双眼鏡で星空観察入門 (26)

今日も曇り空の一日。

160824yatu

夜にはまた雨になりました。

さて「双眼鏡シリーズ」です。

9.双眼鏡で楽しむ星巡り

9-4. いて座のM天体巡り(天の川クルーズの奨め)

双眼鏡で星空を見る楽しみのなかで一番のお奨めは、月がなく良く晴れた晩に夏の天の川を双眼鏡で眺めることです。

天の川を見物するので「天の川クルーズ」と呼んでいます。

地平線近く、さそり座の尻尾のあたりからスタートして少しずつ上のほうに双眼鏡を向けて行きます。

110719index_2315

いて座、たて座、わし座、はくちょう座、ケフェウス座、カシオペヤ座へと天の川を辿って行くと、少しずつ星の集まり形や大きさなどが変化して行き、全く飽きずにその眺めを楽しむことが出来ます。

星の多さに圧倒されて、星列探しをするのを忘れるというか、星列を作るのは無理・・・と思うような眺めです。

天の川が肉眼で普通に見えるような星空に出会えたときは、ぜひ、是非天の川クルーズをして頂きたいと思います。

立った姿勢だとすぐ疲れてしまうので、5章で紹介したイスや一脚を使ってじっくり見るのがコツです。

個人的にはこれが双眼鏡で星空を巡る中で一番の贅沢だと思います。

ただし、漫然とみていると中にはすぐに飽きてしまう方もいるかも知れません。

星の塊(星団やスタークラウド)や星ではないシミのような光(星雲)が見えた時に、普通の星との見え方の違いや濃淡をじっくりテイスティングしたり、星図と見比べながら見ると、楽しい時間が過ごせると思います。

あまりに範囲が広いので、「ココ!」という見所を紹介しにくいのですが、本節では天の川クルーズのハイライトともいえる、いて座の天の川にまみれるメシエ天体巡りを紹介しておきます。

ABK017 いて座 天の川のM天体 分類:メシエ天体

いて座で有名な「南斗六星」の柄杓(ひしゃく)の柄のあたりにメジャーなメシエ天体が密集しています。

ステラナビゲータ(プラネタリウムソフト)でこの辺を表示すると

150530seiya

天の川の四角で囲んだあたりはメシエ天体がたくさんあるところなのですが・・・

○は視野7°の円を示します

○は視野7°の円を示します

とても明るくて大きなメシエ天体が多いので、口径20mmクラスの小さな双眼鏡でも単なる星ではないものがあちこちにあることが分かります。
(写真のように見えるという訳ではありません。念のため・・)

例によって双眼鏡でみて楽しいかと言われると、個々にはそれほど迫力があるわけではないのですが、それがあちこちにあるというところで普通ではない感じを味わって頂けたらと思います。

メシエ天体を同時に同じ視野の中にいくつも納めて見えるというのも双眼鏡ならではの眺めだからです。

もちろん本シリーズの本意ではないですが、大きな望遠鏡で見ればそれぞれがぞれなりに楽しめるメジャーなメシエ天体なので、場所を覚えておくと良いです。

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | コメントする

双眼鏡で星空観察入門 (25)

