ホントに超入門 「望遠鏡の使い方」-23:赤道儀について-1

スタパ周辺では、まだまとまった雪が降っていませんが、八ヶ岳の山頂付近は
だいぶ雪景色が板に付いてきた感じです。

 

さて超入門シリーズ、今日は「赤道儀について」少し語りたいと思います。

望遠鏡の架台の形式として大まかに分けて「経緯台」と「赤道儀」があります。
(ここではそれぞれについてご存じという前提で話を進めます。)

私自身もそうなのですが、初心者には経緯台をまず奨めます。

・同クラスの重量を支える赤道儀よりも軽量で
・直感的に扱える

からです。

初心者には経緯台という図式は大筋で間違ってはいないのですが、考えように
よっては、初心者をとてもバカにしているようにも思えます。

赤道儀は経緯台よりも重くて、直感的に使いにくいですが、説明書通りに
きちんと据え付けをしてあげれば・・

・天体の追尾が1軸の操作だけでできる
・見失ってもこの軸方向にうごかすだけで(ファインダーを使わなくても)
 容易に再導入できる
・モータードライブを追加すれば一度捉えた天体をズッと視野内に捉えてくれる
・経緯台よりも大幅に天体写真が撮りやすい

などなど、経緯台に勝るメリットがたくさんあります。

据え付けが難しそうに思うかも知れないのですが、経緯台を使いこなして
星の動きをうまく追尾できるようになっている人や、望遠鏡を使っていなくても
北極星を中心として回転する星の動きを身体で理解している人ならそれほど
難しいことはありません。

全くの初心者でも説明書をしっかり読んで、書いてあるとおりにしっかり
実践する向学心の旺盛な方なら充分使いこなせると思います。

ですから個人的にはもっと赤道儀を奨めたいところなのですが、なかなか奨め
づらいのにはもう一つわけがあります・・・・

その理由とは、「安くて」、「良質な」、「小型望遠鏡向けの」赤道儀が
市場にないということです。
(ここでいう「良質」とは、強度や精度がそこそこであることに加え、同架できる
鏡筒のなどの汎用性や、モータードライブや極軸望遠鏡などのオプション展開が
配慮されていることを含みます。
以前紹介した(株)ジズコ扱いの米国オライオン社製赤道儀はイイ線いっている
のですが、注文してから入手できるまで40日くらいかかるのでここでは除外
します。)

国内で流通している赤道儀は最低レベルでも口径8cmの屈折を載せることを
前提としたものしかなく、5~6cmの望遠鏡を載せるのには明らかにオーバー
スペックなうえ、小中学生が気楽に購入できる金額でもありません。

また、架台、ウエイト、三脚の合計重量は軽く10キロを越えますので、
小学生に一人で気楽に扱えるものでもありません。

「本当は赤道儀がよいから10万円くらい貯めてから買いなさい。それと購入
までに充分体力を付けておくんだよ!」とは言いにくいというわけです。

はるか昔(といっても私が子供の頃ですが・・)はセット売りが前提では
あったものの、5cm用、6cm用、8cm用と、クラスに応じた赤道儀が用意されて
いました。

初心者といえども赤道儀を選択するチャンスが与えられていたんですね・・・。

いつの頃からか赤道儀がシステマチックに汎用性を重視した方向になって、
その分強度が重視されて、小型の赤道儀が消えていってしまいました。

望遠鏡業界は声の大きいマニアの言うことばかり聞くようになり、声なき
初心者の気持ちをくみ取ることができなくなってしまったように思えて
なりません。

ちゃんとしたメーカーがそんなふうになってしまったために、パッケージや
数字上の性能ばかりをよさげに作った粗悪品が横行するようになったのでは
ないかと思います。

・・・・何だか愚痴っぽくなってしまいました。

要するに、小型望遠鏡向けの安くて良質な赤道儀が欲しいということです。

これがあれば、もっと初心者に赤道儀がお奨めできるし、一眼デジカメでの
星景写真などにも応用が利くので、かなりニーズはあると思うのですが、
どこか作ってくれるところはないものでしょうか・・・(-_-)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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