ダハ型よりも大きく、ゴツゴツした形状になるので、好みの分かれるところです。
ポロ型でも口径の小さな物は目幅よりも内側に2個の対物レンズくっつけるような形で配置するタイプがあります。(上の写真の左側)
このタイプですとわりとコンパクトな形になりダハ型とそれほど違いが無くなります。
2)ダハ型
プリズムにダハ(屋根)型のプリズムを使うことからこの名前が付けられています。
プルズムの中で複雑な反射(部分的にミラーを配置して反射させたり)をさせて鏡筒を筒状のスマートな形にすることができコンパクトに作ることができます。
高精度なプリズムの製作が難しいので、ポロ型よりも高価になりがちです。
同じ仕様で同じ値段ならポロ型の方が良い見え味になるのが普通ですが、工業製品ですので、大量生産により入手しやすい価格で高性能な物も多くなっています。
でもまだ高級タイプはまだ高価なものが多いような気がします。
ストレートタイプのため人間の目幅以上の口径を有する双眼鏡は原理的に製作できません。(市販されている最大の口径で56mmです。)