買っちゃダメだよ望遠鏡 -その2-

 スタパの周辺では様々な花が競うように咲く時期になってきました。

道端に咲いている雑草の花もクローズアップして見ると予想外にきれいで驚いてしまうことがあります。

さて、まだまだ怪しい望遠鏡の購入は続いています。
なるべく怪しいやつを購入するようにしているつもりなのですが、その中でもなるべくまともそうなのを無意識のうちに選んでしまうようで、意外に粗悪品が手に入りません。
中で決定的な粗悪品がありましたので紹介します。

 写真の青い鏡筒の望遠鏡は「ナSiカ」というメーカーのM100という型式です。
ANAのマイレージの景品でオリジナルモデルらしいですが、ANAのロゴが入って鏡筒が青い以外は定価18000円のM100という機種と同一のようです。
口径50mm、焦点距離420mm、最高倍率100倍とこの手の製品としてはおとなしいスペックでしたし、三脚もわりとしっかりしたカメラ三脚の流用のようで、好感が持てたので入手したのですが、完全に騙されました。

 ナントこの望遠鏡、対物レンズがシングルレンズでした。

写真の右がこの望遠鏡に付いていたシングルレンズ、左はスタパで販売している手作り望遠鏡(35倍)の(アクロマート)レンズです。(ちなみに手作り望遠鏡は4620円です。)
望遠鏡の対物レンズというのはアクロマートレンズといって屈折率の異なる凸レンズと凹レンズの2枚を組み合わせたものを使うのが一般的です。
老眼鏡や虫眼鏡のようなシングルレンズですと、光を屈折して焦点を結ぶときにレンズ自身がプリズムのような働きをして、光の色ごとに焦点の位置が変わります。数倍から10倍位までの倍率ですと何とか見えるのですが、それ以上の倍率ですと相当気を使った設計をしないと、どこでピントが合うのかさえ分からず、まともに見ることさえできなくなります。かのガリレオも相当苦労しながら30倍程度の望遠鏡を使って観測をしたらしいです。
屈折率の異なる凸レンズと凹レンズを組み合わせるとレンズのプリズム効果を打ち消すことができ、色ボケ(色収差といいます)を大幅に軽減することができるので、現代では屈折望遠鏡といえばアクロマートというのが基本です。(さらに上にはアポクロマートというのもありますが、価格がベラボウに高くなりますので入門向けとは言いにくいです。)
まあ最近は、アクロマートでも信じがたい粗悪品が出回っているのであてにならないのですが・・・

話が少しずれてしまいました。
 要するにこの望遠鏡、18000円もの定価がついている製品でありながら、望遠鏡の命ともいえる対物レンズがシングルです。

鏡筒内の迷光処理も写真のように最悪で、付属の接眼レンズ(H20mm)による最低倍率(21倍)で景色を見ても(おかみが言っていた)乳白色の世界で、夢の中のようなぼやけた景色しか見えません。倍率を上げれば何を見ているのかさえ分からなくなります。
土星の輪はおろか月のクレーターさえまともに見ることができない物を天体望遠鏡として売るというのを犯罪と言ったら言い過ぎでしょうかね・・・

付属の接眼レンズ(H20mm、SR6mm)もどうも変です。
H20mmは通常ハイゲンスという形式のレンズ設計で20mmの焦点距離を言うのですが、どう見れもラムスデン(記号:R)のレンズ構成です。
SR6mmというのはラムスデン(R)をアクロマート化したスペシャルラムスデン(記号:SR)のはずなのですが、どう見てもラムスデンそのものです。しかも手持ちの6mmのアイピースと比べると明らかに倍率が低く、焦点距離は12~15mm程度です。つまり謳い文句の100倍はどうやっても出ないウソの商品なのです。
さらに付属の天頂ミラー(光を直角に曲げて天頂付近に向けた望遠鏡を覗きやすくする部品)がひどくて、ちゃんと見えるほかの望遠鏡につけて100倍くらいで見ると、ぼやけて良く見えなくなる粗悪品でした。

まあよくもここまでひどい光学系をそろえたものだと感心してしまいます。
もちろん工業製品ですので、たまたま私が入手した製品が不良品で不運が重なっただけなのかもしれないのでメーカーを訴えようとは思いません。
でも、個人的に二度と「ナSiカ」ブランドの望遠鏡を買おうとは思いませんし、人に勧めることも無いと思います。
もしもこの望遠鏡がこれから天体観測をしてみようと胸を膨らませたお子さんの物になっていたらと思うと、こんな望遠鏡が世の中でたくさん売られているかと思うと、なんとも悲しい気分になってしまいます・・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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買っちゃダメだよ望遠鏡 -その2- への1件のコメント

  1. YOU のコメント:

    小さいころ、父にこれを買ってもらったのですが、ピントを合わせるのが下手だっただけのかもしれないけれど月のクレーターがまったく見えませんでした。

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