今日は晴れから雨、そしてまた晴れというめまぐるしい一日でした。。

160823niji

夕方には天気雨になって虹が見えていました。

夜は2日続きのダブルヘッダー・・・・、夏休み終盤ということもあり、体力の限界に挑戦している感じがします・・・・・

さて「双眼鏡シリーズ」です。

9.双眼鏡で楽しむ星巡り

9-3. ヘルクレス座周辺

本節ではヘルクレス座にある特徴的な星群と球状星団M13を紹介します。

本題に入る前にまずはヘルクレス座の探し方から・・

ヘルクレス座は全天で88個ある星座のうち大きいほうから5番目の星座でかなり大きい星座といえます。

ただ、大きな星座の特徴として星座を形作る星たちが暗く、結び方にかなり無理がある傾向が強いです。

3等星前後かそれ以下の星で形作られるヘルクレス座は夜空の中で見つけるのにかなり苦労するかも知れません。

こと座のベガとかんむり座の中間にある「K」の形が目印なのですが位置関係を良く頭に入れておかないと、うまく見つけられないことがあります。

110627_110428Her_2110

ベガとはくちょう座のデネブをベガ側に2倍延ばしたあたりにKの中央があると覚えておくと見つけやすいと思います。

ABK012 ヘルクレス座 球状星団M13 分類:M天体、星団

さて、ヘルクレス座の「K」が簡単に見つけられるようになると、北天で最も美しいと言われる球状星団M13を簡単に見つけられるようになります。

「K」の縦棒の下から3分の1のところにM13はあります。

まあ8~10倍クラスの双眼鏡で見ても昨日紹介したM5と同じような、
ピンぼけの恒星状に見えるだけなのでそれほど面白くありません。

110511M13_832_838

条件の良い空で口径20cmくらいの望遠鏡で眺めるとこんな感じに見えて
きますので、ぜひ場所を覚えてほしい星団です。。

ABK013 ヘルクレス座 ξ星ヘビの束星群 分類:星群

ヘルクレス座はこと座のベガとへびつかい座のラースアルハゲーの中間あたりに
左手を差し出しています。

110627_2243Her

差し出した手のあたりは何やらゴチャゴチャと星が固まっています。

ステラナビゲーターで星座絵を見てみると・・・

110627_Her

ヘビの束を持っている絵が描かれています。

どうやらこのゴチャゴチャした部分はヘビの束を持ったヘルクレスの手がイメージされているようです。

星座を作った人達のイマジネーションのすごさに脱帽したくなります。

ξ(グザイ)付近を双眼鏡で見ると・・・

110627ξHer_SG_0979

「ヘルクレス座ξ星ヘラクレスの手星群」と呼びます。

ABK014 ヘルクレス座 102番ヘビの束星群 分類:星群

また102番星付近は・・・

110627_101Her_SG_0976

何かの形をイメージできそうですが、星座絵のヘビの束のイメージを尊重してこちらもあえて何かの形を作らず「ヘルクレス座102番星 ヘビの束星群」と呼ぶことにします。

ABK015 ヘルクレス座 ラースアルケチ近傍ドラゴン星列 分類:星列

ヘラクレスの頭にあたるラースアルケチはこれを取り囲むような特徴的な星の並びはありません。

110704wasiza_2305

でもほんの少し右上(北東)のほうに双眼鏡を振ってラースアルケチが視野からでるくらいのところには5等級から7等星くらいまでの星がランダムに散らばっているような星群が見られます。

110704alfaHer_SL_1035

バラバラな感じでちょっと苦しいのですが・・・

110704alfaHer_ryuSL_1035

空を飛ぶドラゴンのように見ることができます。

「ヘルクレス座ラースアルケチ近傍ドラゴン星列」と呼ぶことにします。

ABK016 ヘルクレス座ラースアルケチー近傍ネコ星列 分類:星列

次に紹介するのは下の写真で丸く囲んだ部分です。

110607OphIMG_2222

へびつかい座とヘルクレス座の間あたり(位置としてはヘルクレス座に属します)
で、一昨日紹介したへびつかい座の左側の「ポニアトスキーの牛座」の反対側
あたりになります。

双眼鏡で見ると・・・

110607neko_0951

何ともいえないカーブに星が並んでいます。

110607neko_0951_3

こんなふうに結べばナポレオンの帽子のように見えます。

110607neko_0951_2

これですとネコが木の上から獲物を狙っているような感じに見えます。

ネコがかわいいので(?)、ヘルクレス座ラースアルケチー近傍ネコ星列と呼びます。

すぐお隣のへびつかい座のラースアルハゲがそれ自体を含んで特徴的な星列があるのに対して、ラースアルケチー自信はこれを含む星列を持たない代わりに、近傍に二つの特徴的星列を持っているということになります。

また、ラースアルケチーは望遠鏡で見ると黄色とオレンジのかなりきれいな
二重星でもあります。

100倍くらいの望遠鏡でぜひ見ていただきたい二重星のひとつです。

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | コメントする

双眼鏡で星空観察入門 (24)

今日は台風で荒れ模様の天候。

160822sor

でも夕方には雨が上がり薄日が射すほどまでに回復してきました。

さて「双眼鏡シリーズ」です。

9.双眼鏡で楽しむ星巡り

9-2. へび座+へびつかい座周辺(の続き)

ABK009 へびつかい座 ポニアトスキーの牛座(小ヒアデス) 分類:星列(古い星座)

へびつかい座とへび座尾部の中間あたりに以前からとても気になる星列があります。

110605_2140_41

○のあたりを拡大して見ると

110605minihiades

おうし座の頭にあたるV字形の星の並び(ヒアデス星団)によく似た星列があります。

そんな眼で見るとおうしの角にあたるあたりにも星がありますし、スバル(M45=代表的な散開星団)があるあたりにも、散開星団(IC4665)があります。
(位置的には少しV字に近くて無理がありますが、双眼鏡で見るIC4665は肉眼で見たスバルのような感じがします。)

