望遠鏡業界の革命が進む

今日は晴れのち曇り。

まあいつもの天気ですが、昨晩は深夜過ぎに晴れてくれて講座参加の皆様は徹夜だったようです。

望遠鏡とCMOSカメラや自動導入架台を組み合わせた電視観望は天文アマチュアにとって革命的な変化をもたらしているのですが、ここに来て「スマート望遠鏡」なる新たな革命の波が起こりそうな感じがしています。

2年くらい前からかなり高額な商品で出回り始めているのですが、今年になって10万円を割る価格の製品が出始めました。

上の矢印で示したのは最近発売になったZWO社のSeeStarという7万円台のスマート望遠鏡です。

付属の三脚にのせてだいたい水平な場所にただ置くだけ、

Wi-Fiでスマホと繋げて見たい天体をスマホで選ぶだけ

という操作だけで選んだ天体の画像がリアルタイムにスマホに送られてくるというシステム。

機材の設置のためのアライメントとかピント合わせとか難しいこと一切無しに天体の観察ができてしまうのです。

光害をカットするフィルターが入っているので光害の酷い都会でも淡い天体を映し出すことができます。

月も結構な高画質(スタパがブログであげているくらいには余裕)で撮影することができますし、付属のフィルターを被せると太陽も高画質で撮影できます。

天文オヤジたちが必死になって一生懸命マスターしてきた電視観望の世界が何の苦労もなく、難しいこと一切無しに始められる革命的製品です。

惑星や二重星など高倍率が必要な観察は得意ではないですが、そこまでオールマイティーを望むのはさすがにイジワルすぎます。

これから宇宙を観察してみたいという方には超お奨めです。

それでスタパは買わないの? と聞かれそうですが・・・

スタパはたぶん買わないと思います。

すでに同等以上のことができる機材が揃っていること、
色々な部品を組み合わせて楽しむ方が好きなこと、
やっぱり自分の眼で星の光を「ナマで見たい派」であること

などと何とか買わないですむ理由を並べ立てて・・・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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望遠鏡業界の革命が進む への7件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、

    電子化の波が本格的に望遠鏡業界にもやってきましたね。このような電子機材は非常に便利であり、素晴らしいものです。ほんの数年前までは、これほど技術が進むとは夢にも思いませんでした。

    まあこれは社会全体に言えることで、世界的に今やほぼ全ての分野で電子化が進み、ものによっては義務化までされているのが実情です。個人事業者は、帳簿まで電子化が義務付けられるのですから。いやー、すごい時代になったものです。
    もう、電子機器が無ければ社会生活が非常に困難になる時代になったと言えますね。
    その意味で、望遠鏡業界もその方向へ進むのはごく自然な流れですし、この流れはおそらく止まるところ知らずになるのではないでしょうか。これはこれで素晴らしいと思います。

    しかし一方で、従来の眼視によるアナログ観望と言った分野も消し去ってほしくはありません。従来型の望遠鏡や、アイピースといった星を純粋に見て楽しむ機材は、是非とも残して欲しいと個人的には思います。

    何故なら、望遠鏡で星を見るという事の素晴らしさは星を趣味にするものにとってなにものにも変え難い体験だからです。

    電子化が今の望遠鏡業界の流れとして自然な方向だとしても、万が一にも将来的にアクロマートの屈折や、純ニュートンの鏡筒が消滅しまったり、アイピースが姿を消してしまったりなどと言うことだけはないように、切望いたします。これらをしっかり残した上で、電子化を進めていって頂けたら嬉しいですね。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    やはり眼視で星を見る楽しさは電視とは別のものだと思います。
    ダイレクトに眼で捉えた光を脳が画像処理する流れは電視よりも感度は圧倒的に低いですが、分解能や時間分解能が優れていて、恒星の色や瞬きを捉えることができます。
    暖かな部屋の中で画面を見るより、その場の空気感を合わせて体験した方が心理的インパクトも大きいです。
    望遠鏡のスタイルは少しずつ変化して行くかも知れませんが、眼視用望遠鏡がなくなることはないと思います。

  3. 小澤利春 のコメント:

    オーナー様、

    おっしゃる通りと思います。趣味の道具である限り、眼視用として使える望遠鏡はずっと存続して欲しいと思っております。

    ただ、ここ30年くらいの望遠鏡業界の流れを見ると、現在私たちが眼視用途で使っているものの多くが写真用として作られたものに移り変わってしまったのも事実です。つまり写真用望遠鏡を眼視用途にも使っているというのが現状です。あくまでも写真性能を主眼に作られているため、眼視でも使えるけれど本来の眼視用のものと比べると値段が特に屈折ではべらぼうに高くなっています。唯一眼視用として残っているのが一部の初心者用の小口径屈折と、中国製のアクロマートのみです。

    ニュートン式反射望遠鏡は、海外製のドブソニアンや一部の眼視用に特化した製品に眼視用のものがありますが、国産メーカーではニュートンから完全に撤退してしまったり、極端な短焦点の物が1機種のみ作られていて、眼視用のものは皆無という状況になっています。斜鏡が大きく、スパイダーが太い短焦点のものは眼視用には全く不向きです。
    F値が5や6で短焦点ではあるけれど、斜鏡径をできるだけ抑え、スパイダーも可能な限り薄くしてなんとか眼視用として使えるものは全て海外製となっています。

    カセグレン系も最近ではフラットナー組み込み型鏡筒がどんどん増殖しています。これも写真用途化で、従来型に比べて値段もべらぼうに高いですね。それでも今はまだ従来型のものが残っているのが救いです。

    この関係が、将来電子に移行するとどうなるか。望遠鏡をセットしてアイピースを除き天体を観望するというよりは、対象天体をボタンひとつで導入し、パソコンの液晶画面に映し出しそれを見るという時代がくるのではないかという予測もできるのではないかと。

    その中で、本来の眼視用鏡筒がいつまで生き延びられるか、ゾンビ化しても残って欲しいと切に願っております。

  4. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    まあ日本のメーカーが生き残るために選んだのが高付加価値化とパイの拡大だったので、眼視用が置いて行かれたのは必然だったのかも知れません。
    とはいっても(国内ではないですが)眼視観察に特化したテレビューやそれを追いかける(?)賞月観星のような接眼レンズメーカーもあり、眼視の火が消えたわけではないと思います。
    肉眼のラチチュードの広さを考えると画像や映像では(少なくとも当面は)逆立ちしても再現できない対象もたくさんあります。(月面の見え方や、皆既日食のコロナ、星の色やきらめき・・・等々)
    従来のような眼視特化型はゆっくりと衰退方向かも知れないですが、フォトビジュアルという形の高付加価値化をしつつ進化して行くようになればと思っています。

  5. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、

    もう一つ、これは前から疑問だったのですが、望遠鏡の性能評価という点について。
    眼視にて、恒星を対象とした光軸の確認や調整、焦点内外像チェックによる球面収差の確認などはよく行われますが、電子観望でもパソコンの画面上で同じようなことが行われるのでしょうか。それとも電子観望ではそこまで厳密な鏡筒の性能評価は必要がないと考えられているのか、その点についてお伺いできればと思います。

  6. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    電視観望用望遠鏡は眼視性能よりも写真鏡としての性能が重視されると思います。
    高倍率向けの分解能よりもパープルフリンジやサジッタルコマ収差、像面湾曲あたりのほうが重要視されるのではないかと思います。

  7. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、
    ご教授、ありがとうございました。
    電子機器の一部と考えれば納得が行きます。

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