超々入門 天体望遠鏡光学 倍率について考える - その2 -

スタパの周辺ではマーガレットが満開・・・

 

さて、昨日の続きです。

今日は望遠鏡で倍率を上げすぎると何が良くないかという話です。

結論から言いますと

1.像が暗くなる
2.像がぼける

という光学的な問題と、

3.視界が極端に狭くなり使いづらい
4.架台の機械強度がついて行かずブレが大きくなる

などの機械的問題も出てきて、実質的に使い物にならなくなります。

ここでは上記の1と2について解説してゆくことにします。

天体望遠鏡はたくさんの光を集めて、暗い天体を観察するという目的が
ありますので、口径の大きな物の方が有利です。

望遠鏡がどれだけ光を集められるかという性能を表す「集光力」という言葉が
あります。

これは人間の眼(瞳が最大に開いた時に平均的に7mmになります)に対して、
望遠鏡のレンズの有効径の面積が何倍になるかという単純な値で、

 集光力 = ( 有効径(mm) ÷ 7(mm) )^2
 
という計算で算出することができます。(光学系の透過率や反射率は無視します。)

例えば口径50mmのラプトル50なら

 (50 ÷ 7)^2 = 51 (倍)
 
という肉眼の51倍の集光力になります。

51倍の集光力だから51倍の倍率にして良いかというと、話はそう簡単では
ありません。

望遠鏡では、倍率が倍になると見かけの面積は4倍に明るさは4分の1に
なります。(倍率10倍では明るさが1/100!、50倍では1/2500!!)

つまり肉眼で見たのと、望遠鏡を通してみた像がほとんど同じ明るさに見える
ためには、(瞳孔径が7mmとして)

倍率10倍では集光力が100倍、
  50倍では 〃 が2500倍 なければいけないことになります。
  
口径ごとの肉眼で見たのと変わらない明るさになる倍率の計算は

 有効径(mm) ÷ 7(mm)

という計算で求めることができます。

ここで求めた倍率は、実は有効最低倍率と呼ばれる倍率でもあって、逆に言えば
これより倍率を低くしても、望遠鏡が集めた光を全部眼の中に導くことが
できなくなるという倍率です。

この有効最低倍率に対してどのくらい暗くても我慢ができるかというのが
目安になるかも知れませんが、見る対象が明るいか暗いかによっても変わり
ますので一概に言いにくいですが、100分の1くらいの明るさらわりと
我慢できそうな気がします。

人間の眼というのは、かなり明るさの変化に対して寛容で、追従性が高いです。

例えば、明るさごとのシーンを紹介すると・・・

10万ルクス:真夏のカンカン照りの浜辺
1000ルクス:わりと明るめのオフィスのデスクトップ
100ルクス:やや暗めのファミレスのテーブル(長時間でなければ新聞読める)
1ルクス:市街地の歩道の防犯照明(歩くのに困らない)

ざっくり100倍明るさの違う例を示しました。

100倍くらいの明るさの違いなら何とか眼がついてゆきそうな気がしませんか?

実際に満月の明るさというのは真夏の昼間の明るさに相当します。

これがオフィスのデスクトップの明るさくらいになっても、充分月の観察が
できると思いませんか?・・・というわけです。

ちょっと暗いのを我慢すればその半分くらいの明るさでも我慢できそうな
気もします。

つまり月を見る場合には、有効最低倍率の200分の1の明るさでも何とか
見えそうな気がします。

1/200の明るさは、有効最低倍率の14.1倍(=√(200))に相当します。

つまり口径が50mmであれば、有効最低倍率は

 50 ÷ 7 = 7.1 (倍)

暗さが我慢できる最大倍率は

 7.1 × 14.1 = 100(倍)
 
ということで口径(mm)の2倍くらいの倍率が限界になりそうです。

かりに口径50mmで300倍の倍率を出すと明るさは

 (300 ÷ 7)^2 = 1836
 
と1/2000近い暗さになって、我慢できないほどの薄暗さになることが予想でき
ます。

 (文字ばかりで読みにくくてすみません・・・続く・・)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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