110605niseM45

肉眼でもハッキリ分かるほどの星の塊なのに、へび+へびつかいの星座からは仲間はずれにされている感じで、とても不自然と思っていました。

そんなわけでこのあたりを蛇遣いの小牡牛と呼んでいたのですが、「フラムスチュート天球図譜」を見ていたら昔々はここに星座があったことが分かりました。

160822seizu

恒星社刊 フラムスチュート天球図譜より

その名も「ポニアトスキーの牛」。

昔の人達も小ヒアデスを見て、ここに牛の星座を作ることを思いついたのかと考えると、とても楽しくなりました。

ぜひ小さな「おうし座」を見つけてみて下さい。

ABK010 へび座(尾部) 天の川の飛び地 分類:散開星団

へび座の尾部は天の川の中に埋まっているのですが、上の小ヒアデスから少しわし座のアルタイルの方向に双眼鏡を振ると、天の川よく見える時は肉眼でも天の川の飛び地のように見えるスタークラウドがあります。

110717seiza_2305

ずいぶん星が多い場所だな・・・と思って調べてみると実は大きく広がった散開星団がふたつ並んだ場所でした。。

110717IC4756

IC4756と呼ばれる散開星団でNGC6633という散開星団と並んでみることができます。(もちろん条件の良い日に見てですが・・・。)

望遠鏡では見えにくい双眼鏡ならでは眺めだと思います。

ABK012 へびつかい座 ラースアルハゲ キツネ星列 分類:星列

へびつかい座の頭の星(ラースアルハゲ)とヘルクレス座の頭の星(ラースアルケチ)は双眼鏡の視野に同時に収められるほど接近していて、ラースアルハゲの白とアルケチのオレンジがとても対照的で色の対比が楽しめます。

110704wasiza_2305

このあたりを詳しく眺めていると、なかなか面白い星の並びがあります。

110704alfaOph_SL_1032

ラースアルハゲーを見ていると、この星を取り囲むように星がバラバラと
散らばっています。

110704alfaOph_kituneSL_1032

 

鼻がピカピカ光るキツネに見えてきました。

この星列を「へびつかい座ラースアルハゲ キツネ星列」と呼びます。

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | コメントする

双眼鏡で星空観察入門 (23)

今日の昼間はなかなか気持ちのよい好天でした。

160821sora

お盆を過ぎるとスタパ周辺はかなり過ごしやすくなります。

160821tonbo

赤いトンボが増えてくるのもこの時期のような気がします。

さて「双眼鏡シリーズ」です。

9.双眼鏡で楽しむ星巡り

9-2. へび座+へびつかい座周辺

へび座+へびつかい座周辺といっても実はかなり広い範囲です。

160821Ser_Oph_130710_6112.JPG

蛇遣いであるアスクレピオスさんが大蛇を両手で持っている姿でワンセットになっているため、へび座は頭部と尾部がへびつかい座の両側に分かれている面白い星座です。

へび座、へびつかい座ともそれほど大きな星座ではないのですが、合計すると全天で一番面積の大きなうみへび座よりも2割も大きな面積になるほどです。

ですからへび座の頭部と尾部ではずいぶん星の見え方が違っています。

頭部は星の少ない春の星座から微光星がバラバラとちりばめられた夏の星座に切り替わるあたりで、細かい星が意味ありげにたくさん見えて面白いです。

ABK006 へび座(頭部) ヘビの頭は三角 分類:星列

へび座の頭は日本の星図を見ると、上の写真の黄色の線で結ばれた小さな三角で示されることが多いです。

でも海外の星図ではグレーの線で結んだ少し横長の三角で示されることが多いです。

星座の結び方は別に決まりがあるわけではないので全く自由なのですが、個人的には少し横長の方がヘビっぽくて良いかなと思います。

空のきれいなところなら肉眼でも確認が出来ると思いますが、都会でも双眼鏡なら見てどちらがよりヘビの頭に見えるか確認すると面白いと思います。

ABK007 へび座(頭部) へび座β星ヤギの顔星列 分類:星列

逆三角に結ばれた頭の付け根のところにある星がへび座β星(βSer)です。

βSer自体が双眼鏡で見ると楽しい二重星です。

110625_2249_Ser

βSerを視野の左端に持ってくるように見ると少し歪んだ三角形が見えてきます。
(βSerと先ほどの海外のヘビの口先の星のあたりです。)

