月を味方にする (2)

さて昨日「月を味方にする方法について解説します。」と大上段に構えたのは
よいのですが、具体的に書き始めようと思ったら、あまりにも準備不足である
ことに気付きました。

いろいろな図版を起こしたり、それなりに調べ物をしたり、参考図書を紹介
できるようにしたりと、本気で書こうと思うとこの時期にはあまりにも無謀
である(=睡眠時間がなくなる)ことに気付きました。

でもよく考えてみると、これまでこのブログの中で断片的にこの方法に付いて
いろいろお話してきていますので、過去記事にリンクを張りながらの解説という
形でもよいのではないかと思うことにしました。

そんなわけで一気読みの資料としては読みづらいかも知れないのですが、
よろしくお付き合い下さい。

さてさて「月を味方にする方法」の王道は何と言っても月そのものを観測
(観察)することです。

当たり前といってしまえばそれまでなのですが、ただ漫然と見るのではなく
何かテーマを持って観察するようにすると楽しさが長続きします。

少し話しは逸れるのですが、星を見ることを趣味すると、初めのうちは一生懸命
月を見るのですが、詳しくなるに従い月を嫌うようになって、月を見る機会が
減って行く傾向が強いです。

月を見るのは(観察会などで)人に星を見せるときや、新しい望遠鏡を購入した
ときくらいになってしまう人が多いのではないかと思います。

でもどんな月齢のときでも、じっくり腰を落ち着けて月を見ると、本当に見飽きる
ことが無いほど変化に富んだ様々な地形や、欠け際のグラデーションやコント
ラストの豊富さには何度見てもため息が出るほど美しいものです。

 

ただ、漫然と見てそれに満足して終わってしまうと、前述したように長続き
しません。

いろいろなテクニックを使って写真を撮るのも(月を味方にする)ひとつの
方法だと思います。

でも月面観察の王道中の王道は、クレーターや様々な地形をスケッチすること
なのではないかと思っています。

月面上のどこでもよいのです。

自分が気にいったクレーターや地形を見たままに鉛筆で描くだけです。

 

上の写真は1970年(今から41年前!!)に天文少年だった私が5cmの屈折望遠鏡で
描いた月面(北部にあるプラトークレーター)のスケッチです。

スケッチを描きはじめると漫然と見ていたときには見えなかったものが
たくさん見えてきます。

時間をかけてスケッチしているうちに、影の長さがドンドン変わってきて
見え方もドンドン変わってしまうことに驚かされたりもします。

一度スケッチに描いた地形は自分のお気に入りになって、後に見た時に
自分がスケッチしたときとの見え方の違いを見るのが楽しくなります。

月面上に何カ所もそういう場所を作ると、月を見るのがとにかくドンドン楽しく
なって行くというわけです。

ときどき月面スケッチをするのは学術的にどんな意味があるんだという人が
いるのですが、風景のスケッチをするのに学術的な意味を考えてする人が
いないのと同じと考えればよいのではないかと思っています。。

月面上の風景は光と影の関係で、二度とお目にかかれないような見え方をする
ことがよくあるので、そんなスケッチがコレクションにあるだけでも嬉しく
るものです。
(スケッチの採り方についてはいろいろ作法があるのですが、ネット上で
「月面スケッチ」などの検索用語で調べて頂くといろいろ出てくると思います
のでここでは割愛させて頂きます。)

続く・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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月を味方にする (2) への4件のフィードバック

  1. ぶっち。 のコメント:

    新しいシリーズの始まりですね^^
    私の住んでいる埼玉県南部は光害が酷くて、
    よほど空気が澄んでいる時以外は
    1~2等星と月くらいしか見られるものがありません。
    …ですから、月の楽しみ方&利用方法、楽しみにしています。
       
    ※忙しい時期だとは思いますが、くれぐれもご自愛ください。

  2. スタパオーナー のコメント:

    ぶっち さま
    応援のコメント、誠にありがとうございます。
    新シリーズといえるほどのモノになるかどうかは分からない(数回で終わってしまうかも・・?)のですが、
    月と月のある星見を楽しむ方法についてもう少し続けたいと思っていますのでよろしくお願い致します。

  3. Eagle のコメント:

    今年は、月と惑星の撮影と観望を少し頑張ってみようと思って、赤道儀を外に常設してカバーをかけて放置して、いつでもすぐに観望できるようにしました。
    以前オーナーに教えていただいた、簡単に観望できる望遠鏡がいい望遠鏡というのがまさに実感できていて、これまではポルタに載せた屈折がその役目を果たしていたのですが、やはり20cmの鏡筒で見たい、赤道儀で追尾したいという欲求が高まり、毎回赤道儀を設置する(北極星が見えないので設置に時間がかかります)時間を省略するために、ドームもないのに外置きすることにしました。
    今回の記事についてですが、スケッチという言葉が自分にヒットしました。
    確かに、スケッチするほど、注意して観望していないなぁ。たしかにスケッチしてみたら新しい発見があるような気が凄くします。今度やってみてたいと思います。
    新たなシリーズも楽しみ拝読させていただきます。

    夏休みもあともうすぐで終わりですから、あとひと頑張りで乗り切ってください。

  4. スタパオーナー のコメント:

    Eagleさま
    いつもありがとうございます。
    お庭に赤道儀を設置されたとのこと・・・、
    お気軽星見のポルタと大口径用の赤道儀の両刀遣いでゆけば
    対象や条件、その日の気分によって死角無しですね。(^_^)

    さて、「月面スケッチ」に反応して頂き大変ありがとうございます。
    私のブログをご覧頂いている方のなかで一人でもそんな気分になって
    頂けたかたがいるだけでも本当に嬉しい限りです。

    スケッチをしだすと今まで見えていなかったものまでホントに見えて
    来るようになるから不思議ですし、一度スケッチした場所は一生忘れ
    ないほど記憶に残ると思います。

    ぜひ挑戦してみて下さい!

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