先日から話しの肴にしているスコープタウンの「ガリレオ式望遠鏡」。
私が宣伝しているからというわけでもないと思うのですが、初期ロット50台が
あっという間に完売してしまったそうです。
そんなにたくさん売れるとは思っていなかったようなのですが、急遽100台
追加で生産指示をかけたようです。
在庫切れで悔しい思いをした物好きなあなた、2週間で生産できるそうですので
今少しお待ち下さい。詳しくはこちら
さて、この「ガリレオ式望遠鏡」、1980円という破格の安さです。
前にも話しましたが、博物館などの展示用に作られたレプリカモデルが100倍
近い価格値段で売られていることを考えると脅威的な安さです。
たった1980円の望遠鏡でブログが4回も書けてしまえるのですから・・・
「安いですね」とスコープタウンの大沼さんに聞いたところ、
「(粗悪品ではないのだけれど)見えない望遠鏡でお金をもらうのは申し訳ない
ので、通常の商品の儲け幅よりズッと低い価格設定をしてる」とのことでした。
もともと、よく見えないことを知るための製品なので、そこまで気を
使わなくても良いのではないかと思うのですが、真面目すぎるくらいの姿勢に
改めて感心した次第です。
さて、今日の本題です。
ガリレオさんがなぜ現代では見捨てられたガリレオ式光学系にこだわったかの
続きです。
前回は正立光学系であることと、一般に思われている以上に視界が広い
ということを理由にあげたのですが、さらにもう一つ前述の大沼さんと
話しているうちに大きな理由があることが判りました。
ガリレオさんがガリレオ式にこだわった理由の第三は、同じシングルレンズの
ケプラー式よりも収差(特に色収差)が少ないということです。
ガリレオ式のレンズの組み合わせをもう一度思い浮かべて頂くと・・・
対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズが使われているのですが、
これ、見方を変えると現在では当たり前のアクロマートレンズの構成に
近いと思いませんか?(超~分離型ですが・・・)
アクロマートレンズというのは屈折率の違う凸レンズと凹レンズを
組み合わせることにより、レンズによるプリズム効果で色毎に変わる焦点の
位置をできるだけ一点に集まるように調整しています。
ガリレオ式望遠鏡の場合も対物レンズと接眼レンズの屈折率をうまく調整すれば
色収差を大幅に(少なくとも両方凸レンズを使うケプラー式より)軽減できる
のではないかと思います。
シングルレンズの場合、対物レンズの口径と焦点距離が同じで、倍率も同じなら
ガリレオ式のほうが(たぶんですが)よく見えるということをガリレオさんが
知っていたのではないかと考えられます。
対物と接眼のガラスの材質(=屈折率)を変えると良いということも(実験科学の父
ですから)経験的に知っていたのではないでしょうか?
ガリレオさんの作った望遠鏡というのはとてもよく見えたと評判でしたし、
ガリレオさん自身もかなりそれを自慢していました。
でも100本以上作ったといわれている中で、まともに見えたのは1割程度
だったともいわれています。
当時のガラスの製法ではなかなか望遠鏡の使用に耐える質の良いレンズが
できなかったのが原因といわれていますが、
対物と接眼のレンズの屈折率の不適切な組み合わせが、まともに見える
確率を低くしていたのではないかと私は推測しています。
光学設計の詳しい知識があるわけではないし、ガリレオさんの作った望遠鏡の
レンズの材質を知っているわけではないのであくまでも推測なので
悪しからず・・・
もう少し時代が下ると、対物レンズの焦点距離を異常に長くして、接眼レンズを
2枚玉にして色収差を軽減するケプラー式が主流になるのですが、
ガリレオさんの時代のレンズや望遠鏡の製作技術からすると、ガリレオ式望遠鏡
こそが、当時最高の光学系であったのだと思えるのです。
ガリレオ望遠鏡の謎(ミステリー) 長編 大作の3部作、とても読み応えがあり、そうかぁと一人うなずきながら、読み返してしまいました。特にその2では、のぞいたことのある人にしかできない話だし、その3は完結編として、論理がすごいです。ここまで考察されるとガリレオ先生にも喜んでいただけるのではないでしょうか?
こんばんは。
3話楽しく読ませていただきました。
私には5%以下しか理解力がありませんが
とても面白いですね。
望遠鏡のこともっともっと知りたくなりました。
すずき 様
いつもありがとうございます。そこまで言っていただけると嬉しい限り・・\(^o^)/
独りよがりな文章なので却って恐縮です。
夜空 様
オタクの戯れ言ですが、おもしろいと思っていただきありがとうございます。
この先は沼かも知れませんね(*´Д`*)
大変面白い話ありがとうございます。
目から鱗が落ちる。とはこのことですね。
さすがガリレオ!
やはり百聞は一見に如かず
ですね。
せっかくだからどこかの学会で発表されたらいかがでしょうか?
むーみんさま
どうもありがとうございます。
いろいろ実験大好きなガリレオさんがなぜケプラー式を使わなかったのかとにかく不思議だったのです。
あちこちでポチポチ紹介させて頂いてはいるのですが、学会発表となると少し気が重いですね~