この三角形を星伝いに線で結んで行くと・・・・

110625βSer_hitujiSL_0983

ヤギの顔のような星列が出来ます。(前シリーズでは「ヒツジの顔」と呼びましたが冷静に見るとヤギに近いと思います。)

実はこの付近(ヘビの首のあたり)には思わせぶりな微光星の星列がたくさんあって、いろいろ発掘できそうな気がしているのですが、とりあえず「ヤギの顔」を登録します。

ABK008 へび座(頭部) へび座M5カメ星列 分類:星列

へび座(頭部)のへびつかい座側にある球状星団M5付近にある面白い
星列を紹介します。

110626M5fukin_2247

へびつかい座とへび座が枝分かれするあたりから西に双眼鏡を振ると・・・

110626αSer_M5SG_0981

わりと特徴的な星群が視野に入ります。

双眼鏡を見慣れてくると視野の右の方にある二つの星の右側が少しボケた感じに見えるのに気がつきます。

これが球状星団M5です。

このM5も含めてこんな並びに星をつないでみました。

110626αSer_M5kameSL_0981

ずんぐりした感じがアルマジロのように見えないでしょうか?

「へび座M5カメ星列」と名づけています。

ちなみにこのM5は全天でも屈指の球状星団ですので望遠鏡で見るときに役に立つと思いますので覚えておくと良いでしょう。

全天で最も美しいと言われるヘルクレス座の球状星団M13よりもデータ上は明るく、大きいのですが、M13のほうが人気が高いです。

M5は大きさのわりに中心に星がたくさん密集していて周辺部の星がまばらなため、小口径の望遠鏡や空のコンディションが悪い場合には周辺部が見えなくて迫力がなくなるためのようです。

130804_M005_130415

大口径でコンディションの良いときに見ると大きく広がった周辺部が見えてきてとても美しい球状星団です。

大きい望遠鏡で見ないと面白くない天体の紹介は本シリーズの本筋からは外れるのですが、個人的にとても好きな天体ですので紹介しました。

ぜひ大口径で見ていただきたい天体の一つといえます。

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | コメントする

双眼鏡で星空観察入門 (22)

今日は昨日ハチに刺された腫れがなかなか引かないので朝一で病院へ。

160820te

見苦しくて申し訳ありません。

まあ特にどうということもなく、ほっておいても数日で直ると言われつつ、お薬をもらってきました。(全治数日といったところでしょうか・・・)

天気の方は、相変わらずというか、トリプル台風のせいというか、かなり荒れ模様です。

160820kiri

私の手ぐらいに見事に腫れ(晴れ)上がってほしいものです。

さて「双眼鏡シリーズ」再開です。

9.双眼鏡で楽しむ星巡り

9-1. さそり座付近(の続き)

ABK004 さそり座 散開星団 M6 & M7 分類:メシエ天体

さそり座には双眼鏡でお奨めの散開星団が二つあります。

160820130411Sco

さそり座の尻尾のすぐ左上にある散開星団M7(左下)とM6です。

110609M7_M6_0937

この2つの散開星団は肉眼でも見えるほど大きな双眼鏡向けの星団です。
(条件が良ければ写真より、もっときれいに見えます。)

低倍率の望遠鏡で見ても見事ですが、ふたつ同時に見られるのは双眼鏡ならではの楽しみです。

双眼鏡ではM7の方が大きくて見応えがありますが、距離の違いによるものでM7が800光年、M6が1900光年と知ると、宇宙の奥行きが感じられて面白いです。

ABK005 さそり座 π星円弧星列 分類:星列

本シリーズでは初めてのオリジナルな星列(アステリズム)の紹介です。

さそり座アンタレスのすぐ右側、サソリのツメがイメージされるあたりに・・

かなり特徴的な星群があります。(上の写真の右側の円のあたり)

π星の東西(左右)にもたくさんの星がありまとめて星群にしたいところですが、双眼鏡の視野からはみ出してしまうので泣く泣く却下です。

でもこの星群、こんなふうにつなぐと・・・

110624πSco_enkoSL_0972_2

5~7等星の星で半円以上のきれいな円弧が出来上がります。

こんなにたくさんの星でできた深い円弧はかなり珍しいと思います。

「さそり座π星 円弧星列」と呼びます。

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | 2件のコメント

ハチに刺される

今日は天気予報が外れ、まあまあの天候。

160819susuki

道端には少し気の早いススキが穂を広げ始めています。

さて私ごとですが、今日の昼間外で草むしりをしている時にハチに刺されてしまいました。

160818hati

これはわりと刺された直後ですが、この後も腫れはさらに広がり、痛みも強くなってしまいました。

大事を取って今日は早めに休ませて頂くことにします。

山は油断大敵です。

あまり肌の露出の多い服装はしないほうがよいですね・・・・

 

