今日は終日気持ちのよい秋空が広がりました。
夜も良く晴れて上弦を過ぎた月が綺麗でした。
さて「ゼロ星」シリーズ、今日も冬の星空解説です。
(この先しばらく、冬・春・夏と季節外れの星座解説が続きます。)
第5章 四季の星空解説
5-2. 冬の星空解説(続き)
5-2-3. 三つ星と小三つ星
オリオン座には三つ星と呼ばれる3つの星が等間隔に一直線に並んだ星の並びがあります。
空のきれいな星の良く見えるところでは、この三つ星のすぐ下に縦に並んだ小さな三つ星が見えます。
オリオンが腰に下げている短剣にあたる部分です。
でもこの小三つ星、拡大して見ると真ん中の星は普通の恒星ではなく星雲と呼ばれる天体です。
オリオン大星雲とも呼ばれ星雲の中では最も明るい部類に入ります。
オリオン大星雲は星の製造工場とも言われていて、この星雲の中ではたくさん(200個以上!)の恒星が生まれつつあるそうです。
中心付近にはトラペジウムと呼ばれる生まれたばかりの4重星があり、この星達に照らされて星雲が光っていると言われています。
生まれたばかりと言っても宇宙のスケールでのお話しなので実際には数十万歳というオーダーです。
星の製造工場とか、星のゆりかごといった表現で呼ばれる場所です。
5-2-4. ベテルギウスのお話し
オリオン座の四角形の左上にはベテルギウスと呼ばれるオレンジ色の1等星が輝いています。
三つ星を挟んだ対角線上にある右下のリゲルは青白く輝く星なのでとても対照的です。
日本では源平の合戦で源氏側が白の旗、平家側が赤の旗を掲げていたことから三つ星を挟んで対峙するこの二つの星を「源平星」と呼んでしました。
さてこのベテルギウスはなぜオレンジ色に輝いているかというと、表面が2000度くらいしかないとても温度の低い星だからです。
なぜ表面がの温度が低いのかというと、寿命末期になって内部の温度がもの凄く高くなって、釣り合いをとるために大きく膨らんだ状態のため表面の温度が逆に低くなっているのだそうです。
どのくらい膨らんでいるのかというと、もしも太陽のところにベテルギウスを置くと、地球や火星は軽く飲み込まれ、木星軌道のすぐ内側くらいまでの直径があるようです。
しかも寿命末期で核融合が均等に行われなくなっているので球体ではなく、ジャガイモのような凸凹した形になっているらしいということまで分かってきました。
ベテルギウスは元々太陽より10倍以上質量の大きな星なので、寿命が来ると超新星爆発を起こして宇宙に粉々になって飛び散る(中心には中性子星という超高密度の星も残りますが)といわれていて、もういつ超新星爆発が起こっても不思議ではない状態にあるそうです。
ベテルギウスは640光年も離れた場所にある天体ですが、超新星爆発を起こすと満月に近い明るさで輝いて昼間でも観察できるだろうといわれています。
でも1ヶ月もすると肉眼では見えないほど暗くなってしまうので、爆発したら最後、馴染みのあるあのオリオン座は観察できなくなってしまうので、見たいような見たくないような複雑な気持ちになります。
ただ、天文学上の「もうすぐ・今にも」というのはあまり真に受けないほうがよいです。
星の寿命というのは短くても1千万年単位ですので、「もうすぐ」の誤差は1万年ぐらいだと思っていた方がよいようです。
爆発は明日かも知れないし、1万年後かも知れないというわけです。
何だか宇宙のスケールに煙に巻かれてしまいます・・・・
オリオン座には星が生まれつつある場所がある一方、寿命を迎える星もあって興味が尽きませんね。