今日は少しだけ青空が覗くちょっと悩ましい天候。
さて「双眼鏡シリーズ」です。
9.双眼鏡で楽しむ星巡り
9-8. ベガとアルタイル
ベガとアルタイルについては、今さら説明不要と思えるほどメジャーです。
夏の大三角のうちの明るい2星ですし、織女・牽牛の七夕伝説の星でもあります。
でもアルタイルという名前の意味は「飛ぶワシ」という意味があります。
わし座だから「飛ぶワシ」は別に当然だと思うかも知れないのですが、もう一方のベガには「落ちるワシ」という意味があるのです。
こと座の星なのに「落ちるワシってどういうこと・・・?」と感じる人が多いと思うのですが、アステリズムの観点から見ると、とても納得が行くのです。
本節ではアステリズムとしてのベガとアルタイルを紹介しておきます。
まずは本家わし座のアルタイルから、
ABK029 わし座 アルタイル(飛ぶワシ)星列 分類:星列
星座絵の星の並びを線で結ぶと
この写真では右上に尻尾にあたる星、デネブがありますので、右下がくちばしということになります。
デネブというとはくちょう座のα星が有名ですが、デネブは単に尻尾という意味ですのでじつは結構あちこちにあります。
でも実際の夜空でわし座の星達をこんな風に結ぶのはかなり難しいです。
それもそのはず、元々のわし座はこんなに大きくなかったようなのです。
原始的な星座というのは意外に小さなものが多く、前節で紹介したや座やいるか座(上の写真にも写っていますが)などはその良い例です。
日本でもアルタイルの部分のこの三つの星の並びを犬飼星と呼ぶ地方があったり、牽牛には牛を引き連れる者という意味があって、左右の小さな星を牛に見立てていたのです。
星座発祥の当初は意外に小さな星の並びの目印が主体だったのかも知れません。
さてアルタイルが南中を過ぎるとβ、γがほぼ横並びになって、ワシが飛んでいるようなイメージになります。
そうこの三つの星の並びを飛ぶワシというイメージで「飛ぶワシ」としていたのです。
ABK030 こと座 ベガ(落ちるワシ)星列 分類:星列
飛ぶワシのアルタイルに対して、こと座のベガは落ちるワシという意味があって、昔からアルタイルとセットで扱われていたのです。
こと座が西に傾き始めたときはこんなふうに琴が横倒しになったような配置になります。
ここでベガとε、ζだけに着目するとわりと目につきやすいV字形というか三角ができます。
ベガは織姫星としてもとても有名な1等星ですし、εもダブルダブルスター(二重連星)として有名な星で、ζも低倍率で楽しめる二重星であることから個人的には「夏の小三角」と呼んでいます。
でも西洋の昔の人にはこのV字形が獲物に向かって急降下しているワシに見えたので「べガ」(落ちるワシ)と名付けたのです。
夏の大三角が天頂を明け渡す9月中旬頃になると、面白いことにベガとアルタイルはほぼ同じ高度で横並びになり、(同じ時刻なら)その横並びのまま11月初旬まで地平線に近づいて行きます。
仲良く並んで地平線に近づいて付く姿に気づけば、この二つの星をペアとして扱いたくなるのは人情と言うものでしょう。
そんな訳で西洋では二つの形態のワシの姿として、東洋では牽牛・織女という夫婦の星としてエピソードが生まれたのだと思います。
ベガ(落ちるワシ)もアルタイル(飛ぶワシ)も双眼鏡で眺める星列としてちょうど良い、そして都会で眺める双眼鏡向けの星列としてとても面白い対象だと思います。
今日は¡初めまして、八ヶ岳あたりで天文台、星空観れる宿はないか探していましたらこちらをみつけました。それ以来オナーさんのブログを拝見させていただいております。。凄く専門的でいつか訪ねてみたいと思いますが、どんなときでも星空のお話しや、何かレクチャーしていただけるのでしょうか?当方埼玉県久喜市在住、星空好きですが知識はありません。ただただ望遠鏡で星を観たいのですが、(水)しかいけません。星に憧れているおばちゃんです。
駒込さま
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