カテゴリー: 八ヶ岳の生活 | コメントする

双眼鏡で星空観察入門 (21)

今日もまたスッキリしないお天気

160818hasi

夜にはまた雨でした・・・

さて今日も「双眼鏡シリーズ」。

今日からはいよいよ本シリーズの本編、双眼鏡で楽しむ星をエリア別に紹介して行きます。

夏も終わりに近づいてきましたがさそり座付近の星たちから紹介したいと思います。

9.双眼鏡で楽しむ星巡り

9-1. さそり座付近

まずはさそり座の中の日本の民話に伝わる星を双眼鏡で見るというテーマでお話をしたいと思います。

日本には西洋の星座のような体系だって全天を区切る星座という概念があまりなかったようです。

だれが見ても目に付く、形がハッキリしている星の並びについては民話があるのですが、全国レベルで統一された話というのはほとんどないのが実情です。

また、あまり大きな星座がないのも特徴かも知れません。

大きくてもオリオン座を鼓(つづみ)星と呼んだり、さそり座を魚釣り星(サソリ
の尻尾あたりを釣り針に見立てている)と呼ぶくらいです。

110606Sco_2224

北斗七星もおおぐま座のように広げて考えることはなかったようで、無理に
つなげて形を作り物語を着けるという発想や文化がなかったのでしょう。

ところが小さくまとまった特徴的な星の並びについては名前の付いている
ものが多くあります。

その典型はスバル(=プレアデス星団)や三つ星(オリオン座)などで、双眼鏡で
楽しむのにもってこいのサイズであることが多いです。

そんなわけで前置きが少し長くなりましたが、さそり座にある日本の民話に伝わる星を紹介します。

ABK001 さそり座α星 かごかつぎ星 分類:和星座

上の写真でアンタレスと左右の星で「ヘ」の字が作られますが、この部分を篭担ぎ(かごかつぎ)星と呼ぶ地方が多かったようです。

アンタレスは火星(軍神アレス)に対抗するもの(アンチ・アーレス)の意味から着けられた名前ですから、とても赤く見える星です。

アンタレスを中心にしたへの字から天秤棒につるしたカゴの荷物をフウフウいいながら運んでいる姿を想像したのでしょう。

またアンタレスの赤い色から酒酔い星と呼ぶ地方もあったようですし、色の濃さでその年の作物の収穫量を占う地方もあったようです。(色は年ごとに変わるわけはないのですが、南に低いので大気の影響を受けやすく、ある一定の期間の見え方を比較すれば吉兆に結びつけられたのかも知れません。)

110606M4_0914

双眼鏡で見ると、この篭担ぎ星がすっぽり視野に収まります。

都会ではアンタレスでさえ肉眼で見るのが難しいかも知れませんが、双眼鏡を
使えば篭担ぎ星を見ることができると思います。

双眼鏡では肉眼で見る以上にアンタレスの赤い色を楽しむことができます。

こんな民話を思い出しながら見るのも楽しいものです。

ABK002 さそり座 球状星団M4 分類:メシエ天体

空の条件の良いところではアンタレスのすぐ右側に球状星団(M4)が見えます。
(星でないモヤッとしたものが見える程度であまり面白くはないですが・・・)

でも大きな望遠鏡で見るとなかなか見応えのある球状星団で、散開星団に近い見え方のバラバラとした球状星団です。

160818_50713M4_600x2

中央やや下よりの星の集まりがM4、左下がアンタレス

見つけやすい星団ですので、覚えておいて損は無いM天体です。

ABK003 さそり座μ(ミュー)星 すもうとり星 分類:二重星、和名星

もう一つさそり座の和名の星を紹介しておきます。

最初の写真の丸で囲んだ部分にある星はさそり座のμ星で、3等星と3.5等星の
肉眼二重星です。

110606sumotori

肉眼で見える人はかなり目がよいと思いますが、双眼鏡ならあっさり二つに
見えます。

この星を「すもうとり星」と呼ぶ地方が多いようです。

明るさがわりと近い2星ですが、南に低く大気の揺らぎの影響を受けやすい
ので、それぞれがチカチカとして、どちらかが明るく見えたり、暗く見えたりと
明るさを明るさを競うように(相撲をしているかのように)感じられるところから
付けられた名前のようです。

