天体望遠鏡入門講座 第四章 4-2

今日は晴れのち曇り。

午前中は良い天候だったのですがねぇ・・・・

天体望遠鏡入門講座シリーズ、第四章が続きます。

第四章 架台

4-1. 経緯台

4-2. 赤道儀

赤道儀は導入した天体を追尾し続けるための架台です。

経緯台は上下・水平方向への回転軸を持つため地上の風景などを見るときにはとても便利です。

しかい、地球の自転に伴って日周運動をしている天体を追尾するためには常に2軸を動かし続けなければなりませんし、天体の位置によりその動きは一定ではありません。

長時間、落ち着いて天体を(特に高倍率で)観察したり、写真撮影を行うためには赤道儀があると大変便利です。

赤道儀の回転軸は「極軸」(赤経軸とも言います)と「赤緯軸」という二つからなります。

極軸を「天の北極」に向けて(=地球の地軸と平行に)設置することにより、天球上の赤経・赤緯(地球上の緯度経度に相当)に沿った動きをします。

極軸は観測地の緯度と同じ傾きにして設置すると地軸と平行になるため、一見構造が複雑に感じますが、地球の自転速度と同じスピードで極軸を逆回転させることにより架台上の望遠鏡は宇宙に対して静止しているのと同じことになります。(宇宙のスケールからすると地球の大きさは全く無視できる程小さいのです。)

ひとつの軸(=極軸)を一定のスピードで回転(1日に1回転)させるだけで導入した天体を追尾できます。

モーターのついていない手動式の赤道儀では(極軸が概ね北極星の方に向いていれば)、日周運動で星が視野から外れても、極軸方向に動かすだけで再導入が簡単にできます。

一々ファインダーなどで確認しなくても再導入ができるので、特に高倍率で観察するときにはとても便利です。

極軸を正確に設置するために極軸望遠鏡という部品が組み込まれた製品もあります。

極軸望遠鏡を覗いて北極星を適切な位置になるよう調整すると極軸が精密に設置でき、天体の追尾精度が向上するので、天体写真を撮影するような場合は便利です。

赤道儀には望遠鏡の向いている方向を読み取ることのできる「目盛環」と呼ばれる部品がついていることが多いです。

最近はあまりはやらないのですが、二つの軸についている目盛環をうまく使うと、見えていない天体でもわりと簡単に導入ができます。

安価な赤道儀や自動導入が前提の赤道儀では省略されている場合もありますが、これを使いこなせるとちょっと格好良いです。

市販されている赤道儀としては「ドイツ式」(下の写真)と呼ばれるバランスウエイトを持つタイプが主流です。

ドイツ型の他にも実は様々な形式がありますので、ここではいくつか紹介しておきます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらは前節で紹介したフォーク式経緯台をウエッジと呼ばれる部品で傾けて設置したものです。

フォーク式赤道儀と呼び、バランスウエイトを必要としないので軽量化が図れます。

ドイツ式では観測時に天体の南中を挟むと、鏡筒を反転させて鏡筒とバランスウエイトの位置を入れ替える「子午線跨ぎ」という操作が必要になるのですが、フォーク式ではその必要がなく長時間天体を追尾して観測することが可能です。

フォークアームの長さの制約上、接眼部にあまり大きな部品を付けられないのが欠点です。

余談ですが普通の経緯台でも下のように傾けて使えば赤道儀として使用可能です。

高価な赤道儀を買えない昭和の天文少年達はこんな工夫をして天体観測を楽しんでいる人もいました。

下は片持ちフォーク式です。

特徴はフォーク式に近いですが、多くの場合北極方向に向けられませんので、月や惑星観測用と(あるいは南向きのベランダ用と)割り切って使うとウエイトレスの軽快な使用感が得られます。

上はかなり特殊な例ですが、エアリー型とかイギリス型と呼ばれるものです。

据え置き式が前提ですがドイツ式よりも安定度が高なります。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
カテゴリー: 天文関係, 望遠鏡・機材 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください