初心者はポルタを買え!-Ⅰ(望遠鏡を買う前に-番外編)

「望遠鏡を買う前に」シリーズの番外編とはいえ、いきなり「ポルタを買え!」とは乱暴な話なのですが、先日ビクセンから届いた「ポルタA80Mf」・・・(頂き物だから言うわけではないのですが)・・・この望遠鏡、かなり(否)すごくいいです。
ひとことで言うなら「初心者のことをすごく分かった望遠鏡」でありながら、2台目、3台目の望遠鏡を買ってもサブ機として使い続けられる実力も備えている望遠鏡であるといえます。
ここまで言い切ってしまうのは、架台であるポルタ経緯台の出来の良さに起因する部分がかなり多いのですが、光学系や意匠設計、付属品に到るまで気を抜いていない設計者の意地、あるいは企業の良心といったようなものを強く感じ取ることが出来るからです。
少し長くなりますが、2~3回に分けてインプレッションを報告します。

デザインがすごい!
望遠鏡売り場や外では気にならないのですが、通常の家庭で望遠鏡が置いてあると、わりに大きく感じ邪魔者にされがちです。かといって、組み立てた状態にしておかないと、いざ使おうと思っても億劫で使用頻度が大幅に下がってしまいます。

そういった意味で、インテリアの一部として違和感の無いものがあれば良いわけですが、機能と価格が優先されがちな望遠鏡業界にあって、そういった発想はこてまで無かったのかも知れません。
最近のビクセンの製品には、この辺のところをかなり意識したものが多いように思うのですが、このポルタはさらに磨きがかかったという感じがします。
望遠鏡のイメージとして一般的な白を基調に、これまた一般的な黒で要所々々にしまりをあたえています。架台や三脚にまで統一感を持たせているというのが何よりのポイントだと思います。

 また、これだけだと無機質な感じで面白みがないのですが、鏡筒の先端(フード部)に「Vixen」の赤いロゴが入っていたり、上下回転軸のエンド部に青い星空のイラストが嫌味でない程度にあしらわれていて全体を引き締めています。

形状的にも出来る限りゴツゴツした感じをなくすような努力が見られますし、全体のバランスとしても、とてもスマートな感じに仕上がっています。
おかみやおかみJrが見て「かっこいい~!」と言っておりましたので、女性の感性にも受け入れられるものだと思います。奥さんが財布の紐を握っている家庭では購入の際に大きなポイントになることと思います。
前にも書きましたが、スタパの他の小型望遠鏡(ほとんどが中古の寄せ集めや自作品)と並べると格好良過ぎて浮いてしまうほどです。

架台がすごい
今日、格好が良いだけなら他にもありそうですが、初心者向けとしての架台(ポルタ経緯台)の出来のよさはまさに画期的といえるほどです。
通常、ほとんどの架台には望遠鏡を固定するために固定ネジ(クランプと言います)がついています。これがないと望遠鏡に触れただけで(場合によっては手を離した瞬間に)鏡筒が動いてしまい、せっかく導入した星が逃げてしまいます。
このため、望遠鏡に星を入れるためには、クランプを緩め→鏡筒を星に向けて→動かないように押さえたままクランプを絞める という作業が必要なのですが、初心者やお子さんには以外に難しい作業ですし、黙っているとクランプを絞めたまま接眼部を持ってグイッと星に向けてくれるので、架台がひどく傷みやすくなります。
一方、世の中にはクランプの無い「フリーストップ式」という架台があるのですが、高倍率で星を追いかける時にぜひ欲しい微動装置がついていないことがほとんど(構造的に付けづらい)ですし、スーッ → ピタッ という感じで快適に使えるものも少ないです。
で、この「ポルタ経緯台」なのですが、「フリーストップ式」でありながら、上下、水平方向ともに全周微動(微動の範囲が限られていない)タイプになっていて、部分微動のように終端を気にせずにグリグリ微動を回すことが出来ます。スーッ → ピタッ をより快適にするために、使う鏡筒により硬さを調節することもできますので、動きを好みの硬さに調節できますし、片持ちアーム式なので水平方向と天頂方向でバランスが崩れることが無く、どの方向でもスーッ → ピタッ が気持ちよく決まります。

調整や組み立てに必要な工具(六角レンチ2本)も架台のなかに収納されていて至れり尽くせりと言った感じです。
実際に使用してみると、クランプレス+微動付と言うのは想像以上にラクチンなもので、目標の天体をスピーディーに導入することが出来ます。ガタやぐらつきは非常に少なく押さえられていて(さすがに高倍率(100倍以上)の時の微動操作やピント合わせでは多少像が揺れますが)、少々の風でも不快を感じない程度の揺れです。高倍率でも安心して微動を操作して星を追いかけることが出来ます。もちろん低倍率(4~50倍)ではどっしり安定して、落ち着いた像を快適に楽しむことができます。

鏡筒の取り付けは、今や世界標準ともいえるビクセンアリミゾ式なので、ポルタ経緯台が許す範囲の重さや太さの別の鏡筒を取り付けることが可能ですので、将来的にもいろいろ使い回すことが出来て便利だと思います。

(つづく・・・)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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初心者はポルタを買え!-Ⅰ(望遠鏡を買う前に-番外編) への11件のフィードバック

  1. leon のコメント:

    久しぶりの投稿です。やっぱり、ビクセンのポルタは使いやすいですか?次は、ポルタA80Mfを買おうと思います。  あと、頂きものとはどういうことなのでしょうか?