双眼鏡で見ると相撲観戦がよりハッキリと分かります。(続く)

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | コメントする

双眼鏡で星空観察入門 (20)

今日の朝は良い天気でした。

160817stapa

でも夜は雨になってしまいました。

さて今日も「双眼鏡シリーズ」です。

8-4. 双眼鏡で見る星 「星群・星列」探しについて

双眼鏡での「星群・星列」探し&巡りはとても楽しいものです。

それを多くの人に広めることが出来て、たくさんの「星群・星列」を用意することが出来たら、さらにたくさんの方が双眼鏡で星を見るようになって、双眼鏡のためのソフトウエアの部分や、双眼鏡で星を見るという文化が根付くのではないかと思っています。

そのため本シリーズでは私が見つけた独断と偏見の「星群・星列」を出来るだけたくさん紹介して行きます。

当然ですが様々な条件(使う機材、空の条件など)によって見えたり見えなかったりすることもあるでしょう。

また、観測日時の違いにより同じ星列でも向きが変わるので、別の形のものに見えてくることもあると思います。

さらに、特に大きいのが観測者の感性の違いによる星の並びの見立ての違いもあると考えています。

ですからここで紹介する「独断と偏見」の紹介例が最終形ではなく、実際にご覧頂いて、ドンドン突っ込みを入れて頂きたいのです。

・星群と紹介されているけれど私には、○○に見えた とか

・○○と紹介されているけれど私には××に見えた  とか

もちろん新しい「星群・星列」の提案も大歓迎です。

・あの星(星座)のこの部分にこんな形の星列があるよ とか

・面白い星の並びかあったので、ブログ(SNSなど)で紹介したので見てね

という報告を頂けるととてもありがたいです。

そして「都会では見えなかった」という報告もとても重要です。

突っ込みや報告を頂くときのお願いとして、どんな機材(双眼鏡の倍率・口径・メーカーなどの仕様)を使用して、どんな条件の空(都会か田舎か(出来れば肉眼での最微光等級)、観測日または月がある場合は月齢など)で観察したかを付記して頂けるととてもありがたいです。

将来的には空の条件や双眼鏡の仕様別に、お奨めの「星群・星列」をデータベース化して楽しめる対象の提案が出来るようにして行きたいと考えているので、是非とも必要なデータだからです。

私としてはこの作業をしばらくの間ライフワークとして取り組みたいと思っていますが、私ひとりの力では様々な条件や機材、何より感性が不乏しいので、完成させるのはとても難しいと思うからです。

将来的にはフォーラムページや「星群・星列 同好会」のような集まりを作って、データベースを作って行けないだろうかなどと夢を膨らませています。

ご協力を頂ける方がいらしたら、コッソリでも構いませんのでご一報頂けると嬉しいです。

すぐに何かをお願いするというわけではなく、協力者がいるというだけでも励みになりますので・・・。

今日は文章ばかりだったので、最後に私が大好きな「星列」を紹介しておきます。

160817_141031h_kai_5261

ペルセウス座の二重星団(h-χ)です。

ほとんどの方は二重星団だけ見て満足してしまうようですが、私はそれに隣接してクルリンと並ぶ楕円形の星列を合わせて「天上の首飾り」と呼んでいます。

私が双眼鏡を二重星団に向けるときはh-χが見たいからではなく、このとても豪華な首飾りが見たくて向けるとがほとんどです。

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | 2件のコメント

双眼鏡で星空観察入門 (19)

今日は久々に気持ちのよい青空。

160816sora

夕方には季節の変わり目に現れることが多い虹が見えて、そろそろ夏が終わりになると知らせているようでした。

160816niji

今夜は台風が逸れて、久々に晴れて、明るい月を楽しむことが出来ました。

160817moon_1002

さて今日も「双眼鏡で星空観察入門」シリーズ

8.双眼鏡でどんな星空を見るか? の続き

8-3. 双眼鏡で見る星 このシリーズで紹介する星たち

本シリーズでは「星群・星列」をメインとすることを前節で示しましたが、基本的にはそれにこだわらず、双眼鏡で見て楽しいと思えそうなものならドンドン紹介して行きます。
具体的には以下のような星や天体です。

