買ってもOKな望遠鏡「RAPTOR50」 -その4-

今回も「スターライト・コーポレーション」の新商品「RAPTOR50」(ラプトル50)のインプレの続きです。
今回はいよいよ実際に使用してみた感想をメインに紹介したいと思います。

まずは一番気になる光学性能から。
主鏡のレンズは以前も紹介したように、精密なアポクロマートレンズを製作する国内の工場で作られていて、鏡筒に組立込んだあと全数検査されているので、口径50mmの望遠鏡としては最高のレベルが約束されたようなものです。
  しかも見え味に大きく影響する鏡筒内の内面反射(迷光)を高いレベルで防止するように作られているので、満月などの明るい天体や、昼間の景色を見てもコントラストが高く、視野内が寝ぼけた感じになることはありません。

写真は昼間明るい方に向けて、相当な露出オーバーで撮影した鏡筒内の写真です。接眼筒の部分がやや光っているように見えます。このクラスの接眼筒の細さから来る避けにくい現象なのですが、充分な内面処理がなされているので実害は無いレベルです。

 スタパには私が子供の頃(38年前!)に買ったはじめての本格的望遠鏡、「アストロ光学製」口径50mm、焦点距離750mmの望遠鏡(鏡筒のみ)があります。(写真奥がアストロ、手前がラプトル)



この望遠鏡は世間での評判でも「名機」と謳われ、本当に良く見える望遠鏡なので手放すことなく来ました。
レンズが少し曇っていたり、かびていたりもしますが、それでも短焦点の80mmアクロマート(F5)よりもずっと良く見える(分解能が高い)ので、自慢の種でもあったわけです。

そんな訳でラプトル50がきてまず初めに比較したのがこの望遠鏡だったわけです。
でもそんな私のプライドは覗き較べた瞬間に崩れ去りました・・・
ナント!、ラプトル50のほうが明らかに良く見えるのです。ラプトル50のほうが視野内のコントラストが高く、「カリッ!」とした感じに見えます。
 歴戦の名機があっさり破れるとは・・・・。これにはかなり凹みましたね。

原因は鏡筒内(特に接眼筒)の内面処理の違いのように思うのですが、それだけではないかもしれません。いずれアストロ機の筒内を改造してリベンジさせたいと思います。
38年前の4万円の望遠鏡が今の7千円の望遠鏡に負けるとはちょっとショックですね。

さて、実際にいくつか天体を見てみましたのでその感想を記します。
:とにかく本当に良く見えます。満月近い月を見ても視野内がそれほど明るくならず、欠け際にカリッとビシッとクレーターが並びます。オルソなどの高級(?)アイピースを使うと100倍くらいでも色収差はほとんど気になりません。
木星:5cmでこんなに良く見えるんだ~ぁ! という感じで、縞が2本、ビシッとはっきり濃く見えます。南北の極域の暗部も、赤道帯が何となくモヤモヤしているのもわかりますので、けっこうたくさん見えている気がします。もちろん4個のガリレオ衛星もバッチリです。
アルビレオ:白鳥座のくちばしにあたる3等星の二重星で色の対比が特別美しいことで有名な星です。ラプトル50で見ると少し光量不足な感じですが、もちろん分離しますし、注意深く見れば色の対比も充分わかります。
こと座イプシロン:ベガの近くにある2重連星。2組の連星が並んでいます。どちらも50mmレンズの分解能の限界の離角で、わりと明るいため分離できなくて当然の対象です。当日のシーイングがあまり良くなかったのですが、150倍(オルソ4mm使用)で見て分離できませんでした。でも、両星とも点像でなく伸びて見えたことは確かです。また、条件の良い時に再挑戦してみたいと思います。

以上良いことばかりを書いてきたのですが、マイナスポイントは無いのかというともちろん無いわけではありません。この価格であんまり文句を言っては申し訳ない気もするのですが、「スターライト・コーポレーション」の大沼さんからは単なる「ちょうちん持ち記事」はやめて、と言われています。(なんて太っ腹な人でしょう!)
そんな訳で次回はラプトル50のマイナス部部にも厳しく迫ったみたいと思います。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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