  2. スタパオーナー のコメント:

    leon 様
    コメントありがとうございます。
    ここに書いてあるとおり初心者からベテランまで1台持っていて
    損はないものです。
    10万円以上の予算があるなら別ですが、5万円以下でで購入する
    望遠鏡としてはベストな選択です。
    使いやすさはこのクラスの経緯台の中ではダントツだと思います。
    鏡筒もベストではないですが、充分に高いコストパフォーマンスだと
    思います。
    「頂きもの」という表現については06年5月3日の記事をご覧ください。

  3. leon のコメント:

    鏡筒はどのようなところがベストではないのでしょうか?

  4. スタパオーナー のコメント:

    A80Mfは口径比11.3とアクロマート屈折としては、取り回しの良さと
    色収差など見え味のギリギリの所で妥協している仕様となっています。
    つまりF値の大きなものと比べれば見え味は確実に劣ります。
    また、コストを抑えるため中国生産品です。
    ビクセン製品ですので、中国製=粗悪品と決めつけるつもりは
    全くありませんが、それでもコストなりの接眼部の作りの雑さ加減や
    同仕様の国産品と比べれば、極限の所で見え味に差が出ます。
    ビクセンは同じポルタの80mmにA80Mという国産の鏡筒をラインナップしています。
    微妙に付属品やファインダーなどが違いますが、同じ80mmなのに2万円も
    定価が違います。
    本当のところはどうかわかりませんが、わざわざ同じ仕様の製品を
    2種類出しているということは、明らかに性能に違いがあることを
    ビクセンが承知しているからなのではないかと推測します。
    充分に高いコストパフォーマンス = 値段の割にはよく見える
    ということで、ベストではないという表現をしました。
    わかりにくくて申し訳ありません。
    なお、A80Mを買う予算はないけれど国産鏡筒が欲しいと言うことであれば
    ラプトルを販売しているスターライトコーポレーションに
    相談するのがよいと思います。
    80mmのアクロマートでもF7~F15まで様々な焦点距離の国産鏡筒を
    ポルタとセットで販売していますので、使い方に合わせた仕様のセットを
    チョイスしてくれると思います。

  5. leon のコメント:

    ありがとうございました。 よく考えてみます。

  6. leon のコメント:

    考えてみたのですが、http://www.scopetown.co.jp/SHOP/HSD80AM.htmlなんかどうでしょうか?A80Mfとどっちが見えるのでしょうか?

  7. スタパオーナー のコメント:

    SD80AMの方が焦点距離が1000mmと長く、日本製のレンズでので
    A80Mfより(たぶん)確実によく見えると思います。
    (実際に見比べたわけではないので(たぶん)としました。)
    ただ、焦点距離が長いぶん、取り回しが大変になりますし、
    SD80の架台は8cm用としてはギリギリの仕様と思います。
    (風などによる揺れの収束に時間が掛かります。)
    また専用架台であるため、将来的な汎用性、例えば、鏡筒を別の
    架台に載せたいとか、この架台に別の鏡筒を載せたいなどの
    応用性が非常に乏しいと言わざるを得ません。
    とりあえず、よく見える8cm屈折を、どうしても安く入手したい
    という目的であればお奨めです。
    先に答えを言ってしまいますと、個人的にはこちら
    http://www.scopetown.co.jp/SHOP/HSDX8100P.htmlが
    お奨めです。
    見え味、架台の性能、将来性ともOKですし、
    価格もA80Mfと比べても安いくらいですから。

  8. leon のコメント:

    >価格もA80Mfと比べても安いくらいですから。
    今サイトを見ましたが、A80Mfは、4万9350円 ポルタII STL80A-L (のっぽさん)は、6万2120円でした。
    不況により、高くなったのでしょうか?

  9. スタパオーナー のコメント:

    あ~っ!(゚ー゚;
    申し訳ありません!!m(_ _)m
    ポルタA80MとA80Mfの価格を見間違えてしまいました。
    1万3千円近い価格差は悩むところですね・・・
    ただ(人にもよるでしょうが・・・)
    A80Mfを買って少しすると「のっぽさん」の見え方はどんなんだろう・・
    という気持ちがずーっと続くと思います。
    悩ましいですね~

  10. leon のコメント:

    やっぱりそうでしたか。 あ~ スター☆パーティー 行ってみたいですね~ っていうか、もう、計画立ててます!ですが、行くのはあと何年後になるであろうか┐( ̄ヘ ̄)┌

  11. ピンバック: スタパの貸出用望遠鏡 -その8- | スタパオーナー八ヶ岳日記

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