1) メジャーな「星雲・星団」

スバル(プレアデス星団)やヒアデス星団、アンドロメダ銀河やオリオン大星雲など、双眼鏡で見た方が楽しい場合が多いものは、当然積極的に紹介します。

111203_2831hiades

おうし座ヒアデス星団 双眼鏡向けの散開星団としてスバルと並んでとてもメジャーな散開星団です

星好きの方ならみんな知っている天体でも、双眼鏡で見て楽しむときのポイントなども合わせて紹介したいと思います。

双眼鏡で見てあまり楽しくなくても、少し大きな望遠鏡で見るときっと楽しめる(私が覚えておいて損は無いと思える)メシエ天体についても一部紹介したいと思います。

2) 大きな散開星団

望遠鏡向けとしては大きすぎてメジャーでなくても、双眼鏡で見ると楽しめる散開星団、例えばかみのけ座のMel.110とかペルセウス座α星付近のMel.120なども紹介します。

141031A_Per_5265

中央の輝星はペルセウス座α星で、これを取り囲むようにある星群がMel.20という散開星団

コートハンガー星団、ケンブルカスケイドなどもこの辺のグループになります。

3) 「星群」

次に星団でなくてもバラバラと星を散らしたように見える「星群」もあちこちにあります。

110719Cep_2347

ケフェウス座の星群

特に天の川沿いに双眼鏡を振って行くと、たくさんの星が霧を吹いたように見える部分があったり、細かすぎてあるいは数が多すぎて何かの形に見立てるのが難しい星列をたくさん見つけることが出来ます。

そんな見所も場所別に紹介できればと思います。

また意味ありげに並んだ星列なのだけれど(私の想像力不足のために)、何かの形に当てはめられなかった星の群れもこの仲間に入ります。

何か良い形を思いついたら教えて頂けるとありがたいです。

4) 「星列」(アステリズム)

そして「星列」です。

双眼鏡で星空を見ていると、意味ありげな星列に出会うことが多くあります。

明らかに何かの形に見えたり、どこかの星座に似たような並びがあったりします。

オリオン座の中にあるペガススの四辺形とアンドロメダ座

オリオン座の中にあるペガススの四辺形とアンドロメダ座

実はこの星列探しをして、この星列がどんなものの形をしているかを考えながら星空を眺めるととても楽しいのです。

きれいに星空が見えるときにコレをやっていると1~2時間があっという間に過ぎてしまうほどです。

たくさんの方にこの星列探しの楽しさを伝えて、もっと双眼鏡で星空を見る時間や機会を増やしていただければ・・・というのが本シリーズの最終的な目的でもあります。

ただ流して見ているだけだと、その時ちょっと面白いと思ってもすぐに忘れてしまうことが多いです。

そこでその意味ありげな星列を無理にでも線で繋ぎ、形を作って登録・保存すれば星空のあちこちに双眼鏡向けの名所を作ることが出来てそれをネットに公開しておけばたくさんの方に楽しんで頂けるきっかけになればと思います。

たくさんの方に見て頂き、形を考えたり、見つけたりして頂こうというのが最終目標ですが、当面は私の独断と偏見で紹介させて頂くこととします。

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | コメントする

双眼鏡で星空観察入門 (18)

今日は降ったり晴れたりの変な天気

160815hasi

でも夜は晴れてくれませんでした。

さて「双眼鏡で星空観察入門」、今日は

8.双眼鏡でどんな星空を見るか? の続き

8-2. 双眼鏡で見る星 「星群・星列」

「双眼鏡で星空を見るのは楽しい・・」ということを伝えたくて本シリーズを進めているのですが、実のところただ漫然と夜空を流してみるだけでは意外にすぐ飽きてしまいます。

先に紹介した双眼鏡向けの書籍(特に和書)はメシエ天体を主体とする星雲星団を見ることに主眼が置かれていて、双眼鏡で見て楽しいかどうかについてはあまり重要視していない感じがします。

例えば、こと座のリング状星雲(M57)は先に紹介した3冊ともに紹介があるのですが、双眼鏡で見ると・・・

110602M57

こんな感じで「ほとんど恒星と見分けが付かないが、存在は分かる。」という解説が付いています。(スタパで見てこの程度ですから都会では当然見えません。)

もっと大きな望遠鏡で見るとリング状に見えるんですよ・・・と大きな望遠鏡で撮影したリング状星雲の写真が掲載されていたりします。(2冊の和書)

M057_130711

確かにM57は超有名な天体ですので「双眼鏡ではこんなふうに見えるんです」という紹介が必要なのかも知れないのですが「だからもっと大きな望遠鏡を買ってネ」といわれているようで、少し寂しい気持ちがします。

もちろんいろいろな星雲星団の位置が双眼鏡で見つけられるようにしておけば、将来大きな望遠鏡を入手したときに、とても便利なことは確かです。

でも、見えたことだけを喜べるうちはよいのですが、存在がかろうじて見えただけで、場所を確認するだけの作業を延々と続けるのは、まるで修業のようで、ちっとも面白くないと思います。

プレアデス星団やプレセペ星団のように双眼鏡で見て楽しいと思える星雲星団はほんの一握りで、本の中で紹介されている天体の1~2割くらいなのではないかと思います。

意気込んでいろいろな星雲星団を見ようと思えば思うほどテンションが下がって、「やっぱり大きな望遠鏡がないとだめなんだぁ・・・」ということになってしまい、双眼鏡の楽しさがいつまでたっても分からない、(これまでの私のような)人ばかりが増えることになるのではないかと思います。

そんなわけでずいぶん前置きが長くなりましたが、そろそろ本題・・・

私が双眼鏡で星空を眺めていて、はまってしまったのは特徴的な星の配列や望遠鏡では視界が狭すぎて見ても面白くない大きな散開星団やスタークラウド(星が密集している場所)を探すことです。

特に特徴的な星の配列については、自分勝手に想像力を働かせて、配列を結びつけてミニ星座を作ろうなどと考えながら双眼鏡をのぞいていると、あっという間に時間が過ぎて行きます。

具体的にどんなものがあるかといいますと、

110602polaris1

これは北極星を双眼鏡で見た状態なのですが、先日紹介した「Binocular Highlights」(洋書)で紹介されているのが・・・

110602polaris

ダイヤの付いたエンゲージリングにたとえています。

まあ見ようによっては指輪に見えなくもないといった感じで、少し楽しくなります。

こういった星の並びを何かに見立てて楽しむという遊びを面白いと思えるかどうか好みの分かれるところかも知れません。

星雲・星団でもなくて(学術的に)何の意味もない星の並びをつなげて、何がおもしろいの・・・? という方も多いかも知れないからです。

でも欧米では「asterism」(アステリズム)といって昔から星を眺めるときの楽しみ方の一つになっていて、現代に私たちが使っている星座もアステリズムそのものでもあるのです。

つまり星座は肉眼で見て作られたアステリズムですが、これを双眼鏡を使って肉眼ではとても見えないような暗い星も含めてたくさんのアステリズムを作れたら、双眼鏡専用の星座を作れたら、双眼鏡で星空を見上げる楽しみがもっと広がるのではないか、というところを本シリーズのメインテーマにしたいと考えたのです。

ただ、本シリーズでそういった見所を紹介するに当たり「アステリズム」という言葉で話を進めようとすると意味が少し不適切だと思うことがあります。

アステリズムというとどちらかというと(星座がそうであるように)「星達を線で結んで意味のある形を作る」という定義になります。

でもそれに固執してしまうと、双眼鏡で夜空を流して見ているときに「うわぁ~」と歓声を上げてしまうような星の塊や、群れを紹介しにくくなってしまいます。

そんなわけで本シリーズでは特に意味のない星の群れの時は「星群」、意味のある星の並びが作れるときは「星列」と呼び、国内ではまだあまり一般的でない「アステリズム」という言葉を使わず、直感的に分かりやすい「星群・星列」という言葉を使いたいと思います。

これまでにも述べたように、双眼鏡というのはとてもパーソナルなものなので、星空を見上げてとても面白い眺めを見つけても、それをなかなか他の人に伝えたり、共有することが難しいです。

でも、ちゃんとしたファインディングチャート(案内図)を作り「この星座のこの辺を見るとこんな面白い星の並びがあるよ」という情報をデータベース化して行けば、双眼鏡で星空を眺めるときの楽しみを充実させることが出来るのではないかと思うのです。

本シリーズのメインテーマとしては「星群・星列」が中心になりますが、もちろん双眼鏡で見て見応えのある星雲・星団についてはメジャーなものも含め紹介して行きます。

紹介できる対象は多ければ多いほど良いのですが、当面の目標として一つの夜空(例えば今見上げている夜空)ごとに10個くらいの見どころを作っておくと、とりあえず名所巡りとして楽しめると考え、全天で50個くらいの対象を紹介できればと考えています。

カテゴリー: 双眼鏡, 天文関係 | コメントする